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#100 見た目も華やかエッグベネディクト

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「こんな感じので良かったか?」

「ああ、いい感じですね。 ありがとうございます」

「こっちこそ、シュージさんのアイデアでいい商売させてもらってて、売上がみるみる伸びてるから助かってるよ」


 蒼天の風の厨房の裏手。

 ここには小さな出入り口があって、外にも通じているのだが、そこでシュージと近くの提携を結んでいるパン屋の店主が少し話をしていた。

 今日もいつも通り美味しそうなパンを届けに来てくれた店主なのだが、その中にシュージが作るのを依頼したものが入っていた。


「マフィンって言ったか? 早速ウチでも売り出してみるよ」

「ぜひぜひ。 何なら、チーズとかハムを挟んだ状態で売り出してもいいかもしれませんね。 それなら、冒険者の方などが歩きながら片手で食べれますし」

「確かにそれはいいな…… 今までパンだけで売ってたが、すぐに食べれる形で売るのも有りかもしれん。 ありがとう、やってみるよ」

「頑張ってください。 僕もまたお店にお邪魔しますね」

「おう」


 こんな感じで、シュージはパン屋の店主に色々とアイデアや新しいパンについて教えたりする事が結構あり、その中で今回はマフィンを作ってもらった。

 もちろん、シュージも簡単なパン作りなどはできるのだが、やっぱり専用の道具が揃っているパン屋に作ってもらうのが1番手っ取り早いし、パン屋側も新しい商品のネタを得られてWin-Winの関係なのだ。

 そんなこんなでマフィンをゲットしたため、早速今日の昼ご飯に使う事にする。

 今日は結構な人数が出払っていて、ギルドにいるのはキリカ、ゾラ、イザベラ、ディアナと見事に女性のみだった。

 なので、折角ならちょっと見た目も華やかなものにしようと思う。

 まずはマフィンを2つに割り、フライパンで焼き色が付くくらいまで焼いておく。


(そういえば、トースターとかが欲しいですねぇ。 今度商会経由で魔道具職人の方に頼んでみましょうか)


 この世界も調理器具は色々あるが、流石に前世ほどのバリエーションは無い。

 だが、逆に地球にもないような便利な魔道具もあったりするので、トースターや圧力鍋、何ならレンジとかも構想を伝えればもしかしたら作れるかもしれないと思っている。

 やはりより良い料理作業に便利な道具は必要不可欠なので、特に予定の無い今のうちに職人に依頼などもしたいなぁとぼんやり思いつつ、ほうれん草とベーコンを食べやすいサイズに切っていく。

 そのまま切ったベーコンを油を敷いたフライパンで炒め、その後ほうれん草もしんなりするぐらいまで炒めておく。

 次に、鍋に湯を沸かし、その中に少し酢を入れたら、ぐるぐると水の流れができるようにかき混ぜていく。

 そうしたら、その流れの中心に卵を静かに入れ、ぐるぐるさせながら2分ほど茹でる。

 すると、白身が綺麗な楕円型に固まったポーチドエッグが出来上がった。

 後はマフィンの上に、ほうれん草、ベーコン、ポーチドエッグを乗せ、マヨネーズ、卵黄、バター、牛乳を混ぜ合わせて作ったソースをかければ、エッグベネディクトの完成だ。


「出来ましたよー」

「わぁ、何だか見た目が凄いですね?」

「味も結構美味しいですよ」


 それから、昼食を食べに集まってきた面々にエッグベネディクトを渡し、皆んなで一緒に食べ始めた。


「へぇ、卵は半熟なんだねぇ」

「ぷるぷるしてるのに、しっかり形保っててすごいね」

 
 見た目が華やかなエッグベネディクトは、やはり女性陣にはかなりウケが良く、口に運んでもしっかりと美味しい視覚でも味覚でも楽しめる料理になっていた。


「こういう見た目が良い料理は結構食べてきたけど、どれもあんまり美味しくなかったから新鮮だよ」

「ディアナさんはやっぱり貴族の方と会う機会とか多いんですか?」

「まぁ、Sランク冒険者だから、依頼によっては貴族からのものがあって、屋敷で歓待を受けたりすることはあるね」

「なるほど」

「まぁ、私的には市井の大衆食堂の方が気楽だしシンプルな味付けで食べやすいから、そっちの方が好きだよ。 街を歩く時は深くフードをしないと目立ってしまうから、そこは面倒だけど」

「ディアナさんはお綺麗ですものね」

「ふふ、ありがとう。 シュージみたいな真っ直ぐな賞賛は素直に嬉しいよ」

「あ、それ分かります。 シュージさんって凄いちゃんと褒めてくれますよね」

「そうですかね?」

「もちろん、ギルマスとかも大変な仕事の後とかは労ってくれるんですけど、普段当たり前にやるような仕事とかでも、シュージさんは終わらせると褒めてくれるので、結構嬉しいです!」

「大なり小なり仕事は仕事ですから、それをしっかり責任持って終わらせるのはとても偉い事だと思いますよ」

「それを言うならシュージはそこはかとなく偉いねぇ」

「そうだね。 毎日朝早くから始まって、昼も夜も美味しい食事を作ってるし」

「掃除とかもギルドの隅から隅までやってくれて、いつもギルドはピカピカです!」

「はは、改めて言われると照れますねぇ」


 その後も皆んなして、シュージにどれくらい感謝をしているのかを伝えてきて、少しむず痒さもありつつ、とても嬉しい気分になるシュージなのであった。
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