二つの世界を彷徨う銀の姫

碧猫 

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四の世界 シェフィルの謎

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 見慣れない天井。というか、これはあれか。王子様が寝るような感じのあのベッドか。

「気がついた?これ、食べれる?」
「ここは?」
「僕の部屋。急に倒れて心配した。過労だからちゃんと休んで」

 過労。二つの世界を行き来して休む時間がほとんどなかったからか。

 今何時だ。ジシェンとの約束が

「どこ行こうとしてんの?ちゃんと休まなきゃだめ」
「この後用があるんだ。早く行かないと」
「倒れたんだから休まないとだめ!元気になるまでこの部屋から出さないから!」

 珍しく怒ってる。滅多に怒る事はないというのに。

 だが、それでも行かなければ。一の世界の暮らしがあるのだから。

「絶対に安静にしてもらうからね」
「だが」
「後で倒れて行けなかったとか言えば良いでしょ!本当の事なんだから!絶対安静にしてもらうから。ちゃんと寝るまで監視するから」

 逃げられそうにない。こうなったら何としても引かないんだ。

「分かった。大人しくしている」

 ちゃんと話してまた今度約束をすれば良いのだろうか。

 まだ頭が回っていない。後で考えるか。

「……何か悩みでもあるなら教えて?僕にできる事なら力になるから」

 悩みか。それはあるが言うわけにはいかない。悩みを言えばもう一つの世界を知らせると同じなのだから。

「ありがとう。その気持ちだけで十分だ」
「……時々様子見に来るから大人しくしててよ」
「分かってる」

 寝たらまたあの夢が見れるのかな。あの夢が私の生まれを教えてくれる気がするんだ。

 一人になると部屋が広く感じるな。元々広いのは広いんだが、余計に広く感じるんだ。

 もう夜だ。ジシェンはどうしているのだろうか。

「待っているのだろうか」

 そういえば食事を用意してくれていたな。

「……これ」

 シェフィルは高位貴族なのだが、これはどういう事なんだ?

 時々私の家に来て作ってくれる料理と味が変わらない。使用人がいるのではないのか?

 考えたところで何も分からないか。

「……」

 今まで忙しかった分、休もうとしても落ち着かない。

「オプシェ、寝てる?」
「起きてる」
「寝れないなら眠くなる本でも読む?」

 眠くなる本とはその手に持っているものか。

 勉強嫌いで眠くなるのではなくて?

 あぁ、騎士推薦で忘れていたがシェフィルは今は変わったらしいから元宰相の息子だった。

 変わった理由は宰相が突然姿を消したかららしい。

「これ読んでるといつも眠くなるんだ」
「どんな本なんだ?」
「読んでみれば分かるよ……寂しいからここいて良い?」
「君の部屋なんだからいて良いだろう」
「……もし、これがオプシェの部屋でも……なんでもない」
「一緒にいて良い。一人でいるのは暇だからな」

 ただ事実を述べただけだというのにシェフィルは嬉しそうにしていた。
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