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第518話 まぜ タラ 危険
しおりを挟む「聖下!お客様がお待ちです」
「ん?僕に取り次ぐなんて珍しいね」
他の国の大臣が来ても僕に言ってくることはない
緊急の患者ならあることもあるけどそもそもここまで来れるなら担いでも連れてくることができるからこういうことはめったにない
「ニュー・ホモ・サピエンスボルボルなんとかいう・・・聖下がコラボ承認した人がやってきています」
どこかの聖人の人でコラボ配信してほしいんだったかな?
見に行くと・・・やばい人が居た
なにかの機械を壁に向かって当てて、見ている
ゴム手袋とピンセットで壁に向かってなにかしている
「あっ、この人やばいわ」
ついてきた黒葉の小さなつぶやきに同意する
髪の毛の色が頭の真ん中で青紫と赤紫で分けられたおねーさん
「ふふっ・・・この城は興味深いね」
「こんにちは」
声をかけたくはなかった、しかしここは僕がかけるしか無いだろう
お帰りはあちらですと言いたいところだけどOKを出してしまったのは僕だ
「君が元杉洋介かね!」
「はい・・・コラ「君には聞きたいことがたくさんあったんだ!あの不思議な力はどうやって使っていて神とい・・・・おぉ!この虎ちゃんも実際に居たんだね!100万年以上前に居たとされるサーベルタイガーの生き残りというわけでもないと見て取れるが、ホワイトタイガーと称されるだけの大きさを遥かに超えてい・・ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ白い熊になにか塗っただけでスミロドンの生き残りというわけでもなくブツブツブツブツブツブツ・・・この青と金の毛柄はスプレーじゃなくて地毛かい?採取してDNA検査しても良いかね?もちろん費用は吾輩が出そうぞ?どうかな?少年よ」
「あ、その、スミロドンってなんですか?」
寄ってきたお姉さんは、陸上選手のようにすごい動きで近付いてきたがルールによって服を咥えられて吊るされた
何言ってるかわからなかったからびっくりして変な質問を返してしまった
武器を出してくるわけではなく、早口でなにか言い初めて、ルールに服を咥えられても全く動じていない
ルールは熊よりも大きいし興味があるのはわかる、可愛いしね
「スミロドンはサーベルタイガーを分別した種でサーベルタイガーは1万年から100万年前に居たとされその中でも比較的後期に居たとされるものだね、だが現存する骨格の特徴とも言えるナイフのような長い牙はないし、別の種類にも見えるが、いやしかし、近代においてこれだけの大きさを誇ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」
ルールに全く動じることもなくブツブツ言っているボルボルさん
なんかルールもどうするのこれ?って戸惑ってる気がする、僕も思う
「阿部と同じ雰囲気がしますわ」
「このおばさんもお父様の結婚相手?」
「違うから、初対面だから」
意味わかんない人だけど頭の良い人には聞いてみたいことがあったんだ
ロム達を一度領地に返して代わりに来たばかりのアブサンとミードを連れてきた
「お久しぶりですなぁスケ殿」
「ユーちゃん?おひさぁ」
「日本で困ってることあるんだけど知恵をかしてくれないかな?」
「酒は?」
「あるよ」
アブサンとミードはエルフで酒の作り方なんかに詳しく聞かれて、基礎科学について教えたことがある
昔、旅で押し付けられてきた変態である
この2人は酒蔵の権利を持っていて、エルフの感覚で200年後に熟成した酒を取りに行ったら全部王族が持っていったとかで怒り狂った逸話が残っている
国相手にたった2人でガチ戦争かけてた変態だ
結局捕まって殺すぐらいなら旅の仲間にどうだって押し付けられて・・・旅では役立たずすぎてエルフの森の一つを防衛拠点として逃げ込める場所として作ってもらっていた
戦い方や生き方は神様たちもドン引きするものだったけど、カルカスに出会ってちょっとだけ改心した
手足を切り裂かれ、後は死ぬだけとなったが2人を殺すのは惜しかったから最後にカルカスに説得を頼んだらカルカスは秘蔵のお酒を飲ませてなぜか従順な奴隷となったうちの子
日本にはお酒が何百も何千も売ってたって話をしてからカルカスも熱心に働くようになったし・・きっとお酒目当てだったのだと思う
カルカスは酒好きの老齢ドワーフで、酒以外飲まないという事で酒の神に気に入られていた超のつく変人だ
普段はまともだし頼れるけどお馬鹿爺ちゃんである
アブサンとミードの名前は[異世界辞典]によるとアブサンは薬草で作った酒という意味で、ミードは蜂蜜の酒らしい
「おぉ!こちらがアオキチキューですかぁ!皆さん!まずはこの出会いをシチューベリとファテナニッカの********しき導きに感謝し、ここに導きしサシル***に月の光の元、大地と樹々の豊穣を杯をぶつけて*****?」
城に【転移】で連れてきたアブサンは折れそうなほど細い身体を両手に広げて挨拶した
若干何言ってるかわからないが、それは仕方ない
二人を連れてきたのはお酒好きすぎる部分はあるけどとても賢いし、魔法や魔道具にも詳しいからきっとこっちでも役に立つはず・・タイプ阿部の人だから領地でなにかされるのもちょっと怖い
「お近づきの印にお酒を飲みたいって言ってる」
「なるほど」
アブサンは純粋なエルフだが、その孫であるミードはまさかのドワーフとのハーフだ
ミードはでっぷりがっちりむっちりしているおばちゃん、赤鼻で耳も長い
髭は生えていないがエルフの中でも希少な妖精種の血が強く出たのか透明な羽が生えている
細くて病弱に見えるアブサンといると余計に太く見える、ミツバチのようだからミードと名付けた
「考えてほしいのは魔力をこっちの人が使えるようになるための方法なんだ、お酒出すから頭のいい人たちと話し合って意見が聞きたいな、期限は日が2回落ちるまで」
「わかぁりましたぁ」
「おぉ!その羽根!なになに!?神経通ってるの!?「ボルボルさん」少年!さっきぶり!」
「一般人が魔法を使えるように話し合ってもらおうとしているのですが、その酒宴にボルボルさんも参加しますか?」
「ハッハー!吾輩!酒にはめっぽう強くてのぉ!!!参加させてもらおうではないか!!!」
こういう、多分天才の人には問題を投げかけておいたほうがコントロールしやすい
ほっておくと共通して意味のわからないことをし始める
アブサンは僕の入ったお風呂でお酒作ろうとしたし、阿部はきゅうりを分解してた
ボルボルさんも確実にそういう人の雰囲気がする
というわけでサイトウ・ボルボルさんと阿部達研究所の人たち、アブサンとミードとカルカスには酒盛りしてもらうこととなった
コラボに来たんだがというのでコラボのネタにするのでと言うと「この企画は3年ぐらいやらないか?」と言われた
何故に3年なのだろう、言葉はわかるのに意味がわからない
関羽とロムも連れてこよう、お酒好きらしいし・・きっとこの人たちの暴走を止めてくれるはずだ
「アブサン、ミード、カルカス、こっちと向こうじゃ常識が違うからマナー違反で気を悪くしちゃ駄目だからね」
「「「はい」」」
「飲み過ぎたら駄目、それと研究所の皆も、ボルボルさんも、酒の勝負とかで賭け事も禁止、お話を聞くのは良いけど強要も駄目、わかった?」
「「「「・・・・はい」」」」」
「よろしい、おつまみやお酒出すから、準備して、ビーカーで呑むのも駄目」
先に皆を集めて注意しておく、今はまともに聞いてくれてるがお酒に浮足立っているのがわかる
ビーカーに入った試薬や2日前の腐った牛乳を飲んで倒れたとかいう意味の分からない報告も来ていたし注意しておいたほうが良いだろう
研究所には人が増えすぎて誰が誰かわからないということもあるし歓迎の意味もこめて手の空いている神官や信徒たちも全員参加だ
研究者も世界中から来ているだけあって母国の酒が飲みたいとか、サルミアッキ?という飴が恋しいとか、そういう不満も聞いている
ボルボルさんは話通じないし、好きにしていいよって言ったら魔法の研究についてものすごく突っ込んでいった
「ついに吾輩も魔法が使える日が来たのか・・・!!」
とか言ってる、使えるかはしらない
集めてもらった世界の食料には、信徒おすすめのビールや地酒などもある
そういうのは集めてもらった日持ち重視の食料とは別で好意で持ってきてくれる
だけど瓶って割れやすいし、木製の酒樽は刻印も書いてるけど数が多くて何が何かわからない
それにお酒って長期間熟成できるものもあるけど缶でもらったものは賞味期限が短いものもあるらしい
向こうの世界で缶詰みたいに長期間放置してから飲まれると危ないと思うし、この機会に消費しよう
バルデンの実もゴロゴロ出しておく
パイナップルとぶどうの間みたいな味で美味しいジュースになる果実だ
ほっておくと酒になるし、酒好きな人たちの好物である
ただ、美味しい実とそうじゃない実も多いし、美味しくてもお腹が痛くなることがある
領地の子が集めてくれていたからもってきた
プレゼントで微妙な顔をしていた黒葉だけど以前にバルデンで酔っ払ってたことがあるし好きだと思う
研究してくれている大人たちは機材が届かないとかで争うこともあるみたいだしギスギスするのは良くない
挨拶の代わりに大人がお酒を飲み交わすことを知っていたし、これで少しは仲良くなれば良いと思う
そう・・思っていた・・・
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