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第217話 3人の関係

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酷い雨だが洋介は今日もどこかに行っている

レアナー様も<世界を見てみたいですぅ>と言っていたし頭にくっついて行っている

たまに私達も順番に連れて行ってくれるから軽いデートだよね


で、お土産を奈美とヨーコに渡すときには少し空気が固まる時がある


ヨーコがどこかに行くときは「フフン!楽しんできましたわ!」と言った態度なのは生意気可愛いが私たちは同じ洋介の妻になる立場だ

洋介を独占したいという気持ちは少しはあるしお互いに自分が行っていないデートに少し嫉妬してしまう

応援したい気持ちもあるし私なんて人を増やそうと田辺さんやフィンリーちゃんに彩香ちゃんにもそれとなく促している

洋介のためだしね・・・洋介の嫁を増やそうとしているのは自分でやってることなのに胸がチクリと痛む

ヨーコと奈美との関係だけど一緒に遊びにいったり一緒に料理したりもするし関係は良好だ


「ねぇ奈美」

「なんですか?」

「その口調止めても良いんだよ?」

「えぇ・・いいじゃんじゃない、です?」


ちょっと笑ってしまった


元々奈美は人見知りで挙動不審にどもるときはある

だけど私に慣れてからは周りに合わせてか私の周りの子と同じように軽い感じで話してたはずだ

「いいじゃーん」とか「あの動画面白くない?」なんて軽口ともとれるまでに柔らかくなっていた

思ったことを出してしまう失言癖は残っているが今では世間に言われるようにまさに聖女様

信徒相手には丁寧に喋るのだけどもう別人だ


「それは・・もう慣れちゃって」

「でもほんとかわったよね、奈美って」

「そうかな?良い方だったら良いんだけど」


奈美は言葉遣いが丁寧になっただけではなく目元まである髪を少し短くするようになったし、女性にしては大柄な背丈を丸めていつもいたのに今はスッキリ背を伸ばしている

私も背は少し高めだが奈美はもっと大きい、本人もコンプレックスがあると話したことがある

以前の自信なさげで挙動不審で失言をする奈美よりかは胸を張って丁寧に話している今のほうがとても印象が良い

奈美のモデル体型に加えて仕草も洗練されたからか目を奪われている人もいるほどだ


ただ奈美が背筋を伸ばすようになってから面白いものを見れることもあった

私達3人で買い物に行ったらヨーコと並べば親子に見えたのかもしれない

「娘ちゃんにおまけだ!」と言われた2人はお互い見つめ合ってからお腹がねじれるほどに笑っていた


今日は土砂降りの雨で人がいない


大雨警報が出ているしこういう日に来られて怪我人が出たら問題にもなりかねないのでこういう日は今にも死にそうな人限定でしか受け付けていない

スタッフの休憩用の小部屋で3人で勉強している

私は免許用の勉強、奈美は大学のレポート、ヨーコは日本語の勉強


「前の奈美も好きだけど今の奈美も好きだよ、私が男だったらほっとかないかな?」

「もうっ!からかって!」

「ふふっ」


2人とは同じ男の妻と婚約者っていう不思議な立場だからかまだたまにギクシャクするときはあるけど基本的に一緒にいると居心地がいい


最近名前がつけられた、そのままだけどレアナー城


まぁ私たちは城とかビルとか適当に言っているけどね

もうすぐ結婚の出来る会場や遊園地にプール、儀式の間、祈りの間などが開放される

とても楽しみだ

まずは私達の婚姻を発表するようにレアナー様に言われているのだが招待客が世界各国の人間である・・来年の4月、私の卒業と共にお披露目する予定になっているので招待状を送っている

今は冬だけど期間も期間だし政府の上層部の人間が来るとかよくわからないし無理なら無理で仕方ないのはわかった上で招待状を送っている

レアナー教の知名度の向上や世界での地位確立のために著名人を含む全レアナー教徒に呼びかけている

重婚制度の国は少ないし一宗教の問題だ

誰も来てくれないかもしれないが盛大に行う予定である

私としては洋式でも和式でもいいから家族だけでぱぱっとしてもいいんだけどね


それにしても会場となる城の奥のスパイ達には驚いた


城はコアとなる部分を洋介が触ることで形を変える、いろんな神様が手をかけただけあって理解できない作りも多くある

その中でも地下の牢獄は絶対に逃げられないエリアを作り出していて一定のルールの元運営されている

悪辣なる神、支配の神、法と平定の神などが一緒に作った場所のようで精霊が管理している恐ろしいエリアだ

彼らは何倍もの速さで牢獄の生活をしている

電力ユニットを何倍もの速さで、しかも機器に無理のない速さで回してくれるおかげで城の電力を賄っている、遊園地エリアも込みでだ

非人道的だとは思うがじゃあスパイの人たちは無慈悲に殺せと?

レアナー様は愛を妨害する敵には<仕方ないですぅ>と言って容赦はしなくてもいい方針を取っている

だけど私は殺さなくてもいいなら可能な限り洋介もレアナー教も人を殺さなくてもいいようにしたい

何人かで牢獄の運営チームを作ったのだけど「心の底から改心してレアナー教に協力する人間を作るプログラム」などと恐ろしいことをしているようだ

食事やポイント制度を考えているそうだが正直やりすぎだと思う


多分運営グループは刺されてもおかしくない


運営の中にいる過激派信徒は生ぬるいと拷問用の石畳を自作してくるものもいる

闘技場と牢獄をつなげて殺し合いさせて、それを中継して金を稼ぎませんか?なんて言うものもいる始末


流石にそれはだめだと思うが幾つかの活用法を思いついた


酒や漬物が高速で出来るんじゃないか?というものや信徒の親族の中にいる性根の腐ったダメ人間をいれておくことで真人間への更生プログラムも出来るのではないか?などだ

酒は妙に量が減っている気もするけど概ね成功している、のかな?魔法の影響で味が不味くなってたり成分がおかしくなってないといいけど


更生プログラムも信徒たちによって練り込まれつつある・・・過激すぎる信徒もそこに入る予定だというのは上層部だけの秘密だ

使用されてはいないが拷問用の部屋まで完備されているが使うことがないといいな


いつの間にかショッピングセンターのエリアも追加されている点からこの城には絶対何かいる、洋介もレアナー様も触ってないという


城の中を探索するときは必ず複数だ

ルールを含んだこの3人でも探索をするのだけど恐ろしい機能もある

ヨーコに聞くと高い位置の好きな神様がいるらしいのだけどまさかあんなことになるなんて・・・

いろんな神様の神像が置かれているエリアだけど日に日に貢物用の台が大きくなっている気がする

通り過ぎて振り返ったら台がこちらについてきた時はホラーだった

壊してもまた次の日には何事もないかのように定位置に鎮座していた、鎖で縛った


「そっちのお菓子開けて」

「はい」

「これは何味ですの?」

「モンブラン・・チョコ?美味しいのかな?」


私たちは同じ悩みがあるので悩みを言いあったり、愚痴を言ったりしている

普通の親友や恋愛の枠に当てはめられる関係ではない

でも一緒に同じ問題を話し合える相手がいるのっていいな


患者が担ぎ込まれてくるまで私たちは愚痴をいいながら勉強をした
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