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第283話 関羽

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「関羽さん、は洋介の救出チームの隊長なの?」

「母上、某のことは 関羽 でお願い申し上げます」


それがしって、初めて聞いたわ

それにしても言語の魔法で話すことが出来るがいまいち意味がわからないこともある

某のニュアンスは「威厳を持っての私」かな?ことわざとか格言とか通じるか試してみたい

子鬼はゴブリン、部隊はチーム、迷宮はダンジョン、組合はギルドと言うようにも聞き取れる

英語の授業でこの加護ほしかったな

この関羽さんも関と羽と分けたり雲長とかにしないでも良いんだろうか?私も詳しくはないが関羽といえば「美しいヒゲの公」と書いて美髯公と呼ばれていたような・・・・・?いやあれはあだ名とかそういうのなのかな?


「わかった・・・慣れなくてね」

「仕方ありません、こういったことには時間がかかるものでしょう・・・某はこの領地の部隊の長を任されております」

「救出部隊のことや救出のやり方、洋介と貴方達とのこと教えてくれる?」

「勿論です」


おにぎりとカレーライスでだいぶ私たちは打ち解けれたと思う

おにぎりを食べた瞬間、魔力が疾走って目がピカって光ったので多分気に入ったんだと思う

一瞬魔力が出たのに表情が変わらずに食べていたのはちょっと面白かった


なんだか洋介の師匠であるロムさんは敵対心を向けてくるが私の胸を見て「勝ったと思うなよ!!」と捨て台詞を吐いていってしまった

ふっ・・勝った

いやそこで勝っても仕方ないんだけどね


まぁ一部の受け入れられない人は仕方ないとしてもいつまでも母親扱いから逃げる訳にはいかない

話してみると皆フレンドリーというか洋介への信頼がすごい

ここに居る住民は詳しくはわからないけど国を亡くした難民が殆どで色々あったんだそうな・・・恩義をもの凄い感じる

もう洋介のことは神格化して祀っている家もあったし、洋介の木像や石像も街を歩くとその辺にある


・・・・・・・・私のもあった、製作途中の像だけどぶっ壊そうと無意識にハルバードを取り出して止められた


洋介の救出方法は子どもたちが神様たちに聞くと洋介を捉えている神具は魔王用のものであって洋介を捕えるためのものではないらしい

なので攻略するダンジョンではあまり危険はないらしい


「じゃあゴブリンは?」

「子鬼や大鬼は迷宮にいるように初めから作られているらしいですな」

「そうなんだ」

「はい、それらよりも迷宮の作りのほうが厄介です」


出て来る魔物は洋介の魔力から生まれる

基本的に何処のダンジョンにでもいる鬼や獣を除けばむしろ人に益を成すものが多いとか

厄介なのが進むためのギミックだ

洋介の記憶から出来ているらしく問いかけを間違えれば開かない扉があるとか


「なるほど、救出チーム以外は何をしてるの?」

「そうですな・・現在はレアナー教国への交渉、勇者領地の運営、ザウスキアから国境線を守る等が主ですが・・・大きな声では言えませんが聖王の近くにも人をやらせております」


誰がやったかわかっているのならそれもありだよね

わざわざ罠があるってわかるダンジョンに行くよりも直接本人をボコボコにして解放させたほうがいいはずだ


「それと父上が魔王討伐の旅をしていたお仲間に協力を仰いでおりまして、父上をお助けする際にはレアナー教国の結界を破壊して聖王への負担を増やすようにご助力していただく手筈となっております」

「その聖王ってのはどんな人なの?名前は?」

「御尊名は聞いた覚えがありませんな、聖王はこの神聖教国の長であり清廉潔白な政治をしている聖人であります・・・父上への求婚は常軌を逸しておりましたな」


ちょっとそれも詳しく教えてほしかったけど言いにくそうにしている関羽

自分の父親が別の女に言い寄られるさまを母親に言いにくいのは何となく分かる


「ごほん、とにかく聖王はこの国を覆う結界を1人で張る程の強者、手のものが近辺まで行けた者の話でも神器を置いた部屋の結界は強固でとても突破できないようです」





後は関羽さんについて聞けた

関羽さんは元々もっと遠くの国で軍を率いてたらしく、難民を魔物から守って安寧の地を探してここにたどり着いたらしい


瘴気って思ったよりも酷いね


第三者の視点から見てみると受け入れしないのも意味がわかる

治しようのない病、死ねばそのまま敵に回る

助けようにも食料すら足りない、助けたとしても得られるものが何もない


人同士での争いは仕方ないけど悲しい、悲しいな


「お陰で実の母も死霊とはならず、我が妻子も健康となりまして、父上には感謝してもし足りませぬ」


関羽さんはドワーフの中でも特別な種族で頑丈だったけど巨神の加護を貰ってその大きさになったらしい

身長2メートルを少し超え、逆三角形の筋肉質、金網デスマッチとかの王者をやってそうな完璧な体型

ドワーフといえばヒゲモジャの酒飲みの鍛冶するとかってイメージならあるけど関羽は巨漢でヒゲが凄いぐらいの人にしか見えない


「ど、ドワーフ?」

「そうですが、なにか?」


少し怪訝な顔をしてくる関羽さん

こちらは人種差別も凄いと聞くし聞き返したことで私がそう見えたのかもしれない


「いや、私、異世界人だからねドワーフって初めて見るから」

「なるほど、某のようなドワーフは特に珍しいので基準にしてはいけませんぞ」

「そうなんだ、なんで名前が関羽なの?その、武将の名前だよね?」

「よくぞ聞いてくれました!」


嬉しそうな関羽さん

名前を付けるときに何でも良かったのだけど異世界の辞典に載っていたそうだ

洋介の知っている武将も関羽でさらに挿絵の姿にも似ていて名前が決まったらしい

ヒゲが美しいとか義理堅い、武勇に優れる、曲がったことが嫌いなどという情報も良いと興奮して話してくれる

それと関羽では本人が良くても書き方も読み方もわからないと困るのでヴァンという名前もついた


本人も関羽の生き様や義理深さ、強さに憧れを持ってそういう人物を目指したいらしい


「某は関羽・ヴァン・元杉、義兄弟は歴史上の関羽よりも多くおりますがこの領地を守る次兄としてこの領地と父上と命運を共にしたい所存であります」

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