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第329話 開幕の一撃

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「その手を離せ!!」


絵で見た王様が何処からか現れた

私達を見て止めに来るということは・・・


本当に、本当にこれが洋介?


顔はたしかに洋介の面影がある

だけど歳は30代か?いや28ぐらいか、ヒゲは生えてない

体格はすごくいい方だ、筋肉質で骨太、筋肉で肩が盛り上がっているように思う

栄介おじさん、康介おじさんの面影はあるが、ごつい

年の割に小柄で華奢、細身な洋介からは想像もできない

いや成長したらこうなるのか?

頬に触れてみて確かに繋がりを感じる

それと


「軽い」


顔を黒い包帯から出すのに身体を少し動かしてみた

首の太さからも80から120キロはするように見える

だけど羽毛のように軽い

片手どころか強化していない小指でも持ち上げられそうだ


「離してって言ってんだろうがっ!!」


少し放心してしまった

黒い包帯のようなものを外すときに1人ずつ起きるように頬を叩いたりもしてみたが起きなかった、それにこの声でも起きないってことはなにかされているのだ

向かってくる王を殴ろうと構える


「無事で何よりです」


彼女の足元からヨーコがでてきてアキレス腱の辺りを斬った

床に転げた王様、それを激しく踏みつけたルール


「ゴルルルァッ!!!」

「何処が無事よ、奈美も私もボロボロよ」

「そうみたいですわね、それで元杉は?」

「これ・・・っぽい」

「誰ですの?え?いやたしかに・・?」


ヨーコも無事で良かった

手紙を見て心配していたのだけど・・・なんだか髪もつやつやしてるし、爪までピカピカ、化粧までしている

ん、何してたんだ?この子は?まぁ無事で良かったけど


ドシャッ


「なんで邪魔するんですか?私の愛がわからないんですか!」

「ルール!?」


ルールが横になって倒れた

なにかされたんだ

代わりに起き上がってきた桃色の髪の聖王、怒りの形相でこちらを見ている


「私達にはその人しかいないんです!俺たちと同じぐらいの存在なんて、もうその人だけなんだ!僕達の邪魔しないでください!!」

「何が愛だ!私を自分と錯覚させて言うことを聞かせるなんてそんなのは愛じゃない!!!」


ルールに何をしたかわからない、迂闊に近寄らず様子をうかがう

足の出血は酷いがそのまま立ち上がろうとして膝をついた


「それでも僕たちを愛してくれるならそれは愛だ!!」

「偽りの愛で満足!?その愛は貴女に向けられるものじゃない!!!」

「っ・・・はぁ、もうこの女は、うん、僕たちは偽りだろうと愛を知りたい、愛されることを知りたいの、だから邪魔しないでくださいません?」

「洋介は、貴女のおもちゃじゃない」

「おもちゃ?おもちゃだと思ったことなんてねぇけど?おっかしなこというな」


口調がコロコロ変わる、声色も少し変わる

眼の前の1人を相手にしているはずなのに目の前に何人も居るみたいだ


「なんなのあんた」



「「「<聖王、神様から作られた、ただの王様だよ>」」」



直後彼女が何かを取り出して手に何かを持って襲いかかってきた

しかし私も全力でチーテックの加護を使っている

私も駆け出し、あと一歩、いや、お互い半歩で間合いが届く距離



パカンッ!!!!!



彼女の顔面から酷く大きく音が響いた、多分殺してしまった

力を載せる最後の踏み込み、彼女の足元が僅か一歩分消失し、私の渾身のパンチが顔面に炸裂した

そのまま私と王様の間に壁がせり上がって王様が枯れ葉が舞い散るように大きく吹き飛ばされた


「今のうちに起こす、です!おぅえぇ・・・」

「ミーキュちゃん!?だけど今ので」

「まだ、です!あんなので聖王様は倒れません!!」


ミーキュちゃんの横に、奈美も飲んだ薬の瓶が転がっていた

あの薬を飲んだのか!?
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