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#78 王家の食事を改善しよう
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「では、よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします!!」」」
王家の者達との会談の後、早速シュージは王城の厨房にやって来ていた。
ひとまず今日のところはいつも作るコース料理を見せてもらって、改善点を見つけたらその都度皆んなで改善していくつもりだ。
(ふむふむ。 やはり料理の腕は素晴らしいものがありますね)
王城に勤める料理人なだけあって、食材を扱う腕は全員かなりのものだった。
そんな彼らなので、あっという間に1人分のコース料理を作り終えてきた。
「では、味見してみますね」
そうして出されたコース料理を、シュージは一通り口にしてみる。
なお、コース料理とは言っても、地球のフレンチなどとはまた少し違った形で、ざっくり言うと魚料理を指すポワソンや、その後の口直しとして出てくるソルベなどは無いようだった。
(うーん、やっぱり味付けが単調ですね。 ものによっては何種類か調味料を使っていますが…… 逆に言うとこれだけ少ない調味料でそれなりに美味しいと感じさせる彼らの腕は賞賛に値します)
「どうでしょうか?」
「そうですね。 見た目の華やかさや盛り付けに関しては素晴らしいと思います。 とりあえず、今できる修正を簡単にしてみましょうか」
そう言ってシュージは、まずは前菜として出されたカリフラワーとベビーリーフと呼ばれる野菜で作られたサラダに、お手製のフレンチドレッシングを軽く振りかけた。
「このドレッシングは、オリーブオイル、塩、胡椒、砂糖、お酢を混ぜて作ったものです。 これだけでもだいぶ変わりますよ」
「おお! 本当だ! 一気に味が良くなった!」
「このドレッシングは分量次第で結構味わいが変わるので、王家の方々の好みに合わせると良いと思います」
オードブルはこれで良いとして、次はスープだ。
ただ、スープに関してはシュージのレシピを参考にしたコンソメスープになっていて、これは特に文句を付けるところも無かった。
「スープは良さそうですね。 ただ、具材が玉ねぎだけなのはちょっと物寂しいので、細く切ったにんじんやベーコンなどを加えると更に良くなるかと」
「なるほど……!」
「次は肉料理ですね。 今回はシンプルな牛肉系統のステーキのようですが、大体いつもこんな感じですかね?」
「そうですね。 他の種類の肉を使うこともありますが、大体はステーキです」
「となると、肉料理はかなり改善できそうですね。 もちろん、ステーキも一つのメニューとして残しつつ、他の肉料理をまた後日教えましょう」
「例えばどんなものがあるんですか?」
「そうですね…… あ、では、こちらを」
そう言ってシュージは、収納袋から一つの焼かれた塊肉を取り出した。
「これは以前、僕が所属しているギルドで作ったものなのですが」
「見た目は普通ですね?」
「では、切ってみますね」
取り出された肉を、シュージは薄く切っていった。
すると、その断面は綺麗なピンク色で、見るからに柔らかそうな仕上がりになっていた。
「こちらはローストビーフと言います。 生のように見えるかもしれませんが、これでもちゃんと火は通ってます」
「これは…… 食べてみても良いですか?」
「どうぞどうぞ。 あ、ソースもありますよ」
お手製のローストビーフ用の甘塩っぱいソースをかけたものを、皆んなちょっと恐る恐るだが口に運んでいった。
「んんっ!? な、なんて柔らかい……!」
「すごい! 噛めば噛むほど肉の旨味が湧き出てくる!」
「しかも、肉等有の油っぽさも全然ないですね!」
「これは低温調理と呼ばれる、じっくりと時間をかけて肉に火を通す調理法で作りました」
今回のローストビーフは、フライパンで焼き色をつけた塊肉を袋に入れて湯煎した簡単な作り方で作ったものだ。
ただ、簡単な割には火入れを完璧に行えば低温調理器具で作ったりするのと遜色ないものが作れるので、今回用意したローストビーフは非常に美味しく出来ていた。
それに、健康面的に大丈夫かという問題も、この世界には鑑定魔法だったり、体に害になる成分を判別する魔道具なんてものもあるので、特にその辺りに厳しい王家の者達にも問題なく提供できるだろう。
「肉料理にはこんな感じでステーキ以外の調理法が沢山ありますから、また後日教えますね。 では最後にデザートですが……」
「あ、デザートなんですけど、最近はお出ししていないんです……」
「それはどうしてですか?」
「その…… フローリア様とルビィ様が、以前出していたようなものはもう食べれないと仰ってまして…… それに付随する形でそもそもあまり好きじゃ無かった陛下や王子様方もいらないと……」
「あー…… もしかしなくても僕のせいですかね?」
「そ、そうですね…… 私達の腕が至らず申し訳ありません」
「いえいえ、謝らないでください。 デザート類に関しては少し練習も必要ですから、頑張って覚えましょう。 あ、そうしたら、物凄く簡単に作れるデザートがありますから、今日はお試しでそれを出してみましょう」
今日のところはデザートを作る練習も兼ねて、まずは塩と氷を用意し、大きめの袋にそれらを入れて塩が馴染むように揉んでいく。
さらにもう一つの袋には牛乳、砂糖、バニラエッセンスを加えて軽く混ぜ、先程の氷を入れた袋に加える。
後はこの袋を5分くらい振ったり揉んだりすれば、超簡単に作れるバニラアイスの完成だ。
「おおっ! とても自然な甘みだ!」
「こんな簡単にここまでのものを作ってしまうなんて……」
「美味しいデザート作りのコツは、砂糖は必要最低限にして、どう素材の味を生かすかを考えることですね。 特に男性は砂糖が多量に使われていると胸焼けしてしまう方も多いですから」
「「なるほど……!」」
10分ほどで美味しいデザートを完成させたシュージに、王城の料理人達はもう尊敬の念が絶えないようだった。
そんなシュージのアドバイスの元、今日の夕食を作って王家の者達に提供したところ、それはもう好評だったと後日聞いた。
全体的な仕上がりや味付けはもちろん、特に女性陣にはバニラアイスが大好評で、今度行われるお茶会への期待がより一層高まったらしく、そっちの方も頑張らないとなーと思うシュージなのであった。
「「「よろしくお願いします!!」」」
王家の者達との会談の後、早速シュージは王城の厨房にやって来ていた。
ひとまず今日のところはいつも作るコース料理を見せてもらって、改善点を見つけたらその都度皆んなで改善していくつもりだ。
(ふむふむ。 やはり料理の腕は素晴らしいものがありますね)
王城に勤める料理人なだけあって、食材を扱う腕は全員かなりのものだった。
そんな彼らなので、あっという間に1人分のコース料理を作り終えてきた。
「では、味見してみますね」
そうして出されたコース料理を、シュージは一通り口にしてみる。
なお、コース料理とは言っても、地球のフレンチなどとはまた少し違った形で、ざっくり言うと魚料理を指すポワソンや、その後の口直しとして出てくるソルベなどは無いようだった。
(うーん、やっぱり味付けが単調ですね。 ものによっては何種類か調味料を使っていますが…… 逆に言うとこれだけ少ない調味料でそれなりに美味しいと感じさせる彼らの腕は賞賛に値します)
「どうでしょうか?」
「そうですね。 見た目の華やかさや盛り付けに関しては素晴らしいと思います。 とりあえず、今できる修正を簡単にしてみましょうか」
そう言ってシュージは、まずは前菜として出されたカリフラワーとベビーリーフと呼ばれる野菜で作られたサラダに、お手製のフレンチドレッシングを軽く振りかけた。
「このドレッシングは、オリーブオイル、塩、胡椒、砂糖、お酢を混ぜて作ったものです。 これだけでもだいぶ変わりますよ」
「おお! 本当だ! 一気に味が良くなった!」
「このドレッシングは分量次第で結構味わいが変わるので、王家の方々の好みに合わせると良いと思います」
オードブルはこれで良いとして、次はスープだ。
ただ、スープに関してはシュージのレシピを参考にしたコンソメスープになっていて、これは特に文句を付けるところも無かった。
「スープは良さそうですね。 ただ、具材が玉ねぎだけなのはちょっと物寂しいので、細く切ったにんじんやベーコンなどを加えると更に良くなるかと」
「なるほど……!」
「次は肉料理ですね。 今回はシンプルな牛肉系統のステーキのようですが、大体いつもこんな感じですかね?」
「そうですね。 他の種類の肉を使うこともありますが、大体はステーキです」
「となると、肉料理はかなり改善できそうですね。 もちろん、ステーキも一つのメニューとして残しつつ、他の肉料理をまた後日教えましょう」
「例えばどんなものがあるんですか?」
「そうですね…… あ、では、こちらを」
そう言ってシュージは、収納袋から一つの焼かれた塊肉を取り出した。
「これは以前、僕が所属しているギルドで作ったものなのですが」
「見た目は普通ですね?」
「では、切ってみますね」
取り出された肉を、シュージは薄く切っていった。
すると、その断面は綺麗なピンク色で、見るからに柔らかそうな仕上がりになっていた。
「こちらはローストビーフと言います。 生のように見えるかもしれませんが、これでもちゃんと火は通ってます」
「これは…… 食べてみても良いですか?」
「どうぞどうぞ。 あ、ソースもありますよ」
お手製のローストビーフ用の甘塩っぱいソースをかけたものを、皆んなちょっと恐る恐るだが口に運んでいった。
「んんっ!? な、なんて柔らかい……!」
「すごい! 噛めば噛むほど肉の旨味が湧き出てくる!」
「しかも、肉等有の油っぽさも全然ないですね!」
「これは低温調理と呼ばれる、じっくりと時間をかけて肉に火を通す調理法で作りました」
今回のローストビーフは、フライパンで焼き色をつけた塊肉を袋に入れて湯煎した簡単な作り方で作ったものだ。
ただ、簡単な割には火入れを完璧に行えば低温調理器具で作ったりするのと遜色ないものが作れるので、今回用意したローストビーフは非常に美味しく出来ていた。
それに、健康面的に大丈夫かという問題も、この世界には鑑定魔法だったり、体に害になる成分を判別する魔道具なんてものもあるので、特にその辺りに厳しい王家の者達にも問題なく提供できるだろう。
「肉料理にはこんな感じでステーキ以外の調理法が沢山ありますから、また後日教えますね。 では最後にデザートですが……」
「あ、デザートなんですけど、最近はお出ししていないんです……」
「それはどうしてですか?」
「その…… フローリア様とルビィ様が、以前出していたようなものはもう食べれないと仰ってまして…… それに付随する形でそもそもあまり好きじゃ無かった陛下や王子様方もいらないと……」
「あー…… もしかしなくても僕のせいですかね?」
「そ、そうですね…… 私達の腕が至らず申し訳ありません」
「いえいえ、謝らないでください。 デザート類に関しては少し練習も必要ですから、頑張って覚えましょう。 あ、そうしたら、物凄く簡単に作れるデザートがありますから、今日はお試しでそれを出してみましょう」
今日のところはデザートを作る練習も兼ねて、まずは塩と氷を用意し、大きめの袋にそれらを入れて塩が馴染むように揉んでいく。
さらにもう一つの袋には牛乳、砂糖、バニラエッセンスを加えて軽く混ぜ、先程の氷を入れた袋に加える。
後はこの袋を5分くらい振ったり揉んだりすれば、超簡単に作れるバニラアイスの完成だ。
「おおっ! とても自然な甘みだ!」
「こんな簡単にここまでのものを作ってしまうなんて……」
「美味しいデザート作りのコツは、砂糖は必要最低限にして、どう素材の味を生かすかを考えることですね。 特に男性は砂糖が多量に使われていると胸焼けしてしまう方も多いですから」
「「なるほど……!」」
10分ほどで美味しいデザートを完成させたシュージに、王城の料理人達はもう尊敬の念が絶えないようだった。
そんなシュージのアドバイスの元、今日の夕食を作って王家の者達に提供したところ、それはもう好評だったと後日聞いた。
全体的な仕上がりや味付けはもちろん、特に女性陣にはバニラアイスが大好評で、今度行われるお茶会への期待がより一層高まったらしく、そっちの方も頑張らないとなーと思うシュージなのであった。
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