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#47 たまに食べたくなるジャンクフード
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「今日のお昼はリックとカインとメイだけですか」
「みたいだぜー? 他の皆んなはそれぞれの仕事とか、スタンピードの対策会議で出払っちまったよ」
「もうすぐ来るそうですよね? 何でも、数日間にかけた戦いになると聞きました」
「そうそう。 オイラ達は悔しいけど、後方支援だから、あんまり今からできることとか無いんだ」
「後方支援も立派なお仕事ですよ」
「魔物の強さはそこまででは無いですけど、量が凄いのと、第一波、第二波といった感じで断続的に魔物の群れが襲ってきますから、長期戦になります」
「僕もサポートに回りますから、一緒に頑張りましょうね」
調査を行っている冒険者達からの情報によると、あと1週間くらいでスタンピードが来ると予想されていて、ヤタサの街はいつもより少し張り詰めた空気に包まれている。
ただ、冒険者達にとっては稼ぎ時という側面もあり、不安もあるが戦いへのやる気もかなり湧き上がってきているようだった。
ちなみにシュージは正式に炊き出し班に参加する事になっていて、一応戦えもするので、その近辺の護衛も兼業する予定だ。
まぁ、炊き出しは街の防壁の裏側で行われるので、余程のことが無ければ戦闘に巻き込まれることは無いだろう。
ただ、もしスタンピードの勢いが想定以上で押されるなんて事になったら、シュージも前線に加わるつもりだ。
戦うのをそこまで好まないとは言え、シュージだってこの街の一員だ。
この街が好きだし、この街で出会った人達を守りたいという気持ちは本物なので、密かに戦う心構えもしておいている。
「さて、ではお昼ご飯は何にしましょうか?」
「うーん、なんかガツンとしたもんがいい!」
「オイラも!」
「私はお二人が食べたいもので大丈夫です」
「うーん、では、少しジャンクな物を作りましょうか」
今日ギルドにいるのは、10代中盤の食べ盛りな3人という事で、少しジャンキーなメニューにする事にした。
という事で、まずはメイとリックにはじゃがいもを洗って皮剥きをしてもらっておく。
その間、シュージとカインは、玉ねぎをみじん切りにし、合い挽き肉と合わせて塩胡椒を振ってからしっかりと混ぜていく。
そうして出来上がった肉だねを、ハンバーグよりも平べったい丸型に延ばし、油をひいたフライパンで焼き始めた。
同時に、下処理を終えたジャガイモを細長い形に切り分け、小麦粉と片栗粉を塗して油で揚げていく。
そう、今作っているのは地球の代表的なジャンクフードである、ハンバーガーとフライドポテトだ。
ホットドッグはこの世界でも見かけたことはあるが、ハンバーガーはまだ見たこと無いので、受け入れられるかをチェックする意味でも今日はこの3人に食べてもらおうと思う。
そんな風に肉を焼いている間、ハンバーガーに挟むレタスとトマトを切り分け、それ用のバンズでは無いが、丸い形のパンを買ってきておいたので、それを半分にカットしておく。
そして、肉に火が通ったらチーズを乗せて少し溶けるくらいになったら、フライパンから上げてパンに乗せ、トマトとレタスと一緒に挟み、ケチャップとマヨネーズを適量かけたら、手作りハンバーガーの完成だ。
その頃にはフライドポテトも揚げ上がったので、バットに移して油を切り、熱々の内に塩を振ったらこちらも完成だ。
「という事で、ハンバーガーセットの完成です」
「ハンバーガーセット?」
「僕の故郷では、ハンバーガーとフライドポテトをセットにして売っている人気店があったんですよ。 どうぞ食べてみてください」
シュージがそう言いながら、ハンバーガーを手に持って、その大きな口でかぶりついた。
そのお手本と同じように、リック達もそれぞれハンバーガーを口に運んだ。
「んっ! 美味い!」
「すごい食べ応えがありますね?」
「今回は一般的なサイズで作りましたけど、僕の故郷では肉とかパンを何枚も重ねて凄く大きなハンバーガーとかも作られてましたね」
「なにそれ、楽しそう!」
「人数がいる時になら作って良いかもしれませんねぇ」
「このフライドポテトも美味しいです」
「やけに合いますよね。 まぁ、こういう食事は食べ過ぎると体に悪いので、たまに食べるくらいにしないといけないのが玉に瑕ですかね」
「体に悪いのか?」
「食べ過ぎなければ全然そんな事ないですよ? ただ、油をたくさん使っているので、食べ過ぎると太ったり、体調悪くしたりします。 まぁ、どの料理でもそうですが」
「そうなんだなー」
「でも、皆さんは伸び盛りな年齢ですから、遠慮はせず沢山食べてください。 食べた分しっかり運動もしてますし」
「おう! いつかシュージみたいなムキムキになってやるよ!」
「はは、それは頑張らないとですねぇ」
どことなく食べていて罪悪感のあるジャンクフードを食べながら、今日も平和な時間を過ごすシュージだった。
「みたいだぜー? 他の皆んなはそれぞれの仕事とか、スタンピードの対策会議で出払っちまったよ」
「もうすぐ来るそうですよね? 何でも、数日間にかけた戦いになると聞きました」
「そうそう。 オイラ達は悔しいけど、後方支援だから、あんまり今からできることとか無いんだ」
「後方支援も立派なお仕事ですよ」
「魔物の強さはそこまででは無いですけど、量が凄いのと、第一波、第二波といった感じで断続的に魔物の群れが襲ってきますから、長期戦になります」
「僕もサポートに回りますから、一緒に頑張りましょうね」
調査を行っている冒険者達からの情報によると、あと1週間くらいでスタンピードが来ると予想されていて、ヤタサの街はいつもより少し張り詰めた空気に包まれている。
ただ、冒険者達にとっては稼ぎ時という側面もあり、不安もあるが戦いへのやる気もかなり湧き上がってきているようだった。
ちなみにシュージは正式に炊き出し班に参加する事になっていて、一応戦えもするので、その近辺の護衛も兼業する予定だ。
まぁ、炊き出しは街の防壁の裏側で行われるので、余程のことが無ければ戦闘に巻き込まれることは無いだろう。
ただ、もしスタンピードの勢いが想定以上で押されるなんて事になったら、シュージも前線に加わるつもりだ。
戦うのをそこまで好まないとは言え、シュージだってこの街の一員だ。
この街が好きだし、この街で出会った人達を守りたいという気持ちは本物なので、密かに戦う心構えもしておいている。
「さて、ではお昼ご飯は何にしましょうか?」
「うーん、なんかガツンとしたもんがいい!」
「オイラも!」
「私はお二人が食べたいもので大丈夫です」
「うーん、では、少しジャンクな物を作りましょうか」
今日ギルドにいるのは、10代中盤の食べ盛りな3人という事で、少しジャンキーなメニューにする事にした。
という事で、まずはメイとリックにはじゃがいもを洗って皮剥きをしてもらっておく。
その間、シュージとカインは、玉ねぎをみじん切りにし、合い挽き肉と合わせて塩胡椒を振ってからしっかりと混ぜていく。
そうして出来上がった肉だねを、ハンバーグよりも平べったい丸型に延ばし、油をひいたフライパンで焼き始めた。
同時に、下処理を終えたジャガイモを細長い形に切り分け、小麦粉と片栗粉を塗して油で揚げていく。
そう、今作っているのは地球の代表的なジャンクフードである、ハンバーガーとフライドポテトだ。
ホットドッグはこの世界でも見かけたことはあるが、ハンバーガーはまだ見たこと無いので、受け入れられるかをチェックする意味でも今日はこの3人に食べてもらおうと思う。
そんな風に肉を焼いている間、ハンバーガーに挟むレタスとトマトを切り分け、それ用のバンズでは無いが、丸い形のパンを買ってきておいたので、それを半分にカットしておく。
そして、肉に火が通ったらチーズを乗せて少し溶けるくらいになったら、フライパンから上げてパンに乗せ、トマトとレタスと一緒に挟み、ケチャップとマヨネーズを適量かけたら、手作りハンバーガーの完成だ。
その頃にはフライドポテトも揚げ上がったので、バットに移して油を切り、熱々の内に塩を振ったらこちらも完成だ。
「という事で、ハンバーガーセットの完成です」
「ハンバーガーセット?」
「僕の故郷では、ハンバーガーとフライドポテトをセットにして売っている人気店があったんですよ。 どうぞ食べてみてください」
シュージがそう言いながら、ハンバーガーを手に持って、その大きな口でかぶりついた。
そのお手本と同じように、リック達もそれぞれハンバーガーを口に運んだ。
「んっ! 美味い!」
「すごい食べ応えがありますね?」
「今回は一般的なサイズで作りましたけど、僕の故郷では肉とかパンを何枚も重ねて凄く大きなハンバーガーとかも作られてましたね」
「なにそれ、楽しそう!」
「人数がいる時になら作って良いかもしれませんねぇ」
「このフライドポテトも美味しいです」
「やけに合いますよね。 まぁ、こういう食事は食べ過ぎると体に悪いので、たまに食べるくらいにしないといけないのが玉に瑕ですかね」
「体に悪いのか?」
「食べ過ぎなければ全然そんな事ないですよ? ただ、油をたくさん使っているので、食べ過ぎると太ったり、体調悪くしたりします。 まぁ、どの料理でもそうですが」
「そうなんだなー」
「でも、皆さんは伸び盛りな年齢ですから、遠慮はせず沢山食べてください。 食べた分しっかり運動もしてますし」
「おう! いつかシュージみたいなムキムキになってやるよ!」
「はは、それは頑張らないとですねぇ」
どことなく食べていて罪悪感のあるジャンクフードを食べながら、今日も平和な時間を過ごすシュージだった。
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