イディーラ学園の秘密部

天使？

　えっと、まずフギミドくんは別のクラスだった。でも、このクラスにも転校生が来るんだって。
　どんな人か楽しみ。

「えー、今日転校してきた天従くんだ」
「天従使織てんづかいしおるです。よろしくお願いします」
「みんな仲良くしてあげるんだぞ」

　……えっと、なんでなんだろう。いやな予感しかしない。

　そういえばこの前あの廊下？の帰り道

『星姫のご令嬢は異形なものが寄りつきやすいです。お気をつけください』

　って。なんでそれが急に思い出したのかは分からないけど。

　午前中の授業が終わってお昼休み。いやな予感はあってたのかな。

「あの、学食の場所を教えてください」

　転校生の天従くんってすごい顔が良いんだよ。しかも頭も良くて性格も良い。

　人気者みたい。

　だからその人気者が私に声をかけると周りのみんなが注目する。

　この空気ちょっと苦手。

　でも、道案内くらいで断る事なんて出来ないよね。

「うん」

　私は転校生の天従くんと一緒に食堂へ向かった。

　私は今日お弁当だから食堂に用事がないけど、学園の地図は知ってるし時々使うからちゃんと案内出来るよ。

　　　　　　＊＊＊＊＊＊

「ここが食堂だよ」
「感謝いたします」

　食堂に着くまでなにもなかった。いやな予感は注目される事なのかな。でも、まだなんかもやもやしている。

「じゃあ、私はお弁当だから」
「待ってください。貴方は優しい人ですから特別に渡したいものがあります」

　人もいるからあまり断りたくないけど、どうしようかな。

「星音、手伝い終わったから戻ったらいなくて寂しかったよ」
「蝶華、ごめんね」

　良かった。蝶華が来てくれて。

「待ってください」
「ごめんなさい。私、蝶華と約束があるから」

　私は蝶華の手を握って逃げるようにして食堂を出た。

　　　　　　＊＊＊＊＊＊

　いつもなら教室でお弁当を食べるのだけど、今日は何故か部室で食べる事になった。
　蝶華に案内されて。

「どうしてここなの？」
「ここならこういう話しても聞かれないでしょ」
「どういう話？」
「昔、書斎で読んだんだ。天使の逸話。特徴が同じだった。なるべく一人にならないで」

　星姫の令嬢は異形なものが寄りつきやすいっていうのと関係あるのかな。

　それかは分からないけど、隣の席でもない学級委員とかでもない私に突然声をかけて学食の場所を聞くのもちょっと怪しく感じちゃう。
　その後のお礼っていうのも。

「もう直ぐ授業始まる。一緒に行こ」
「うん」

　お弁当を片付けて蝶華と一緒に教室へ戻った。

　今回の場所は教室から離れていたけど、少し早めに部室から出ていたから授業開始前に間に合った。