天使の姫と人間の王女

碧猫 

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1話 天界から出ようと思います

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 緑がとても綺麗で楽園のような場所。私はこの楽園もとい天界に住んでいるんだよ。

 天界の姫、それが私ミュニア。

「また外に出ていた」
「兄さま。兄さまも外で遊ぼうよ」
「また今度」

 私は小さい頃に天界で拾われた。その拾ってくれたのが兄さま。

 今は忙しいみたい。後でお菓子でも部屋に持って行こう。

     ******

 部屋にお菓子を隠してあるからそれを出して、兄さまの部屋へ持ってく。

 戻っていると思うけど

「ミュニアがどこの子であっても妹である事に変わりはない」
「ですが、姫様には本当のご兄弟がいるのですよ」
「人間の国の王女フィリファナ。だからと言って今外に出すわけには」

 きょうだい?人間の国の王女?

 拾われてから十年以上、そんな話は聞いた事がない。

 会いたい。

 姉さまに会いたい。

 言ったところで兄さまは会わせてくれそうにない。

 だったら、一人で行って会いに行く。

 天界から出るのは簡単だけど、兄さまにバレないようにしておかないとだから一旦部屋に戻る。

     ******

 部屋に鍵をかけて、布や服で布団を膨らませて人がいるように見せる。

 あとは、外へ出るんだから袋を持って行こう。

 袋の中に服と隠していたお菓子をいくつか入れておけば食料にも困らない。

 姉さまに会うためのお出かけは今日の夜にしよう。

 人間の国へ行くのには羽はない方が良いと思うけど、念の為袋の中に入れておく。

 私は兄さま達と違って羽がないからいつも偽物の羽をつけている。

 それこそが天使でない何よりもの証拠なのかもしれないね。天使は羽があるから。

     ******

 決行の夜になった。

 物音を立てないようにこっそりと部屋を出る。普通に出ると見つかるから隠し通路から。

 外で遊びたい時に使っていたベッド横の隠し通路がこんなところで役に立つとは。

 隠し通路から天界を出るゲートまではかなり近い。それに、人がいない。

 兄さまには悪いけどこれで、人間の国へ行ける。

 私はゲートを潜って人間の国へ行った。
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