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1章 聖星族の少女との出会い
19話 わがまま
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「この服はどうだろうか?」
彼は意外とセンスがあるようだ。彼女に似合いそうなワンピースを手に取った。
「期待と違う」
「うん。もっとスポーディなお洋服だと思ったの」
「スポーディ?スポーティじゃ」
「にゃ?」
エレは服を買い、その荷物を彼に渡した。
「このくらい俺が払う」
「エレって意外とお稼ぎ良いのでしゅ」
エレがそう自慢げに返した。
「だが」
「エレのわがままに付き合ってもらっているんだから気にしないの。これはめいわくりょうっていうのなの」
――わがまま?ただシムフィーの安全を考えているだけだろう。あの王都にいれば危険だからと。
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもエレのわがままに付き合っているだけなの。何かあったとしても、エレが無理やり連れてきたって言えば良いの」
それは未来の予言なのだろう。エレは未来視の御巫なのだから。今後、エレの身に何かが起こる。そういう事なのだろう。
「そんな事には絶対にさせない。エレは俺の大事な人の声を取り戻してくれた。だから、俺はエレに忠誠を誓う」
「そんなもので誓う事じゃないよ」
「先日、エレが王都を救ってくれただろう。それを姫はエレが異常を起こした原因で自分がそれを治したと言っていた。そんな事できるわけもないというのに」
彼がエレを信じた。エレが嘘をついていないと。
王都は酷い有様だった。にも関わらず犠牲者はいない。
それができるのは二人しかいない生命魔法所持者以外にはできないのだから。
「……ぷにゅ、なんだかこれは受け取っておいた方が良いって気がするの。エレにもお兄ちゃんにも」
「感謝する」
「感謝はエレの方なの。お兄ちゃんじゃなかったらきっとエレは疑われているだけだったから。そうなればいつかエレの知らないところでゼロに何かあったかもしれない。今そうなっていないのはお兄ちゃんのおかげなの」
エレの言葉に彼が目を見開いた。それもそのはずだろう。エレが大切に思っているのはゼロとフォル。だが、エレはフォルの事は言わなかった。
「……フォルはお仕事でいつかはこの件に関与する。それは止める事できないし、エレは止めない。フォルはエレを守るために自分の役目を果たすって言っていたから。でも、ゼロは違うの。エレの家族になって、エレと一緒にいてくれて。それだけなの」
――そうか。本当に強いな。
止めたいはずなのに、何も言わずにいるとは。
「お兄ちゃん、お買い物終わったら次行くの。早く帰んないとフォルが心配する。ゼロがいないの気づいて探しに行っちゃう」
「ああ」
ゼロとフォルを心配するエレが急いで買い物を済ませた。
買い物が済み、エレが結界の中に彼らを招いた。
「ゼロとフォルいない……探し行くの」
エレが一人で探しに行こうとする。
「待て、危ないだろう」
「でも、ゼロとフォルいないの早く探さないと。きっと今頃ゼロが触手系の魔物に出会ってぷにゅぅってなっているの。だから早く言って写真に残しておかないと」
エレはゼロを心配する素振りを見せながら、全く心配していない言動が聞こえてきた。
「……とりあえず、結界内にはいないのだな?俺も一緒に探しに行こう」
「ふにゅ。余計な事しちゃだめだよ。エレ達は自分の事は自分で守れるようにって魔物討伐で練習中なの」
彼は意外とセンスがあるようだ。彼女に似合いそうなワンピースを手に取った。
「期待と違う」
「うん。もっとスポーディなお洋服だと思ったの」
「スポーディ?スポーティじゃ」
「にゃ?」
エレは服を買い、その荷物を彼に渡した。
「このくらい俺が払う」
「エレって意外とお稼ぎ良いのでしゅ」
エレがそう自慢げに返した。
「だが」
「エレのわがままに付き合ってもらっているんだから気にしないの。これはめいわくりょうっていうのなの」
――わがまま?ただシムフィーの安全を考えているだけだろう。あの王都にいれば危険だからと。
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもエレのわがままに付き合っているだけなの。何かあったとしても、エレが無理やり連れてきたって言えば良いの」
それは未来の予言なのだろう。エレは未来視の御巫なのだから。今後、エレの身に何かが起こる。そういう事なのだろう。
「そんな事には絶対にさせない。エレは俺の大事な人の声を取り戻してくれた。だから、俺はエレに忠誠を誓う」
「そんなもので誓う事じゃないよ」
「先日、エレが王都を救ってくれただろう。それを姫はエレが異常を起こした原因で自分がそれを治したと言っていた。そんな事できるわけもないというのに」
彼がエレを信じた。エレが嘘をついていないと。
王都は酷い有様だった。にも関わらず犠牲者はいない。
それができるのは二人しかいない生命魔法所持者以外にはできないのだから。
「……ぷにゅ、なんだかこれは受け取っておいた方が良いって気がするの。エレにもお兄ちゃんにも」
「感謝する」
「感謝はエレの方なの。お兄ちゃんじゃなかったらきっとエレは疑われているだけだったから。そうなればいつかエレの知らないところでゼロに何かあったかもしれない。今そうなっていないのはお兄ちゃんのおかげなの」
エレの言葉に彼が目を見開いた。それもそのはずだろう。エレが大切に思っているのはゼロとフォル。だが、エレはフォルの事は言わなかった。
「……フォルはお仕事でいつかはこの件に関与する。それは止める事できないし、エレは止めない。フォルはエレを守るために自分の役目を果たすって言っていたから。でも、ゼロは違うの。エレの家族になって、エレと一緒にいてくれて。それだけなの」
――そうか。本当に強いな。
止めたいはずなのに、何も言わずにいるとは。
「お兄ちゃん、お買い物終わったら次行くの。早く帰んないとフォルが心配する。ゼロがいないの気づいて探しに行っちゃう」
「ああ」
ゼロとフォルを心配するエレが急いで買い物を済ませた。
買い物が済み、エレが結界の中に彼らを招いた。
「ゼロとフォルいない……探し行くの」
エレが一人で探しに行こうとする。
「待て、危ないだろう」
「でも、ゼロとフォルいないの早く探さないと。きっと今頃ゼロが触手系の魔物に出会ってぷにゅぅってなっているの。だから早く言って写真に残しておかないと」
エレはゼロを心配する素振りを見せながら、全く心配していない言動が聞こえてきた。
「……とりあえず、結界内にはいないのだな?俺も一緒に探しに行こう」
「ふにゅ。余計な事しちゃだめだよ。エレ達は自分の事は自分で守れるようにって魔物討伐で練習中なの」
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