聖なる獣・英雄譚

碧猫 

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1章 聖星族の少女との出会い

6話 星の間

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 少女達の言葉を聞いた彼は一晩泊まった後に王宮へ戻った。

 ――姫はいつものところにいるだろう。行ってみるか。

 星の間。世界の危機を止めるように命じられた場所。彼女は良くそこへいる。

 今日もそこにいるだろうと思い、彼は星の間へ移動した。

        ******

「どうされたのですか?」

 彼の読み通り姫はそこにいた。今日もここで王国の未来を見ているのだろう。

「聖星族の少女の噂を耳にしました」
「そうですか」
「噂によると少女はこの件に関わっていないようです」
「それはただの噂でしょう。ここでは真実を見る事ができます。これであの少女の本当の姿をお見せしましょう」

 そこに映し出された姿は実際に会った時の姿とは違った。

 彼が会った聖星族の少女は警戒心が強く臆病な印象だった。だが、そこに映し出された姿は全くの別人。

 そこらじゅうを破壊し尽くしている。破壊する事に快感を覚えているのかとても愉しそうに。

「これが聖星族の少女の本性という事ですか?」
「ええ。噂はどうであれ、これがあの少女の本性です。あの少女は世界を破壊して楽しんでいます」
「……そうだったのですか。私めのためにお力を使用してくださり感謝します」
「当然の事です。わたくしが命じた事ですから、協力は惜しみません」

 ――ここの映像は偽の映像ではない。それを作り出す事はできないはずだ。だとしたら……本人に聞くのが一番だろうが、話してくれるだろうか。

 どちらが嘘だどちらが本当か。その判断は現段階ではつける事ができない。

 つける事ができないのであればつけられるようになるまで徹底的に調べる。それが彼のやり方だ。

「もう一つよろしいでしょうか?」
「ええ」
「姫は聖星族の少女にお会いした事がございますか?」
「ありませんわ」
「遠くで見た事も?」
「ええ。一度もお会いした事はありません」

 まだ疑問は残るが、これ以上は怪しまれるかもしれない。

「そうですか。お会いしたのであれば特徴を詳しく聞き見つけるのに役立てようと思いましたが。では、私は彼女の任務へ戻ります」
「ええ。また何かあればいつでも聞きに来てください」

 少女達の話と矛盾している事はここでは言及できない。ここは大人しく引き下がるしかないだろう。

 ――姫には今はこれ以上聞く事はできないが、他に情報を得られる相手とかはいるだろうか。

 もう少しここで情報を集めたい。彼はこの件について話す事ができ且つ何か知っている相手がいないか思考を巡らせた。

 ――黄金蝶。確かギュレーヴォといったか。彼なら何か知っているかもしれない。あの黄金蝶の兄らしいから彼女に有利な発言をする可能性はなくはないが、今は頼れる相手が少ない。

 彼は同期の黄金蝶を探した。
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