二つの世界を彷徨う銀の姫

碧猫 

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十七の世界 イタズラジシェン

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 野菜クレープなら甘さが控えていて食べやすいな。

「プシェ、恋人はデートの時に水族館とか喫茶店とか行くんだって」

 これはシェフィの遠回しにおねだり作戦か。最近よくやられて気づけるようになった。

「だから、その、行ってみたいなぁって」
「どっちにだ?」

 行く行かないは後にしてどちらに行ってみたいかというのは気になる。

「水族館」

 そう言った後、シェフィは照れながらその理由を話した。

「水族館っていっぱいサメとか泳いでいるんでしょ?見てみたいなぁって」
「……誰がシェフィに水族館を教えた?」
「……」

 シェフィが自分で調べて水族館をそういうものと知ったとは思えず、言ってしまった。だが、これは本当に誰かが教えた事だった。

 シェフィの隣にいたジシェンが目を逸らして黙って手を上げた。

 まさか本当に信じるとは思ってなかったといったところだろう。

 一般人がデートに選ぶような場所がそんな場所と信じるはずがないと思うのは分かる。分かるのだが、シェフィだと考えると信じてしまいそうと思ってしまう。

「自分で本当の事言うんだ。私は知らないからな」
「……」

 ジシェンも分かっているのだろう。本当の事を伝えればシェフィががっかりするという事を。

 だからこそ私は自分から伝えたくないのだ。

「違うの?」
「……水族館は色んな魚が泳いでる場所だ。サメがいるところもあるだろうが、サメばかりではない」
「……そうなんだ」

 見るからにがっかりしている。

 初めから真実を伝えておけばこうはならなかったのだろう。

「でも、デートスポットっていうのは本当の事なんだよね?」
「それは本当だ」
「じゃあ喫茶店にはコーヒーと紅茶のタワーがあるっていうのは?あれも見てみたいんだ」

 どれだけ嘘教えてるんだ。そして、なんでそんな嘘を信じるんだ。

 これを教えた張本人はこれ以上がっかりさせたくないのか黙って目線を逸らしている。

「シェフィ、明日休みだから一緒に水族館行った後喫茶店に行こう」
「ほんとう⁉︎ありがとう」
「ジシェンも一緒に行くんだ」

 これで気づくだろう。

「他にも何か教えてもらった事はあるのか?」
「うん。動物園は獰猛な動物達が園内を彷徨っているとか、公園には巨大な要塞が建っている。それに、博物館には動く古代生物がいるって教えてもらったよ」
「全てジシェンにか?」
「うん」

 嘘教えすぎだろう。というか、シェフィって学園で文武共に成績トップでしっかりしているのにこういう事に騙されるとは。
 普段行かないからか、かなりの世間知らずなのだろうな。

 ちなみにだが、一の世界で毎回学年一位を取っていたのはジシェンだ。

 にしても、これだけ嘘吹き込まれていると正すのに時間がかかるな。自分が言ったからシェフィががっかりしたなんてなりたくないから実際に行って教えるからな。
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