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第202話 ナンパと助け舟
しおりを挟む「なぁ春日井!俺と付き合えよ!なぁ?!」
「嫌です、どっか行ってください」
まためんどくさいやつが来た、それも手下を引き連れて
大学の知り合いの中でも関わりたくないタイプの遊び人で脳筋DQN
背も高いし筋肉質で威圧感があるクソ野郎、大森克也
サボる、遊ぶ、警察沙汰を繰り返した挙句3回留年して今年卒業のロクデナシだ
自分から当たったのに交通事故にして慰謝料もらったってゲラゲラ自慢していた大馬鹿者だ
裏では恐喝も普通にしているとかその筋の人と関わりがあるとか
女性関係にしたってたまに見かける女性はよくかわるし夜の街で見かけたなんて話も聞く
普通に関わりたくない最悪な人間だ
だけどまずは先入観無しで悪い人かどうかを考えてみた
大学でよくある「ちょっと気が大きくなって悪自慢している」だけであって「噂も真実かわからない」からだ
まず身なりから考えてみる
短髪の金髪、ギラつく金色のアクセを全身に身に着け、服はだらしない、財布だけはこだわりがあるのかハイブランド、それとナイフを持っているときもある
講義は寝て過ごしているしイビキもうるさい、一番うしろにいるこいつのイビキが一番前にいる自分に聞こえるんだから相当だろう
建築会社のドラ息子、当たり屋以外にも本人が競馬で大当たりをしたとか笑いながら言っていたし馬鹿みたいに遊びまくっている
うん、自分も周りの子も絡まれたことがあるし気の弱そうな人にカツアゲされたなんて聞いた
学内きっての屑だ、一応いい大学なのになぁ
就職説明会の一覧にこいつの親の会社がなかったら退学になっていてもおかしくはないだろう
きっと裏で色々やってるんだろうな、大学も
もともと近づきたくはないのだが同じ教授の講義もあったしいつの間にか他の仲間が何処かから連れてきていた
私が春樹と付き合っているときも付き合ってると知っている上で「俺と付き合おうぜ」なんて言っていた糞だ
「俺、次期社長だぜ?就活もいらねーしな!リッチな暮らしさせてやるぜ?」
「良いじゃないか春日井、先輩と付き合っちゃいなよ」
「先輩かっけぇ!」
「興味ないです、人を待ってるので構わないでください」
洋介が連れてきた信徒を集めているので学食のテーブルで待っていたのだがこんなのに絡まれるとは
それも素行の悪いゴミ共を引き連れて、わざわざ広い食堂にいる私のところに来るとは
何度も無視か拒絶の意思を伝えるようにしているのだが「照れてるんだろ?」とか言いながら暖簾に腕押しだ、多分脳みそがないんだ
どうしようかな?殴りたいな
「は、遥に構わないでよ」
「困ってるだろ」
あ、まずい
もともと仲の良かったグループの中でも噂でそっと消えていった元仲間の2人だ
私が帰ってきてから何度も謝られたが正直私はもう関わりたくもなかった
私がどん底にいた頃に擁護もしなかった元友達で何故か割って入ってきた
「困ってるって?誰が?春日井が?なぁ、おい、誰がそんなこと言ったんだよ、おい」
「うっ、あ」
「止めてくださいよ大森先輩」
割って入った元仲間に大森が近づき、額が触れ合った状態でおいおい言われていた
流石に大森を相手にするのは不味いと思っているのか私の嫌な気持ちの原因となる元仲間たちも追加でやってきた
中には私を売春婦扱いしてしつこく誘ってくるものや私のビッチ情報を拡散したものもいる
真莉愛が撮ったのか私の歯が折れたミイラ状態の写真や闘病中のやせ細った写真もこいつらから流れたって証拠はもう掴んでいる
レアナー教考察番組でこいつらからしか漏れようのないそれらの写真を見たときには「全員の頭をかち割りにいこう」と脳をよぎったほどだ
しかしこの助け舟らしきものを出しに来た連中に春樹と真莉愛がいないのだけはせめてもの救いだ
チンピラの大将である大森に絡まれているからと言ってもあの2人に助け舟を出された日には何をしてしまうかもわからない
今、助け舟を出そうとしている者たちも心底気持ち悪いと思うけどあの2人は別格だ
あの2人は遠目で大学で見かけるぐらいなら我慢できるがすれ違うだけでもムカつく
間に入ってくれた2人は元々一緒のグループの人間で比較的まともだ
あとから来た連中は私に積極的に関わるというよりもその2人が首を突っ込んだから来たのか、それとも私の態度をやわらげようとでもしているのか・・・
私は元のグループの人間は完全に拒絶している
彼らは私が完治して大学に帰ってきた私を見かけるたびに謝ってきていた
「私は許しません」「二度と話しかけないでください」なんて完全に拒絶し、冷たい空気を出している間に近づいてくるものはいなくなったが
きっと彼らはなぁなぁで終わらせたり元の関係に戻りたいのだ
今の私は有名人だしね
春樹と真莉愛に騙されただけのものもいれば私の悪い噂を積極的に拡散したものにそれに正義面してお説教を言ってきたものもいる
私にとっては謝ってきた2人も、写真を拡散したであろう奴らも大森も心底気持ち悪い「元」仲間だ
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