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秘密の部活
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「それが何かって事は知らない?」
「うん」
「魔法だよ。まだ自分で使う事はできないって話だけど、使い方知りたい?」
「うん」
私が話したのは、一年くらい前から不思議な事が起こるって事。
それを自覚したのは枯れたお花が悲しそうって見ていたら、翌日元気に咲いていた。その出来事が最初。それからも、何度か似たような事があったんだ。
「君って今は学生寮?」
「うん」
「じゃあ、僕らと同じ寮に引っ越し。荷物は持ってくるように頼んでおくから、今日一緒に帰るよ」
「えっ?」
「魔法って色んな事を引き起こせるんだけど、星音のそれってかなり特殊なんだ」
そもそも魔法ってなんなの?
分からない事ばかりなんだけど。
「もし寮で一人でいて悪い人が、とかならないとは言い切れないから。だめ?」
「ううん。良いんだけど、説明を」
「それは実際にやっていくうちに覚えるし、やりながらの方が良いかなって」
「うん」
「ついでに部活加入もよろしく。これに名前書いて」
部活って内容の説明をしてもらって、それで入りたいって思う場所に入るものじゃなかったの?
活動内容を何も知らないのに名前書くのには抵抗が
「先に活動内容を」
「君は特殊なケースだけど、君みたいに偶然ここへ辿り着いた人の悩みを聞くこととか。あとは理事長からの頼みを聞く事だね。基本暇だから遊んでるけど」
あの噂、もしかしたら偶然来た人たちが言っていた事から始まったのかも。でも、どうしてあんな怖そうな内容になったんだろう。
ん?理事長?
お父様が直接関わっていたの⁉︎
「ついでに下校時間に帰らなくても怒られない」
「下校時間?あっ⁉︎」
忘れてたけど、とっくに下校時間過ぎてる。
「名前書いたよ」
まだよく分かってないけど、どうせ入りたい部活ないから。
名前を書いて入部の紙を蝶華くんに渡した。
「これは入部条件とかじゃないんだけど、君って成績良い方?」
「……」
理事長の娘だからって成績良いって限らないんだよ。だからって入学試験はちゃんとギリギリでも合格できていたから。
「苦手なんだね」
「何で分かるの⁉︎」
「全部顔に出るから。ちなみにこの前のテストの合計点は?」
「黙秘」
「将来結婚する相手に隠し事するの?」
「……家庭科と音楽と美術入れて三十点」
お父様言ってたの。結婚する相手にはできるだけ隠し事は避けなさいって。隠したいような事でも受け入れてくれる人と結婚しなさいって。許嫁がいるのに。
だから、そんな言い方されたら答えないなんてできない。
「テストって今日返されたよね?見せて」
「……はい」
私は蝶華くんに嫌々テストを渡した。
「家庭科0点……美術は高いね。社会全般と外国語が特に苦手って感じかな」
「うん」
「僕で良ければ教えるよ。勉強はできる方だからね」
それは知ってるよ。初等部入学から今までずっと学年一位を取り続けているんだから。しかも、ほぼ全部満点。
学園トップテンは廊下に張り出されるから、毎回見ていたの。
「教えてください」
「良いよ。クラス一緒だから休み時間に時々でも良いから一緒にいてくれるなら」
「えっ」
「君と話してると楽しいから」
同じクラスって事もびっくりだけど、そんなふうに思われてるって事もびっくり。
「そろそろ帰ろっか。多分、他のみんな帰ってるし」
私と蝶華くんがいる場所から他のみんなの姿は壁はあって見れない。
なのにどうして分かるんだろう。
「うん」
「寮って二人で一部屋なんだけど、僕と一緒でも良いかな?」
「う、うん」
これ、知られたら周りにどう思われるんだろう。蝶華くんって人気高いから私じゃ不釣り合いって思う人が多そう。
「これからよろしくね」
「うん。よろしく」
「君に好きになって貰えるように頑張るよ」
「許嫁だからって無理にそういうのしなくて良いよ」
「許嫁関係なく言ってたんだけど。叔父さんに中等部入るまでは自由にさせとけって言われてて何もできなかっただけだし」
「えっ?」
「初等部の時にテスト返されると悲しい顔して、空姫さんといると楽しそうな顔してる君を見るのが好きだったんだ」
自分では顔に出ないタイプって思ってた。でも、そこまで顔に出ていたなんて。テストの事聞かれた時もそうだったみたいだし。
「うん」
「魔法だよ。まだ自分で使う事はできないって話だけど、使い方知りたい?」
「うん」
私が話したのは、一年くらい前から不思議な事が起こるって事。
それを自覚したのは枯れたお花が悲しそうって見ていたら、翌日元気に咲いていた。その出来事が最初。それからも、何度か似たような事があったんだ。
「君って今は学生寮?」
「うん」
「じゃあ、僕らと同じ寮に引っ越し。荷物は持ってくるように頼んでおくから、今日一緒に帰るよ」
「えっ?」
「魔法って色んな事を引き起こせるんだけど、星音のそれってかなり特殊なんだ」
そもそも魔法ってなんなの?
分からない事ばかりなんだけど。
「もし寮で一人でいて悪い人が、とかならないとは言い切れないから。だめ?」
「ううん。良いんだけど、説明を」
「それは実際にやっていくうちに覚えるし、やりながらの方が良いかなって」
「うん」
「ついでに部活加入もよろしく。これに名前書いて」
部活って内容の説明をしてもらって、それで入りたいって思う場所に入るものじゃなかったの?
活動内容を何も知らないのに名前書くのには抵抗が
「先に活動内容を」
「君は特殊なケースだけど、君みたいに偶然ここへ辿り着いた人の悩みを聞くこととか。あとは理事長からの頼みを聞く事だね。基本暇だから遊んでるけど」
あの噂、もしかしたら偶然来た人たちが言っていた事から始まったのかも。でも、どうしてあんな怖そうな内容になったんだろう。
ん?理事長?
お父様が直接関わっていたの⁉︎
「ついでに下校時間に帰らなくても怒られない」
「下校時間?あっ⁉︎」
忘れてたけど、とっくに下校時間過ぎてる。
「名前書いたよ」
まだよく分かってないけど、どうせ入りたい部活ないから。
名前を書いて入部の紙を蝶華くんに渡した。
「これは入部条件とかじゃないんだけど、君って成績良い方?」
「……」
理事長の娘だからって成績良いって限らないんだよ。だからって入学試験はちゃんとギリギリでも合格できていたから。
「苦手なんだね」
「何で分かるの⁉︎」
「全部顔に出るから。ちなみにこの前のテストの合計点は?」
「黙秘」
「将来結婚する相手に隠し事するの?」
「……家庭科と音楽と美術入れて三十点」
お父様言ってたの。結婚する相手にはできるだけ隠し事は避けなさいって。隠したいような事でも受け入れてくれる人と結婚しなさいって。許嫁がいるのに。
だから、そんな言い方されたら答えないなんてできない。
「テストって今日返されたよね?見せて」
「……はい」
私は蝶華くんに嫌々テストを渡した。
「家庭科0点……美術は高いね。社会全般と外国語が特に苦手って感じかな」
「うん」
「僕で良ければ教えるよ。勉強はできる方だからね」
それは知ってるよ。初等部入学から今までずっと学年一位を取り続けているんだから。しかも、ほぼ全部満点。
学園トップテンは廊下に張り出されるから、毎回見ていたの。
「教えてください」
「良いよ。クラス一緒だから休み時間に時々でも良いから一緒にいてくれるなら」
「えっ」
「君と話してると楽しいから」
同じクラスって事もびっくりだけど、そんなふうに思われてるって事もびっくり。
「そろそろ帰ろっか。多分、他のみんな帰ってるし」
私と蝶華くんがいる場所から他のみんなの姿は壁はあって見れない。
なのにどうして分かるんだろう。
「うん」
「寮って二人で一部屋なんだけど、僕と一緒でも良いかな?」
「う、うん」
これ、知られたら周りにどう思われるんだろう。蝶華くんって人気高いから私じゃ不釣り合いって思う人が多そう。
「これからよろしくね」
「うん。よろしく」
「君に好きになって貰えるように頑張るよ」
「許嫁だからって無理にそういうのしなくて良いよ」
「許嫁関係なく言ってたんだけど。叔父さんに中等部入るまでは自由にさせとけって言われてて何もできなかっただけだし」
「えっ?」
「初等部の時にテスト返されると悲しい顔して、空姫さんといると楽しそうな顔してる君を見るのが好きだったんだ」
自分では顔に出ないタイプって思ってた。でも、そこまで顔に出ていたなんて。テストの事聞かれた時もそうだったみたいだし。
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