4 / 31
四の世界 シェフィルの謎
しおりを挟む
見慣れない天井。というか、これはあれか。王子様が寝るような感じのあのベッドか。
「気がついた?これ、食べれる?」
「ここは?」
「僕の部屋。急に倒れて心配した。過労だからちゃんと休んで」
過労。二つの世界を行き来して休む時間がほとんどなかったからか。
今何時だ。ジシェンとの約束が
「どこ行こうとしてんの?ちゃんと休まなきゃだめ」
「この後用があるんだ。早く行かないと」
「倒れたんだから休まないとだめ!元気になるまでこの部屋から出さないから!」
珍しく怒ってる。滅多に怒る事はないというのに。
だが、それでも行かなければ。一の世界の暮らしがあるのだから。
「絶対に安静にしてもらうからね」
「だが」
「後で倒れて行けなかったとか言えば良いでしょ!本当の事なんだから!絶対安静にしてもらうから。ちゃんと寝るまで監視するから」
逃げられそうにない。こうなったら何としても引かないんだ。
「分かった。大人しくしている」
ちゃんと話してまた今度約束をすれば良いのだろうか。
まだ頭が回っていない。後で考えるか。
「……何か悩みでもあるなら教えて?僕にできる事なら力になるから」
悩みか。それはあるが言うわけにはいかない。悩みを言えばもう一つの世界を知らせると同じなのだから。
「ありがとう。その気持ちだけで十分だ」
「……時々様子見に来るから大人しくしててよ」
「分かってる」
寝たらまたあの夢が見れるのかな。あの夢が私の生まれを教えてくれる気がするんだ。
一人になると部屋が広く感じるな。元々広いのは広いんだが、余計に広く感じるんだ。
もう夜だ。ジシェンはどうしているのだろうか。
「待っているのだろうか」
そういえば食事を用意してくれていたな。
「……これ」
シェフィルは高位貴族なのだが、これはどういう事なんだ?
時々私の家に来て作ってくれる料理と味が変わらない。使用人がいるのではないのか?
考えたところで何も分からないか。
「……」
今まで忙しかった分、休もうとしても落ち着かない。
「オプシェ、寝てる?」
「起きてる」
「寝れないなら眠くなる本でも読む?」
眠くなる本とはその手に持っているものか。
勉強嫌いで眠くなるのではなくて?
あぁ、騎士推薦で忘れていたがシェフィルは今は変わったらしいから元宰相の息子だった。
変わった理由は宰相が突然姿を消したかららしい。
「これ読んでるといつも眠くなるんだ」
「どんな本なんだ?」
「読んでみれば分かるよ……寂しいからここいて良い?」
「君の部屋なんだからいて良いだろう」
「……もし、これがオプシェの部屋でも……なんでもない」
「一緒にいて良い。一人でいるのは暇だからな」
ただ事実を述べただけだというのにシェフィルは嬉しそうにしていた。
「気がついた?これ、食べれる?」
「ここは?」
「僕の部屋。急に倒れて心配した。過労だからちゃんと休んで」
過労。二つの世界を行き来して休む時間がほとんどなかったからか。
今何時だ。ジシェンとの約束が
「どこ行こうとしてんの?ちゃんと休まなきゃだめ」
「この後用があるんだ。早く行かないと」
「倒れたんだから休まないとだめ!元気になるまでこの部屋から出さないから!」
珍しく怒ってる。滅多に怒る事はないというのに。
だが、それでも行かなければ。一の世界の暮らしがあるのだから。
「絶対に安静にしてもらうからね」
「だが」
「後で倒れて行けなかったとか言えば良いでしょ!本当の事なんだから!絶対安静にしてもらうから。ちゃんと寝るまで監視するから」
逃げられそうにない。こうなったら何としても引かないんだ。
「分かった。大人しくしている」
ちゃんと話してまた今度約束をすれば良いのだろうか。
まだ頭が回っていない。後で考えるか。
「……何か悩みでもあるなら教えて?僕にできる事なら力になるから」
悩みか。それはあるが言うわけにはいかない。悩みを言えばもう一つの世界を知らせると同じなのだから。
「ありがとう。その気持ちだけで十分だ」
「……時々様子見に来るから大人しくしててよ」
「分かってる」
寝たらまたあの夢が見れるのかな。あの夢が私の生まれを教えてくれる気がするんだ。
一人になると部屋が広く感じるな。元々広いのは広いんだが、余計に広く感じるんだ。
もう夜だ。ジシェンはどうしているのだろうか。
「待っているのだろうか」
そういえば食事を用意してくれていたな。
「……これ」
シェフィルは高位貴族なのだが、これはどういう事なんだ?
時々私の家に来て作ってくれる料理と味が変わらない。使用人がいるのではないのか?
考えたところで何も分からないか。
「……」
今まで忙しかった分、休もうとしても落ち着かない。
「オプシェ、寝てる?」
「起きてる」
「寝れないなら眠くなる本でも読む?」
眠くなる本とはその手に持っているものか。
勉強嫌いで眠くなるのではなくて?
あぁ、騎士推薦で忘れていたがシェフィルは今は変わったらしいから元宰相の息子だった。
変わった理由は宰相が突然姿を消したかららしい。
「これ読んでるといつも眠くなるんだ」
「どんな本なんだ?」
「読んでみれば分かるよ……寂しいからここいて良い?」
「君の部屋なんだからいて良いだろう」
「……もし、これがオプシェの部屋でも……なんでもない」
「一緒にいて良い。一人でいるのは暇だからな」
ただ事実を述べただけだというのにシェフィルは嬉しそうにしていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる