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第333話 目を覚まさせる(物理)
しおりを挟む「< よ う す け ぇ っ !!! >」
身をすくませた洋介がこちらを振り返った
振り返った洋介からは驚きを感じて居るようで、まじまじとこちらを見つめてくる
「私のことを、愛してよ」
「え、あ、うん」
ゴシャ!!
何かを聖王と話したかと思ったら洋介によって聖王が殴られた
「どう?気持ちいい?」
「いや」
「じゃあもっと愛してあげるね?」
ベキッバキッ!ゴッ!!
「も、もういいから」
「え?そう?」
鈍く人を殴る音が聞こえる
愛してという聖王に向かって洋介が暴行を加えている
怒りで我を忘れそうだったけど何が起きているのかわからずに少し冷静さを取り戻した
<おちつけ、自分を何をするべきかよく考えろ>
言われるまでもない
けど考えてみる
洋介は、明らかにバグっている
微笑みながら無抵抗の人を殴るような人間では絶対にない
聖王は洋介と同じく傷がすぐ治るようだけど明らかになにか怯えている
これは聖王にとっても想定外ということなんだろうか?
「あ、あっちの女も愛してあげて?」
ブンッ!!
「いやだけど・・・わっ?なにするのはるねーちゃん!?」
「黙って喰らいなさい!」
メリケンサックのように魔力を拳の先に少し出すようにしつつフック気味に後頭部を狙った
しかし洋介にかわされた
ケーリーリュさんに教えてもらった衝撃を貫通させる魔力の使い方だ、当たった瞬間に魔力を放出させる
殴って正気に戻させる、もしくは気絶させるっ!
聖王にはヨーコが向かっていったし、今のうちにどうにかしたい
フラフラと下がる洋介に詰め寄って右ストレートを狙う
手のひらで防がれる
「洋介!日本に戻ってきてよ!」
「何言ってるのはるねーちゃん、ここは日本でしょ」
「日本に、こんな場所、あるかっ!!」
つま先、太腿、腓腹筋に魔力を込めて跳ぶ
「さっさと・・」
ガグッ!!
洋介を通り過ぎるように左側に回り込み、こちらに身体を向ける洋介にまっすぐ地面スレスレからアッパーを叩き込む
手のひらで受けられたが手のひらごと下から顎を打ち抜く
「目を覚ましなさい!!!!!」
洋介の右肩をつかんで後ろに回り込み、左腕を頭に回してヘッドロックする
「いたたたた!??痛いよはるねーちゃん!!!??」
意識は飛ばせなかったけど膝は少し落ちた
「さっさと元に戻って私や奈美を治しなさい!!?!」
「黒葉!?どこにいるんいたいいたいいたい!!!??はなし」
治りきっていない腕をつかまれて私も激しく痛い
だが離す訳にはいかない
上半身を左右に振って足がつかないように後ろに引いて絞め上げる
このおバカは、身体は大きくなってるのにまだ正気に戻らないのか
「さっさと、起 き ろ ぉ !!!」
「起きてるって!!!??」
「じゃあ私の言う事聞けるか!!アァん!!!!!????」
「はい!!!はい!!!!!!!!ごめんなさい!!!!」
「よろしい・・はぁはぁ」
中途半端に治っていた左腕、なくなっても構わんと無理やり動かしたけどすごく痛い
座り込んで涙目の洋介と向かい合う
おおきなムキムキのあんちゃんが涙目になっている
いかん、まだ視覚だけ洋介と認識できていない
「いい?あんたは聖王ってのに捕まって色々なにかされたのよ、わかる?」
「せーちゃんに?うーん・・確かに・・・」
「あっちのははるねーちゃんじゃなくて私がはるねーちゃん!わかる!?」
「でも、はるねーちゃん髪の毛ピンク色じゃなかったっけ?」
だめだ、まだボケている
「私は純粋な日本人だっ!!」
「日本人、たしかに、そうだよね?黒目黒髪で・・・」
「そう、あんたは交通事故でこっちに来て魔王倒したりしてたんでしょ?栄介おじさん、詩乃おばさん、心配してるわよ」
「え?でも毎日赤い服着て消防団の仕事してたんだけど、ん?あれ??」
目をパチクリさせている
話を聞いてくれてよかったけど混乱していることがわかる
「あんたは・・康介おじさんのやってたのが消防団で青年団と一緒にやってる・・火の用心ってやつ、あんたの言ってるのは消防士で別物だって!何回この間違い教えたことか」
「え?あ、たしかに?じゃあ本当にはるねーちゃん?髪黒いよ、いやちょっと赤いけど」
「赤い?あぁチーテックの加護もらって少し赤くなってきてんのよ」
黒のロングにメッシュのように入った赤、魔力出してるときは特に強く赤くなる
少し赤い部分が増えた気がする
「奈美は?ルールのことは覚えてる?」
倒れたままの奈美もルールも心配だ
ピクリとも動かないが死んでいないと良いんだけど
真っ青になった洋介
「覚えてる、でも、あれ?僕は、なんで?」
「いい?あんたは聖王だかに捕まって、あんたの子供もみんなあんたを聖王から助けるためにここに来てんのよ、関羽は向こうの部屋にまでぶっ飛ばされて生死不明、ミーキュはあそこで倒れてる、奈美はあんたからもらった回復薬とかで倒れてる、みんなあんたを助けるために頑張ってるのよ」
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