二つの世界を彷徨う銀の姫

碧猫 

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六の世界 謎の飲み物を飲んだシェフィル

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 あれから五日間経った。その間いつも通り二つの世界を行き来していた。

「オプシェ、デートしよ」

 記憶の事での進展はないが、シェフィルが面白い事になっている。

 昨日騎士クラスの友人から飲み物を貰ったらしい。
 その飲み物を飲んで今こうなっている。

「デート」
「今度な」
「デートして?僕、プシェと一緒にデートしたい」
「今は無理だ」
「デートしたい。デート」

 ずっとこれなんだ。デートしたいってずっと言って聞かない。

「だめ?デート」
「……少しだけなら」

 押し負けてしまった。あんな小動物のような可愛らしい顔で言われ続ければ良いと言ってしまう。

「やったー。僕おすすめの場所あるから行こ」
「準備するから少し待て……部屋でもデートってできるだろう」

 休みの日はできれば休みたい。外に出たくない。

 今もシェフィルが私の家に来てくれている。

「えー、たまには外でデートしたい。特別なデートは特別な場所でしたい」
「部屋デートでも特別だろう」
「外が良い。プシェは僕と一緒に外に出たくないの?」
「出たくないわけではないが」

 正直出たくないな。だが、それを素直に言うとまたきゅるるんとか効果音つきそうな顔をされかねない。

「プシェ、外に出ようよ。楽しいよ。外でご飯食べて夜は夜景の綺麗な場所で花をプレゼントして、二人で同じベッドで眠って」
「それはもう少しだけを超えている」
「だめ?」

 だからその顔をやめろ。なんでそんなに可愛い小動物な顔しているんだ。

「僕プシェと一緒にでー……あの、その、冗談だから!したくないとは言わないけどそんな断られてるのにしたいなんて言わないから!ごめん」

 効果は短かったようだ。飲み物の効果が消えて元に戻った。

「分かってる」
「……でも、デートっていうのか分からないけど部屋で一緒にいたいかも」
「そのくらいなら良い」
「ねぇ、プシェ。したいとかじゃないけど、結婚ってどんな感じなんだろうね。一度で良いからプシェのドレス姿も見てみたいよ」

 結婚。前にジシェンから言われていたな。どんな感じと聞かれた時は同じように結婚を迫られると思ったが、それはなくて安心した。

 別に良いのだが、今はまだ答える事ができないから返事に困るんだよな。

「シェフィル、さっきから昔の呼び方になってる」
「あっ、こっちの方が慣れてるから。いやだった?」
「別にいやではない。シェフィ」

 向こうが昔の愛称を使うならこっちも良いだろう。

「……」

 なぜそんなに顔を赤くする。そしてなぜなにも言わない。

「……もう夕方だね。僕帰るよ。このあと用事あるんでしょ?」
「えっ、いや、今日はなにもない」
「そっか。いつもあるからあると思った。じゃあ、夜まで一緒でも良い?」
「最近あまり構ってやれなかったしこの前の礼もあるから泊まって良い」

 夕方から用事があるなんて一度も言った事がない。なぜ知っているのかこれで聞けるだろう。
 あと、シェフィって料理上手いから……あっ、食材がない!

 夕方というがまだ日は高い。もう直ぐ夕方というくらいだ。
 これなら買い物に行ってもそこまで遅くはならないだろう。

「フィル、一緒に買い物に行かないか?」
「良いよ」

 外へ出るのは面倒だが、仕方ない。
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