イディーラ学園の秘密部

わんわんお治し隊

　光は出たと思わしき場所まで来たけど何もないね。
　でも、何かあるはずだからもっとしっかり見ておかないと。

「わん？わんわんわんわん？くぅん」

　回復が欲しいって書いてある。でも、魔法使えないよ。

　まだ練習中で成功した事なんて一度もないの。

　使い方が分かっても成功するかは別なんだって。
　どうやれば成功できるのかのコツを掴めば自分で使いたい時に使えるようになるらしいけど、そのコツをまだ掴めていない。

「わんわんわん」
「どうしたの？」
「わんわんくぅん」

　蝶華に回復が欲しいって言うのを伝えたけど伝わったのかな。

「星音魔法使えないからね。試しにやってみる。成功すれば何か分かるかもだから」
「わん」
「大丈夫。側で教えるから」
「わん」

　蝶華に補助して貰えば成功するようになってきたから十回くらいやれば一度は成功すると思う。

「じゃあ、いくよ」
「わん」

　蝶華に補助してもらって魔法を使う。

　珍しい事あるんだね。一発成功だよ。

「わん」

　回復を上げたら光った。この光なんなんだろう。浴びているとすごい気持ちいい。あったかくてほんのりひんやりでほわほわしている。

　ここにいると心地よくて眠っちゃいそう。

「わんわんー」
「ねむねむーじゃないよ。起きて星音」
「わんわんー」
「……(ちゅ)」
「わん⁉︎わんわん⁉︎わんわんわん？」

　急に頬にちゅって、そんなの寝てても起きるよ。……寝てたら気づかないか。

「起きた？」
「わん」
「月華探さないと」
「光で見えないだけで側いる」
「月華は眠くない？」
「ない。わんわんにしか効かねぇんじゃないのか？」

　わんわん。わんわん。月華ってわんわんって言うんだ。

　わんわん……可愛い。

「わんわん」
「……蝶華は眠くないんだよな？」
「眠い。昨日夜更かししてたから」
「それ関係ないだろ。それ言うなら俺も眠い」
「わん？」

　夜更かしなんてどうしてしてたんだろう。
　……もしかして私が起きるまで待っていたのかな。

「わんわん」

　そうだとしたらちょっと悪い気がする。

「星音は気にしなくていいよ。普通に寝顔見ながら勉強してただけだから」
「次のテストで補習にならないように星音に教えないとだから。それで、俺と蝶華で星音に教えられるように勉強してたんだ。自分もテスト勉強になるからって言って遅くまで」

　テスト忘れてた。でもまだ後だから。もう少し勉強しなくても、はだめだよね。

「後半に行くにつれてテスト範囲外勉強してたから本当に星音が気にする事じゃないよ」
「わんわん」

　とりあえずそのテスト勉強には混ざりたくない。分かんないから。でも、教えるようにってやってくれた事は本当に感謝。

「次のテストは赤点にならないように気をつけようね」

　それは素直に「わん(頑張る)」とは言えない。前回の事もあるから。