天使の姫と人間の王女

碧猫 

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アディグアとお兄ちゃんの出会いを教えてもらいました

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 結婚してから言う事でもない気がするけど、まだお互いの事全然知らないんじゃないかなって思ったの。

 そもそも、結婚自体勢いで決めているから。

「アディグアとお兄ちゃんって知り合いなんだよね?外ではどんな感じだったの?」
「学生時代だから数年前か……」

     ******

 当時のおれは王位を継がないからこそ、知識を持っておいた方が良いと思い勉学に励んでいた。

 悪魔と天使は歪みあっているが学園が一つしかなく、両方とも通っていたもんだからかなり荒れていたんだ。
 その中でも気にせず一人教室で勉学に励んでいるとヨジェドは声をかけてきた。

「学園一位、勉強を教えてくれはしないか?」
「誰だ?」
「学年二位のヨジェドだ。以後覚えておくように」

 腕を組んで見下ろして教えて貰おうとしているとは思えない立ち姿だった。

 初めは偉そうな天使としか思わなかった。けど、それは初めだけ。

「何を教えて欲しいんだ?」
「これだ。悪魔の日常。この小説は本当の事なのか教えて欲しい」

 勉強を教えて欲しいと言いながら小説を出してくるなんて今まで会った事なかった。それは今でもか

「人それぞれだろ」
「なら、一位の趣味はなんだ?休日の過ごし方は?何が好き?何が嫌い?」
「一気に質問するな。趣味は街に出る事だな。休日は街で遊んでいる。辛いの好きで味が混ざっているのが嫌いだ」
「ハハハハッ。やはり、変わらないではないか。どこが悪魔は醜く悪人だ。悪魔も天使も何も変わらない」

 初めてだった。その言葉を聞いたのが。何も変わらない。当たり前なはずなのに誰も考えようとすらしなかった言葉。それを目の前の男は高笑いをしながら当然の如く言ったのだ。

「変わってるな」
「天使ではという点では認めよう。だが、天使も人間も悪魔も変わらないと思うきっかけがあったからこそだ。見ろ!この可愛い天使を」
「どう見ても天使じゃないだろ」
「可愛いから天使だ」

 見せつけてきたのはミュニアの幼い写真。可愛いのは認めるが、どう見ても人間だった。

「人間は欲深い?そんな事はない。我々と変わらないただの女の子だ」
「そうだな。それで、教えて欲しかった事はこれだけか?」
「そうだ。感謝する。一位」
「アディグアだ。また悪魔の事で聞きたい事があれば聞いても良い。天使の事を教える条件でな」
「良いだろう。聞きたい事があればなんでも聞き合う。友というもののようだな」
「友?悪魔と天使が?」
「そんな事関係ない。今日から友だ、アディグア」

 偉そうな天使から初めてできた学ぶ事に貪欲な友。今では親友と呼べるような関係だ。

     ******

「じゃあ、今でも連絡とっていたの?」
「たまにな。ミュニアの事は毎回話されたが名前は聞いていなかった。写真も全て小さい頃だった」

 学生時代は寮暮らしで中々会えなかったから写真がなかったんだ。

「おれが悪魔と天使が手を取り合う事ができるんじゃないかって思うようになったのもこれがきっかけだ」
「私の知っているお兄ちゃんじゃないみたい」

 お兄ちゃんは私にこういう話はしなかった。好きにすれば良いって。

 それに

「学園でのお兄ちゃんは怖いとか偉そうとか色々聞いていたんだ。だから心配だった」
「そういえばおれと話している時だけだったな。楽しそうに話していたのは」
「ありがとう。お兄ちゃんの友達になってくれて」

 アディグアの事以上にお兄ちゃんの知らなかった部分を知れた。アディグアもお兄ちゃんも楽しそうで少しだけ憧れちゃう。
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