天使の姫と人間の王女

碧猫 

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3話 計画性が大事と知りました

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 悪魔の王子様に私が知っている姉さまの事を教えた。

「で?金は?計画は?」
「全部ない」
「なぜ笑ってられる!」
「にこにこしてるのが取り柄なの。悪魔の王子様はしっかりしていそうだね」
「当然だ。というか、その呼び方やめろ。アディグアと呼べ」
「私ミュニア」
「ミュニア、一人で数日間出かけるという意味をじっくり教えてやろう」

 アディグアは私の無計画さが気に入らないみたい。

 アディグアによる遠出講習が始まった。

     ******

「分かったか」
「うん。そうしてればもっと不安も少なかったんだ」
「不安があったならやっておけよ!」

 一時間の講習でじっくりと計画の必要性について教えてくれた。

「でも、アディグアに出会えたからこの無計画さも感謝かな」
「はぁ……とりあえず寝るぞ」
「うん。おやすみ」

 講習のおかげでよく眠れた。あの講習にそういう作用でもあったのかも。

     ******

「ら~らら~ららら~」

 食料が必要だからどうにかしてみろって言われて、歌を歌った。

「ありがとうございます」

 歌だけでみんなから野菜とか果物を貰えた。

「歌姫の美声だな」
「うん。スキルってわけでもないと思うけど」
「何を言っている。これは立派なスキルだ。これを磨いてきた事も聞いていて分かった」
「ありがとう」

 歌うだけだから役に立たないと思っていた。それを認められると嬉しい。

「王宮の場所を聞いた。行くぞ」
「うん」

     ******

「もっとあったかい服持っておけば良かった」
「計画性」
「うん。そういえば、悪魔と天使って言語違うのにどうして話せるの?」
「今は同じだからだ」

 天界に慣れる事ばかりやっていて勉強はそんなにしていなかったから知らなかった。

「それより見えてきたぞ。これが王都だ」
「乗り物乗ったり歩いたり、長かったね」
「当然だ。中に入るぞ」

 私の産まれたかもしれない場所。少しだけドキドキする。

「人間の国は迷うやすい」

 目的地が分かりやすいから迷子になんてならない。

 気を使って手を繋いでくれたのかな。

「ありがとう」

 長い移動を経て私達は王都へ入った。
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