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旅は道連れ
魔王を倒しに行く小魔王
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魔王ビガロが住み着いているという大洞窟に入ったロビンは洞窟内のわずかな光を頼りに歩き始めた。地下迷宮で長く暮らしたロビンにとって、暗い場所は得意と言えた。夜目が利くロビンは嗅覚も優れていた。そういうロビンの背中を追うテリーとエルノは、戦闘においてはロビンの戦闘力を当てにはしていなかった。
テリーもエルノも戦闘力に関しては一級の魔人であった。そんな彼らがロビンに従うのは、事情あってのことだった。彼らはロビンの資質を見ていたのであった。
「ロビンさま、やはりこの洞窟には魔物がうじゃうじゃいますよ。奥に行けば行くほど強い魔物がいるようですが、このまま進みますか?」
「うむ、本物の魔王である俺にとって魔物など恐れるものでも何でもない。多少の攻撃を食らったところで蜂に刺されたほどでもないだろうグハハハ!」
ロビンが高笑いしたとき、洞窟の奥から無数の昆虫が飛来した。
「小魔王さま! こいつらは虫じゃなくて魔物ハッチです! 刺されますよ」
エルノがロビンに忠告したとき、ロビンの大きな顔はあちこち刺されていた。
「ぐうう! 痛い! かゆい! ああっ! うっとうしいぞこいつら!」
慌てたロビンは持っていた杖を振り回してハッチを追い払った。だが振り回しすぎて杖は洞窟の壁に当たり、その勢いで真っ二つに折れた。
「ああロビンさま! 魔王の杖が折れてしまいましたよ!」
その杖はロビンの母ニーサがロビンに渡した魔王の杖であった。
テリーに言われたロビンは思わず肩を落とし、洞窟の壁を殴った。
「おのれ魔王ビガロとやら! よくも母上からもらった魔王の杖を!」
怒ったロビンが何度も壁を殴ると壁が反応して洞窟内が明るくなった。
「……ロ、ロビンさま! 前から何か来ます! 魔物の気配? いや人間?」
洞窟の奥から現れたのは白馬に乗った少女であった。
「あら? あなたが魔王ビガロなの? あんまり迫力ないわね。がっかり」
白髪の可愛らしい少女はロビンの顔を見て首をひねった。
テリーもエルノも戦闘力に関しては一級の魔人であった。そんな彼らがロビンに従うのは、事情あってのことだった。彼らはロビンの資質を見ていたのであった。
「ロビンさま、やはりこの洞窟には魔物がうじゃうじゃいますよ。奥に行けば行くほど強い魔物がいるようですが、このまま進みますか?」
「うむ、本物の魔王である俺にとって魔物など恐れるものでも何でもない。多少の攻撃を食らったところで蜂に刺されたほどでもないだろうグハハハ!」
ロビンが高笑いしたとき、洞窟の奥から無数の昆虫が飛来した。
「小魔王さま! こいつらは虫じゃなくて魔物ハッチです! 刺されますよ」
エルノがロビンに忠告したとき、ロビンの大きな顔はあちこち刺されていた。
「ぐうう! 痛い! かゆい! ああっ! うっとうしいぞこいつら!」
慌てたロビンは持っていた杖を振り回してハッチを追い払った。だが振り回しすぎて杖は洞窟の壁に当たり、その勢いで真っ二つに折れた。
「ああロビンさま! 魔王の杖が折れてしまいましたよ!」
その杖はロビンの母ニーサがロビンに渡した魔王の杖であった。
テリーに言われたロビンは思わず肩を落とし、洞窟の壁を殴った。
「おのれ魔王ビガロとやら! よくも母上からもらった魔王の杖を!」
怒ったロビンが何度も壁を殴ると壁が反応して洞窟内が明るくなった。
「……ロ、ロビンさま! 前から何か来ます! 魔物の気配? いや人間?」
洞窟の奥から現れたのは白馬に乗った少女であった。
「あら? あなたが魔王ビガロなの? あんまり迫力ないわね。がっかり」
白髪の可愛らしい少女はロビンの顔を見て首をひねった。
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