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第276話 ダンジョン前
しおりを挟む起きて奈美にどうなったか聞くと洋介の居場所も犯人もわかったそうだ
あと、洋介を狙う師匠で娘がいるらしい
「ちょっとそこのとこ詳しく」
酒で奈美が既に挨拶したらしい・・・奈美はいくらでも飲めるからなぁ
それにしてもダンジョンか、うん、行こう
見に行くと大きな穴があいている場所があった
兵士さんたちが近くで待機し、沢山の人が壁を作っていた
ビーツさんとラディッシュさんもいる
「おはようございます」
「おはよう」
「もう大丈夫なの?遥様?」
ビーツさんは相変わらず怖い顔である
深い眉間のシワに眼力、ヤクザだったら絶対「喧嘩売ってんのかゴルァ」か「押忍!」っていうだろうな
人相か、佇まいかはわからないけどきっと苦労したことだろう
ラディッシュさんは私よりも年上のお姉さん、とても心配そうにしている
グラマラスな体型で私よりも実年齢はわからないけど見かけは年上、なんか色気があってビーツさんと一緒にいるとなんかホステスっぽい
「ムッスロンです、よろしくお母さん」
「お、おかあさん・・・」
建物の上で子供と一緒に現れたラディッシュさんの横にいた小太りのおじさんだ
どうみても歳上、お母さんと言われたのは少しショックだ
ダンジョンに行きたいけど先に聞いておこう
「どうしてあぁなったんですか?」
ギルドから出た後、小さな子どもたちに路地に連れて行かれた
その時屋上に行ってこの人もいたはずだ
「あー、その、ビーツは他人の加護や略歴を見ることが出来る加護持ちの神官でして、冒険者組合に呼ばれてお母さんを見まして加護から我らのお母さんと確信したようです、そのままサシル様の神殿に連れて行こうとしていまして」
「じゃああの路地に引っ張ってきた子たちは?」
「言葉が通じないことも知りませんでしたしサシル神の神殿にはレアナー教の手のものが集まっていたので捕まる可能性があったので路地に引き込んで説明しようとしたのですが言葉も通じずにミャーゴルもいましてあんなことに・・怖がらせてしまってすいませんでした」
「「「「すいませんでした!」」」」
「こっちこそ、ごめんね」
壁を作っている子どもたちが集まって頭を下げてきた
路地にいた子どもたちだ
「子どもたちはなんであそこにいたの?」
「洋介聖下、お父さんのお菓子なんかを売り込むのに近くに商売に行っていたんです、我らは魔力には困りませんからね、兄弟の数こそ力なのです」
「なるほど」
ちょっとした行き違いだったのか・・殺さなくてよかったァァ・・・
人に武器を向けるって結構ストレスだったし、斬らなくてよかった
でもそうだな
ビーツさんの顔がもっと優しそうだったらもっと信用していたと思う
人を見かけで判断しないって教わったことはあるけどあの怖さは仕方ない
「ダンジョン、少し覗いてみたいんだけど良い?」
「もちろんです、ついていきます」
楽な装備をしていたんだけど日本製の防具をつけていく
胸当てなんてマジックテープ式だ
ブーツや手甲をつけていく
元々注目を浴びていたけど更に注目されて居心地は良くないな
ひゅっ・・とっ!
「え?」
気がつくと作業していた子が矢を放っていた
作業してる人も、皆武装している
「子鬼ですな、たまに出てくるんですよ」
私もオークを見てから覚悟していたはずだった
「よくやったな」
「へへー!」
けど子供が生き物を殺してそれで褒められて、喜んでいる
緑の皮膚の人に近い形をした魔物
頭に矢が刺さっていて、まだピクピクと動いている
こういう世界で、洋介は生きていたのか
日常の中に殺生がある
・・・・・私も覚悟していたつもりだったんだけど、自分でできるかわからなくなってしまった
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