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第514話 良いか悪いか

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ガレティレとセーセルリーは海の近くの領地に残し、皆で一度日本に帰った

ミーキュや関羽たちも一緒にだ


「「おー!これがアオキチキュー!!」」


ベルスとオルジュがはしゃいでいる

連れてきたことなかったっけ?

大きな尻尾をふりふりしてダッシュで城の中に行ってしまったが・・・まぁ大丈夫だろう


この城では獣人や亜人を差別することはない


むしろケーリーリュやダリア、エシャロットは大人気だった

エルフはこちらでは人気っぽい

エシャロットも犬耳だけど差別されることがなかった


逆にルールは霊獣だけど祈られたりするようなこともない

はじめは大きさで驚かれ、その後はおっきな猫扱いされてる

ルールもそのほうが心地よいのか信徒の子にもお腹を見せてじゃれついたりもしている

ブラッシング大好き、信徒たちが集まって皆でブラッシングしてこんもり抜け毛を集めてるときもある

今日はゲーガの血も口周りについたままだし、海にも入っていたみたいでなんか臭い

城の兵士や貴族たちは白い毛並みに口元が血の赤みが残っていてビビってたなぁ

よく洗ってあげないとね


ミルミミスは好き勝手に動いている

たまに面白いのが祈りの間の神様の像が並んでる場所で新しく像を置くスペースが残っている

そこにお賽銭箱のようなものを置いて信徒からお祈りの供物をもらえるのを待っていることがある、そこで寝てるだけだがお供えをされていることもあって祈りの間にいることも増えた

集められた他の神様の寄付の集められる台座のものを盗み食いしたり、台所でも何かよく食べている

僕は食べ物は皆のだから盗み食いはダメとミルミミスに言ったが信徒たちには可愛がられて何かよく食べさせてもらっているようだ

人から奪うのがだめといったのだけど・・神様のお供え相手には結構遠慮がない

それも仕方ないな、ミルミミスだし


流石にお酒は駄目だとお酒は勝手に上げてはいけないことにしているためそれだけはミルミミスは不服そうにしている

それと上げたとしても飲む量にも文句を言う


お酒が駄目な理由はお酒を飲んで暴れたり意味分かんないことをする人がいっぱいいるからだ

大人は何度注意しても「自分は関係ない」「大丈夫だ」と軽く考えるのだけど酔っ払った人は何をするかわからない

こちらの世界でも飲酒運転なんかも問題になってるみたいだけどこの城にだって魔力で強化されたり、魔法が使える人がいるのだ

例えばロム師匠はお酒を飲んじゃうとすぐに寝るけど、もしも酔っ払って極炎と言われるような炎を城の中でぶっ放すと何十人も死んでしまうかもしれない

レアナー教の魔法は身体能力が上がるものもあるし、僅かながらに魔法が使える神官や自己強化の出来るようになってきた聖騎士候補たちは本当に危険だ

魔導具で強化もできる彼らが酔っ払ったら・・・・ましてやミルミミスが酔ったら僕だって危ない


危険と思うのだけど大人はなぜかお酒を好んで呑む

僕はお酒は作らず、お酒はとにかく作るのも飲むのもなしにしようと思ったけど、黒葉はお酒大好きだし、レアナー様もお酒は好きだからお酒は作られることになったし、行事があれば飲むことも良いこととになった

愛の聖句にも「飲ませて旦那を奪った結果、愛を失った話」や逆に「酒があったからこそ勇気をもらって愛に発展した」などもある

良い酒と悪い酒があると大人は言うし、今度違いを調べてもらおうかな?


「なんですか?」

「ううん、なんでも無い」


お酒と言えば黒葉だと見てしまった

黒葉はお酒を飲める年齢である、義理の父親の小林さんがバーテンだー?とかいうお酒に携わる仕事をしているからかすごく詳しい

お酒のことは任せようとしているけど・・・いつかは誰かが事故を起こすことになっちゃうんだろうなぁ


城で患者を治癒していって、吾郷から連絡があったので吾郷に集めてもらったものも取りに行く

吾郷もお酒は飲むのだろうかと思ったが吾郷に求められたのは美容に使うフェイスパックであった


「頼むよ!娘も妻も欲しがって催促が止まらないんだ!!」


ちょっと考える

あんまり個人を特別扱いするのはよくない、そういった前例を作ると後で面倒になる場合もある

王城に脅しに行ったのも今後二度と舐められないようにするためだ

だけど特別な人は特別であるからこそ特別扱いをするべきというのもある


「何だねその顔は?べ、別に尻に敷かれているわけじゃないぞ!?」

「んー、まぁいいけどさ、はいこれ」

「おぉありがとう!助かるよ!!」


物資も手配してくれて、日本での活動には欠かせなくなった吾郷

もしも別の人が王・・・じゃない、総理大臣になったらこういう関係もなくなって敵対するかもしれない

領地のために王城まで行ったし、貴族相手に威圧するもの好きではないがよくある方法だ

だけど、やっぱりあの王様自体は別の神様の加護があるとは言ってもレアナー教徒で、本気で申し訳ない気持ちでいっぱいだったのが伝わってきていた

だから完璧に敵というわけじゃなかったし、僕の方こそ申し訳ない気持ちも少しでてしまった


「吾郷・・・」

「どうかしたかい?なにやら考えてるみたいだけど」

「外交って難しいね」


僕にも、吾郷にも立場がある

友人として個人同士であれば仲良く出来るが、お互いに護るものがある

吾郷だって、もしも僕と争ったほうが利益が出るのならそうするかもしれない、個人的な感情は抜きにして

馬鹿なことをやった貴族達だって、なにかの利益があったからそうしたのかもしれない

利益が出るから、居なくなっていた領民を連れ去って見せしめに殺したり、金にしようとしたり、利益があるから、うちの領民を隔離してお金を巻き上げようとしたりもする

外交に限らず、僕が魔物を倒す以外に人のことを考えるのって結構大変だ


「それを君が言うかい?いや、いいけど・・・何があったんだい?話ぐらいなら聞くよ?」

「いや、ちょっと領地もらってる王様を威圧して土下座させてさぁ」

「・・・・・・・・・・・・・それはちょっとな話なのかい?」


きっとフェイスパックをあげたり、こうやって話をするぐらいは良いよね?
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