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1章 聖星族の少女との出会い
1話 始まり
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ある少女に力を貸す聖獣ヴィー。
彼はかつては一国の騎士であった。
現在では星の都と呼ばれているが、昔のそこは王国であった。
これはその騎士が英雄という称号を手にし、少女に力を貸す聖獣となるまでの話である。
******
聖星の王国星の間。
そこにある明かりは星の明かりだけ。
ここは聖星の国に語り継がれる御巫の能力である未来視を王族が使うための空間。
「急に呼び出してしまい申し訳ありません」
「王族のそれはいつもの事でしょう」
「それだけ貴方様を頼りにしているという事です」
亜麻色髪の美しい女性が彼の訪れを待っていた。この美しい女性はこの国の姫。
姫は今日もいつものように全てを慈しむような優しい目で彼を真っ直ぐと見つめていた。
ーー慈悲深き姫君、か。いつ見てもこの覚悟の篭った彼女の目は美しい。
この国にはもったいない姫だ。だが、なぜ今までこの状況で何もしてこなかった。
現在この世界は危機的状況都となっている。行方不明者多発、負傷者多発、建物等の破損多発。その原因は不明。
この状況で各国対策をしているが、この国は今まで何もしてこなかった。
「とうとう準備が整いました。ヴィーケヴァル、貴方にこの事態の終息を命じます」
「終息?可能なのですか?」
「ええ。とうとう原因を掴みました。この少女が原因です」
姫から渡された写真には幼い少女が写っている。見たところまだ二、三歳であろう。
「この女児がどう関係しているんですか?」
「彼女の写真はこれしかありませんが現在は十歳くらいです。エンジェルルナレージェ・ミュニャ・エクシェフィー」
「エクシェフィー⁉︎この少女があの御巫の」
クラヴィレズ・ドーヒュ・エクシェフィー
ゴビュランズド・グリー・エクシェフィー
その二名は御巫として名を知らぬ者はいない。噂ではその二人の間に子がいると言われてはいるがその真意を知る者は僅かであろう。
「彼女は御巫の一人娘です」
「そんな少女がなぜ原因なのですか?」
「御巫の子でありながら御巫としての素質がない事に怨み世界を崩壊させようとしているのです」
「……そうですか」
「再度言い渡します。ヴィーケヴァル、貴方様にこの事態の終息を命じます」
疑問が残るとしても、この事態の終息は彼も望む事。それに王族の命だ。断る事などできない。
「承知しました。必ずやこの事態を終息いたします」
「ええ、期待しております。星月の煌めきが貴方様に訪れる事を祈ります。星の輝きと共に」
「星の輝きと共に」
姫に命じられて、少女を探しに行こうとするが場所を聞きそびれた事に気づいた。
「姫、場所は?」
「忘れておりました。場所はこの国の端にある聖星の森です。この国が祀る聖星族の聖地です」
聖星国の由来ともなった聖星族。特別な力を持つ種族と言い伝えられている。
ーー聖星族がそんな相手を聖地にいれるとは思えんのだが。とりあえず行けば何かわかるであろう。
彼はかつては一国の騎士であった。
現在では星の都と呼ばれているが、昔のそこは王国であった。
これはその騎士が英雄という称号を手にし、少女に力を貸す聖獣となるまでの話である。
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聖星の王国星の間。
そこにある明かりは星の明かりだけ。
ここは聖星の国に語り継がれる御巫の能力である未来視を王族が使うための空間。
「急に呼び出してしまい申し訳ありません」
「王族のそれはいつもの事でしょう」
「それだけ貴方様を頼りにしているという事です」
亜麻色髪の美しい女性が彼の訪れを待っていた。この美しい女性はこの国の姫。
姫は今日もいつものように全てを慈しむような優しい目で彼を真っ直ぐと見つめていた。
ーー慈悲深き姫君、か。いつ見てもこの覚悟の篭った彼女の目は美しい。
この国にはもったいない姫だ。だが、なぜ今までこの状況で何もしてこなかった。
現在この世界は危機的状況都となっている。行方不明者多発、負傷者多発、建物等の破損多発。その原因は不明。
この状況で各国対策をしているが、この国は今まで何もしてこなかった。
「とうとう準備が整いました。ヴィーケヴァル、貴方にこの事態の終息を命じます」
「終息?可能なのですか?」
「ええ。とうとう原因を掴みました。この少女が原因です」
姫から渡された写真には幼い少女が写っている。見たところまだ二、三歳であろう。
「この女児がどう関係しているんですか?」
「彼女の写真はこれしかありませんが現在は十歳くらいです。エンジェルルナレージェ・ミュニャ・エクシェフィー」
「エクシェフィー⁉︎この少女があの御巫の」
クラヴィレズ・ドーヒュ・エクシェフィー
ゴビュランズド・グリー・エクシェフィー
その二名は御巫として名を知らぬ者はいない。噂ではその二人の間に子がいると言われてはいるがその真意を知る者は僅かであろう。
「彼女は御巫の一人娘です」
「そんな少女がなぜ原因なのですか?」
「御巫の子でありながら御巫としての素質がない事に怨み世界を崩壊させようとしているのです」
「……そうですか」
「再度言い渡します。ヴィーケヴァル、貴方様にこの事態の終息を命じます」
疑問が残るとしても、この事態の終息は彼も望む事。それに王族の命だ。断る事などできない。
「承知しました。必ずやこの事態を終息いたします」
「ええ、期待しております。星月の煌めきが貴方様に訪れる事を祈ります。星の輝きと共に」
「星の輝きと共に」
姫に命じられて、少女を探しに行こうとするが場所を聞きそびれた事に気づいた。
「姫、場所は?」
「忘れておりました。場所はこの国の端にある聖星の森です。この国が祀る聖星族の聖地です」
聖星国の由来ともなった聖星族。特別な力を持つ種族と言い伝えられている。
ーー聖星族がそんな相手を聖地にいれるとは思えんのだが。とりあえず行けば何かわかるであろう。
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