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第184話 大学
しおりを挟む旅行が終わり日本に帰ってきた
神官さん達を転移の魔法で帰していたのだが洋介は向こうの世界から1週間は帰ってこなかった
なにやら向こうであったらしく泥だらけで帰ってきて「何でもないよ」なんて言う
何かあったと私の直感が言う
こちらにいたレアナー様に聞いてみても変な顔をして<あー、あー、大丈夫ですぅ>っていうから追求はしなかった
洋介は畳で2日寝てスッキリしたらしく神殿の活動に戻っていた
大神官クラスでも治せない人は待っているし対処は助かる
レアナー様は神像に蓄えられた魔力で治癒ができるけど神像の使える魔力の上限が決まっているため重症患者には使えない
レアナー様自身がやるとパーンってなるかもしれないらしい
帰ってこない洋介にヤキモキしていた時間は何だったのだろうか
私は3年の間に卒業に必要な単位をとりきっていたので好きな講義に出て卒論を書きに行くだけの大学生活を送っている
正直元仲間の謝罪や好奇の目がうざすぎて大学には行きたくない気持ちもあるが逃げたくはない
奴らを見るとぶち殺したくなるし康介おじさんには彼らとは何も話さないように言われているので無視の一点張りである
少なくとも誠意のある謝罪がないなどありえない
教習所にも行こう、精神衛生的に
EUではテレビにもよくでたし大統領や著名人に何人も会ってきた
誰でも名前を知ってるスポーツ選手と写真を撮る機会なんてそうそうないし楽しめた
今では私と奈美はこの大学では超がつく有名人である
私はともかく奈美にはレアナー教から護衛がついてきてくれて助かる、奈美も3年の後期の間に単位を取り終えるつもりらしく結構なスケジュールだし奈美に取り入ろうとする人間は多い
私達には生徒のみならず教授も握手を求めに来る
国会議事堂での啖呵を覚えているとかは言わないでほしい、頼むから
かつての仲間を含む同期達はスーツ姿で就職活動をしている
スーツ姿のまま講義に出て、そのまま就職活動に行っているようだ
・・・私もあんな活動をしていたはずだったんだろうな
洋介は銃撃の件で何度か締め上げたが私の知らないところで試していたようだ
自分に向かって銃を撃つって実験をしてたって元杉家で話すと吊るし上げられていた
流石のぽんやり詩乃おばさんでも怒っていた
洋介は小学校の5教科以外にも道徳や倫理の時間を増やされた、勿論レアナー教の活動は減らさずにだが
私が大学に行く意味はあるのだろうか?もう行かなくても良くないかな?
家族は大学生活は一生のものだから行ったほうがいいなんて言うけど私の場合は難しい
明らかに私をつけてきているものがいるし、かつての仲間は吐き気を催すほどの害悪ばかり
康介おじさんは元々弁護士だ
大病をして弁護士事務所をたたんでしまっていたが今はかつての仲間や腕利きの弁護士を集めてレアナー教お抱えの弁護士団を作るべく走り回っていて私のこともお願いしている
これまでの経緯やスマートフォンでの証拠を見せると本気で怒っていた
「少し待ってもらえるかな?私が弁護すると感情的になりすぎて不利になりかねない」
「わかりました」
「大学にも行く必要がなければ行かなくてもいいと私は考えるが遥ちゃんの人生だ、好きにすればいいと思う」
「はい、大学には行かなくても良いんですがこれから一生悶々とするのも嫌です、全員が地獄に落ちろとは思いませんが私は一度どん底にまで落ちました、なのに今でも軽い言葉で誤魔化そうとする奴らはどうしても許せません」
本当に騙されて疎遠になっていったものもいる
人によっては大学のど真ん中で土下座した人もいる
そういう人はまだ許せるが私が本当にクソビッチであると信じたり噂話を流したものは絶対に許せない
話を知らない人間と知ってる人間で反応は大きく異なっている
ネットの私の情報にもそういう情報がまだ載っているほどだ
おかげで今では関係のない人間からの接触が悪い意味で多いのもストレスを加速させる
フランス大統領もいきなり口説きにかかってきて反射的にアイアンクローをかけたほどだ
「数年はかかるし、人を恨むって大変だけどいいの?」
「はい、せめて法的に、いえ、常識的にでも裁かれないと反射的に殴りたくなってしまいます、けじめの問題でもあるんです」
大学生は大人でありながら子供でもあると思う
大多数は親の支援のもと大学に通う
20歳を超えて酒も飲めるしタバコも吸えるが社会経験を体験しているものはほとんどいない
学生の延長だ、子供のように扱われるのも当然だろう
「合法的に追い込むのは許されている行為だ、弁護士だって弁護のために相手を法定で人格否定して精神的に攻撃することもよくある」
康介おじさんはかつてなく真剣に私を見ている、覚悟はあるのかってことだろう
身体が治ったからって奴等の誹謗中傷は許せるものではない
既に有名人となった私はレアナー教の一員だし洋介の、その、婚約者だ
このままにしておける訳がない
「その結果、法の範囲内であっても人が死ぬ可能性はある、その覚悟はあるかい?」
「はい、法で許された範囲内でお願いします!黒に近いグレーな範囲まで!!」
少し苦い顔をしている康介おじさん
私の存在が洋介を、レアナー様を攻撃する材料になるなんて耐えられない
理不尽は向かってくるし避けられようがない、子供のやったことだからで済む話ではない、それなら私は戦う覚悟がある
「決意は固そうだね」
「はい」
「いいかい遥ちゃん、弁護士っていうのは色んな立場や心情で弁護するものだけどこの弁護は君のための弁護だ、君が過ちを犯さないための弁護だ」
あれ?けっこう本音で話したからか私が奴らを直接手をかけようとしてると思われてる?
「君の行動には君の身だけではない、洋介やレアナー教、ご両親にうち、先祖や将来の自分達にも責任がかかってくる、何を言ってるかわからないかもしれないがなんとなくでもわかってもらいたい」
「はい」
「この案件はまともな弁護士はやりたがらないだろうし待ってもらうことにはなる、効果的にするには卒業後になるだろう、それまでに迷惑をかけそうな味方の人全員と一度話し合ってみなさい」
本気でレアナー教のことも考えているが私怨がないわけではない
ぶち殺してやると胸の底から思う人間もいるし、たまに夢に出てくることもある
私にも今は立場がある、直接手を下すわけではないがせめて何かしらのダメージを与えないと気が済まないという部分もある
私が病気で悪い噂を立てられたときには一方の言うことを信じて私を貶した奴らがいる
それが原因かそれとも奴等が書き込んだのかネット上の私の情報には私が糞女であるように書かれている
食堂に行くとかつて私もいた一角が静まり返るが新しい大学の仲間や奈美、それとレアナー教の人と過ごしている
こそこそなんてしないし彼らに私が譲ることは絶対にない
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