天使の姫と人間の王女

碧猫 

文字の大きさ
上 下
4 / 10

4話 私は呪われてるそうです

しおりを挟む
 人間の国の王都なんて初めて来た。

 なんだか色んなものがいっぱいあって目が回りそう。

「王宮ってどうやったら行けるの?」
「そこも無計画か」
「行けるかなって」
「行けるわけねぇから」
「どうやって行くの?」

 行く方法がないならここまで来た意味が無くなっちゃう。

 冒険って感じがして少し楽しかった以外の収穫が無くなっちゃう。

「これ」

 行方不明の王女様?

 張り紙が貼ってある。見つけた人はお金が貰えるんだって。

 お金とかは良いんだけど、その王女様のいなくなった時期が私の拾われた時期と同じなの。

 偶然なんだよね?

「気になるのか?」
「うん。私が拾われた時期と同じだから」
「確かめたいか?」
「うん」
「なら、おれの言う事を聞け」

 王宮へ入る方法をアディグアは教えてくれた。

 その方法で二人で王宮へ入る事になった。

     ******

 人間の国の王宮はとても豪華なんだ。

 すっごく高そう。どれだけのお金をかけて造られているんだろう。

「というわけで、その第二王女を貢げばこの国を守ってやろう」
「第二王女は現在行方が分かりません。他の貢物でお願いできないでしょうか」
「何故いない。嘘偽りなく理由を話せ」
「第二王女は産まれつき呪われておられます。その呪いは、この国を脅かすものとなりましょう」
「呪いがあるから捨てたと申すか」

 国の事を考えないとだから仕方がないのかもしれないけど、でも納得はできない。

「アディグア、帰ろ」
「第二王女がいないなら話はなしだ」

 闇色の渦が私とアディグアを包み込んだ。

     ******

「王宮の外?」
「簡単な魔法だ」
「すごい!魔法って本当にあったんだ」

 一瞬で外に出る魔法。魔法自体を初めて見たから感動だよ。

「……ミュニア、おれと一緒に来ないか?魔界なら呪いなんて誰も気にしない。むしろ祝福される」
「行けないよ。私、天使の姫だから。どんな理由があってもそれだけは捨てたくないの」
「天使……悪魔は呪いが得意で天使は浄化が得意……ミュニア、少し付き合え」

 私が何か言うよりも先にアディグアがさっきの魔法を使った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

処理中です...