イディーラ学園の秘密部

碧猫 

文字の大きさ
上 下
21 / 51

実技テスト

しおりを挟む
 二日目も全然出来ず三日目突入。今日から実技が入ってくる。

 実技苦手だけど今の状況だと筆記よりは高得点取れる可能性があるから頑張らないと。

 跳び箱飛べた試しがないけど。

「星音、練習時間教えるよ」
「うん」
「俺も教える」

 練習時間にみんなに教えてもらったけど一度も飛べなかった。

「星音、猫になった時高いとこぴょんぴょん飛んでたよね?」
「うん」
「普通に飛ぶくらい高くないから」

 本番、順番が回ってくる前に蝶華にそう言われた。

「とべたー」

 高くないって意識しただけで飛べた。

 高いのがだめで飛べなかったっていつ気付いたんだろう。自分でも気付いてなかったのに。

      ******

「はぁぁぁぁ」
「跳び箱飛べたのにまたドデカため息してる」
「はぁぁぁぁ」

 跳び箱だけじゃないんだよ。実技のできないのは。跳び箱だけじゃなくて、明日の音楽の歌を歌うのも苦手なの。

 人前で歌うって思うと声が出ないしそもそも音痴。

「はぁぁぁぁ」
「明日歌のテストだよね。練習する?」
「はぁぁぁぁ」
「星音ちゃん、練習一緒にしようよ」
「はぁぁぁぁ」
「星音ちゃん」
「空姫ちゃん?どうしたの?」
「一緒に歌の練習しようよ」
「……音痴だからやだ」
「そんな事ないよ。歌ってみればわかるから歌ってみて」

 音痴だから歌いたくないのに。でも空姫ちゃんのお願いだしちょっとだけなら。

「……練習すればきっと上手くなるよ」
「……星音、こっちで歌ってみて」

 蝶華から歌詞だけ書いてある紙を渡された。音程分かんないから余計酷くなりそうだけど。

「みんな廊下に出て」
「えっ、うん」

 私だけにされたけど何かあるのかな。誰もいないって分かると緊張はしないけど。

「~~♪」

 歌が終わるとみんな戻ってきた。

「星音、音楽の実技テストこの眼鏡つけろ。自分の番がきて歌う直前につけて歌い終わったら外せよ」
「うん」

 良く分かんないけど月華が眼鏡貸してくれた。

「眼鏡慣れてなくて見ずらいかもだから歌詞はこれで見て」
「うん」

 月零くんが歌詞の書いてある紙を貸してくれたけどなんでだろう。

「家庭科は大丈夫なの?」
「……」
「作ったもん昼飯になるんだろ?」
「お皿洗いならできる」
「……月華、空姫何作る?」
「星音の好きなもん作る」

     ******

 四日目は五限目の調合学のテストだけ手応えあった。

 最後の五日目は筆記テストは文字が読めなかった。

「これで筆記全部終わり」
「……」
「筆記どうだった?また文字変になってたのか?」
「うん。私は外国語と国語以外にも歴史もだった」
「外国語と理解と現代社会と古文と歴史」
「蝶華は初日一限目以外全部だったか?」
「うん。もう全部適当に書いてた。月華全部普通だったんでしょ?」
「ああ」

 月華が運良いのか蝶華が運悪いのか。両方なのかな。それとも、ばらばらだけど何か法則みたいなのがあるのかな。

「体力テストやだー」
「学年最下位だからか?」
「うん」

 運動苦手なの。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

フラワーキャッチャー

東山未怜
児童書・童話
春、中学1年生の恵梨は登校中、車に轢かれそうになったところを転校生・咲也(さくや)に突き飛ばされて助けられる。 実は咲也は花が絶滅した魔法界に花を甦らせるため、人の心に咲く花を集めに人間界にやってきた、「フラワーキャッチャー」だった。 けれど助けられたときに、咲也の力は恵梨に移ってしまった。 これからは恵梨が咲也の代わりに、人の心の花を集めることが使命だと告げられる。   恵梨は魔法のペンダントを預けられ、戸惑いながらもフラワーキャッチャーとしてがんばりはじめる。 お目付け役のハチドリ・ブルーベルと、ケンカしつつも共に行動しながら。 クラスメートの女子・真希は、恵梨の親友だったものの、なぜか小学4年生のあるときから恵梨に冷たくなった。さらには、咲也と親しげな恵梨をライバル視する。 合唱祭のピアノ伴奏に決まった恵梨の友人・奏子(そうこ)は、飼い猫が死んだ悲しみからピアノが弾けなくなってしまって……。 児童向けのドキワクな現代ファンタジーを、お楽しみいただけたら♪

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

月星人と少年

ピコ
児童書・童話
都会育ちの吉太少年は、とある事情で田舎の祖母の家に預けられる。 その家の裏手、竹藪の中には破天荒に暮らす小さな小さな姫がいた。 「拾ってもらう作戦を立てるぞー!おー!」 「「「「おー!」」」」 吉太少年に拾ってもらいたい姫の話です。

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

太郎ちゃん

ドスケベニート
児童書・童話
きれいな石ころを拾った太郎ちゃん。 それをお母さんに届けるために帰路を急ぐ。 しかし、立ちはだかる困難に苦戦を強いられる太郎ちゃん。 太郎ちゃんは無事お家へ帰ることはできるのか!? 何気ない日常に潜む危険に奮闘する、涙と愛のドタバタコメディー。

リトル・ヒーローズ

もり ひろし
児童書・童話
かわいいヒーローたち

クール天狗の溺愛事情

緋村燐
児童書・童話
サトリの子孫である美紗都は 中学の入学を期にあやかしの里・北妖に戻って来た。 一歳から人間の街で暮らしていたからうまく馴染めるか不安があったけれど……。 でも、素敵な出会いが待っていた。 黒い髪と同じ色の翼をもったカラス天狗。 普段クールだという彼は美紗都だけには甘くて……。 *・゜゚・*:.。..。.:*☆*:.。. .。.:*・゜゚・* 「可愛いな……」 *滝柳 風雅* 守りの力を持つカラス天狗 。.:*☆*:.。 「お前今から俺の第一嫁候補な」 *日宮 煉* 最強の火鬼 。.:*☆*:.。 「風雅の邪魔はしたくないけど、簡単に諦めたくもないなぁ」 *山里 那岐* 神の使いの白狐 \\ドキドキワクワクなあやかし現代ファンタジー!// 野いちご様 ベリーズカフェ様 魔法のiらんど様 エブリスタ様 にも掲載しています。

Sadness of the attendant

砂詠 飛来
児童書・童話
王子がまだ生熟れであるように、姫もまだまだ小娘でありました。 醜いカエルの姿に変えられてしまった王子を嘆く従者ハインリヒ。彼の強い憎しみの先に居たのは、王子を救ってくれた姫だった。

処理中です...