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第255話 英雄安藤
しおりを挟む透明な何かを踏み潰すと何処からか変な男が足元に滑り込んできた
「なんてことするんですかァアアアアアアアアアア!!!!!???」
なんでこうなったんだ?
議員として、国民の代表として、日本の代表として私は悪しき集団の新たな象徴らしき透明な物体を破壊しただけだ
これで私は歴史に刻まれる1人になる
世界よ目を覚ましてくれ
のはずだったのだが
「これは世界に一つしかない貴重なものだ!!!!なんてことを!!なんてことをするんだ!!!!!野蛮人め!!!!!!!」
水をさしてくるおかしなやつが居る
ざわつく民衆、おかしな男を撮るクルー
男は胸元からピンセットとシャーレを取り出して透明な欠片を一つ一つ採取している
「おい、あの男は何だ?」
「阿部雅人、研究者ですね、幽霊とか超能力とかオカルトの」
捕まった男の中でも歩道で話を聞いていたらしい
彼はレアナー教ではなく外部の研究者であるそうだ
「あれは世界を救う可能性のあったものだぞ!!?なんてことするんだ!!!」
私を野蛮人などといった男だが叫びながらも真剣に透明な欠片を採取している
・・・・・あの荒れた部屋の住民か?
「それで何をするつもりだったんですか?お答え下さい!」
テレビクルーがマイクを向けた
少し不味い気もするがこの男がイカれている可能性もある
青筋を立てて意味のわからん物体を採取しているこの男がまともではないようにみえる
うまく行けばこの団体の凶暴性が立証されるだろう
「まだ研究中のものだが世界から怪我も病気も無くなる可能性のあるものだったんだ・・・世界に1つしか無い、希少なもので・・・どけェエエエエエエっっっっ!!!!!人類の礎となる賢者の石を土足で踏むな!!!!チレッチレェエエエエエエエ!!!!!!」
絶叫である、40代であろうこの男、怖い、狂気に染まっている
震える指先で透明な物質を採取している
あれはそんなに価値のあるものだろうか?
「おい、あれの採取もしておけ」
「はいっ!!」
部下に命じてやつの採取したものも取り上げさせる
踏んだ時には軽い衝撃しか感じなかったが何なのだろうかあれは
「皆さん!騙されてはいけません!!彼らは人を騙す団体です!!!彼らの言葉を信じてはいけない!!!!」
「黙れ単細胞生物が!!私は外部からここを調べに来たんだ!!なぜ私の研究スペー
スにあったものがここにある!!!この盗人が!!!犯罪者め!!不法侵入者がっ!!離せ!そいつの頭に納豆菌を培養してねじ込んでやる!! は な せ ぇ っ ! ! ! ! !クェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!」
「はやくそいつを連れて行け!!」
エキセントリックな男だ、完璧にイカれている
数人に押さえつけられているのに目を血走らせて向かってくる
こっちには何人もいるのに絶叫して向かってくるさまは完全に狂気に染まっている、ちょっと怖い
だがあの部屋は彼の住居だった?それは少し不味いか?
いや、奴は精神鑑定を受けさせて病院の中に入れてもらおう
あの様子だ、それで国民は納得する
・・・・次の現場に急ごう
予定外のトラブルはあったがこのまま次の施設に行く
倉庫も城も車で行けばそこそこ近い
旅館への突撃は流石にやめた
レアナー教の治療を求める集団の中でも今も中国の高官やアラブの富豪が来ているらしい、君子危うきに近寄らずだな
金持ち相手というのは気に食わんが病人が相手であればそれを叩こうとした段階で我々が国民にとって悪として映る
それよりも倉庫と城だ
スマホで調べてみると倉庫の方はうまくおさえつつあるらしい、城は膠着状態
どちらが良いか
証拠を手に入れるなら倉庫だ
だが危険な団体に対して立ち向かうという画を撮るためには城の方が良い
部下からまとまった情報を見る
倉庫には何があるのかはわからない、何もない可能性だってある
しかし・・・・
「おい、この1000人以上集まってるのはあっているのか?」
「はい、今も続々と集まってきています、警察と睨み合ってますが警察の周りにも信徒らしき人間が増えて警察を取り囲んでいます」
・・・・・・・・・・・・倉庫だな
どれだけ危険な集団なんだ!?このレアナー教とかいうのは!!!??
あれか、麻薬でも使ってそれが正しいことだとでも誤認しているんだろう
「現地では応援を呼んでいるようです」
「だろうな」
今のうちに倉庫に向かう
レアナービルと何度も行き来する車も確認が取れていることからなにか出てくるかもしれない
身なりを整えておく
次の現場でもパリッと決めなければ
あの変な透明な物体を踏んだ足がなにか臭い
草刈りの後のような・・青臭いというかなにかの野菜のような匂いがする
あの爆発した物体は何だったのだろうか?
現場の近くに到着した
テレビクルーもうちの人間も、外部協力者も待機済み
レアナー教徒は全員拘束済み
完璧だ
周りに家はないし民衆もいないがサクラを用意しておいたので突入する
「私、安藤は国民のためレアナー教という詐欺集団を告発するべく!私自ら調査します!!」
「ぉおおおおお!」
「いいぞー!」
拍手と声援の中、レアナー教の倉庫に入る
元は工場であったようでだだっ広いだけの建物に物が整頓されている
軽くチェックすると出るわ出るわ
高価な貴金属、装飾の施された衣装
外国の紙幣もケースでいくつか積んである
おそらく信徒たちから騙し取った金や高額な寄付である
円ではないが軽く数億円はあるであるだろう
こんな倉庫に積んであるのはやはり詐欺集団である雑さか、危機管理への意識が足りていない
いや、宗教団体として反社会団体や裏社会の金の洗浄として使われているのかもしれんな・・・・・
信徒を名乗る人間や先程の男のイカレ具合からして催眠をされているのかもしれない・・・卑劣極まりない
常人であれば国民の代表であるこの安藤を罵るなどありえない
やはりまともな団体ではないことは簡明にして明白である
倉庫をぐるりと回って調べ終え、金の詰まったトランクケースと金銀のようなわかりやすい装飾品を持って外に出る
「皆さん!このレアナー教は危険な団体です!見て下さい!!」
トランクケースの中の札束をぶちまけ、その上にアクセサリーを投げ捨てる
「国民から寄付を装って搾取したのしょう!国難と言える中!その混乱に乗じてこのような詐欺を働く・・・・!人として許されざる行為です!!」
「私、安藤は!!国民の代表として!彼らをこのままにしておくことは出来ません!!!」
派手に金が散る
ここが悪の団体であり、それを告発しているのがこの私と見えることだろう
決まった、これで私は英雄だ・・・!!
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