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第343話 報われない師匠

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「さっさと門を開けろ!!」

「抵抗は無駄だ!!!」


ザウスキアの第一王子が領地にまで攻め込んできた

奴は次期国王に最も近いが下劣だ

順人種以外を見下し亜人の奴隷を買っては遊んで壊すと有名だ

いい女を見かければ婚約者がいようとも人妻だろうと権力を持って強引に自分のものにする

遊びで人の人生を台無しにする、真性の屑


「栄光あるザウスキアの一員になれるというのに何が不満かっ!!」

「武器を捨てて門を開けろ!!」


「言いたいことは1人ずつ言え!聞き取れん!!!」


相手は竜騎士や空を飛べる獣にも乗ってきたようだけど獣は引き返していった、ミルミミスがなにかやったようだ

空軍がいなくなった軍で領地の端で消耗したくないし、周りの土地は穴があく

馬車2台ほどの幅を兵が並んで行進してくる

そんな幅の道を作って来ていたが聞いていたとおり真性の馬鹿なのか、自信が過剰なのだ

いや、まともな領地なら、今も続く兵に門を開けてしまって当然だ

しかし


「あいつら馬鹿にしてるのか」
「開けるわけ無いだろ」
「弓の用意は良いか?」


ここにいるのはほぼ全員が元難民、ザウスキアは国家ぐるみで難民を残虐に殺していたし敵でしかない

それに亜人の多いボクらの領地なんて彼らにとっては奴隷という商品たっぷりの美味しい領地だ


降参も従順もありえない


しかし彼らからすればボクらは美味しい商品だ

戦えば傷つくし、この領地自体もできれば無傷でぶんどりたいのだろう

消耗を避けたいから大声で威圧してくる、どんどん兵が門の前に集まってくる


時間を掛けて圧をかければボク達が恐怖して門を開けるとでも考えたんだな


ボクは大丈夫でも戦を知らない人は震えているものもいる

相手は殺しにかかってきていて、そんな連中が山ほどいる、これだけでも狂ってしまう人はいる

仲間にも注意しないといけない


「こちらにはバーバス第一王子がいる!!今ならまだ待遇は良いぞ!!」


ただこちらも意味なく待ってるわけではない


「行く」

「うん」


ギュガン!!ガガガガ!!!


ミルミミスは伝承通り、いやそれ以上に目が眩むほど雷を落とし、轟音が鳴り続ける

防御魔法を張っているのだろうがどんどん削っていく

ボクは烈火の神の加護の力を限界まで高めた爆炎を軍の真ん中に落とした

魔法を張っているものが雷の神の加護持ちであれば雷だけでは仕留めきれないかもしれないがミルミミスの雷とボクの魔法を同時に防ぐことなんてできるものではない

僅かだが魔族の血をひき、お父様の子としても流れてくる魔力で威力を高めていた


軍相手に極大魔法を安全に使える機会なんてそうない

しかも相手は恨みもあるザウスキア、これまでもボク達亜人はこいつらによって虐げられ、直接的にも命を奪われてきたし、この領地にたどり着くまでに殺されてしまった人達もいるだろう



雷で目が眩む中、ありったけの力を込めて落とした爆炎で・・・・全てを終わらせた



空を飛んでいくミルミミス、このままザウスキアまでの道を攻撃していくはずだ

もしもこちらが片付いて余力が残ったら城に突撃しようなんて言っていたのだけどボクは魔力の使いすぎで倒れた

相手はザウスキア、しかも第一王子がいたからか本気だったようで馬鹿みたいに硬い防護魔法がかけられていた

全魔力でぶちかましてきのこみたいな雲ができるぐらいには焼いた

竜騎士はミルミミスが「大丈夫」って言ってたし大丈夫だろう、竜王様だし


後はみんなに任せてボクはお父様を待つことにしよう


「ありがとうロム師匠、師匠のお陰だよ」

「ボクは君の師匠だからね」

「あの、ね」

「何かな?」

「その、だから、け、結婚してくださいっ!」

「いいともさ、その言葉を待ってたぜ」


なんてことになるかもしれない

むふふ、この世の春ってやつだな

まぁここまで上手くいかなくても領地の仲間たちよりかは良い仕事したし褒めてもらえると思う、褒めてくれなかったら師匠の意地にかけて褒めさせる


そうして魔力切れと疲れから夢の世界にまどろみ落ちて・・・・起きた時、ボクはすべてが終わったことを知った





「どぉしてだよぉ!!!!!????」





ボクが寝ている間にお父様は救出された

うん、これはいい、素晴らしい、大変に良い

レアナー教国との関係も良好なままだ、結果的にちょっと城は壊したけど戦いは終わったそうな

それで帰ってきたお父様は魔力が高まりすぎて昇華してしまいそうで魔力を減らすためにも結婚することになった




だれと?





ボク以外の全員と・・・・!!!!!!!!!??????






寝ていて意思表示ができないボクとは結婚できないのはわかるよ?



誰 か 起 こ せ よ ! 



しかもそのまま大宴会が行われ、地球が心配だからと転移して帰ってしまったお父様

ボク頑張ったんだけど?師匠として意地を見せたんだけど?

ボクがお父様と結婚したいって知ってる奴らも多くいるのに・・・・・

しかもなんでヴァンやビーツ、エシャロットまで照れながら結婚してるんだよ

いや、人手が足りなかったから男女関係なく結婚って制度を使ったのはわかるよ?難民の子達は助けられて敬愛してるもんね


「遥さんが起こさないようにって」

「奈美さんも疲れてるだろうからって」

「ラディッシュさんがよく寝られるようにって」


よく見ると睡眠効果を高める魔道具がおいてある、しかも複数




お前らァーーーーーーー!!!!

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