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1章 始まりの事件編
2.始まりの改人事件
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事の発端は2035年の渋谷・スクランブル交差点。
いつものように多くの人が行き交うその中で、突然一人の人間が自爆した。
のちに"改人事件"と呼ばれるようになるこの事件は、死者1024名。負傷者413人という被害を出した。
最初はどこからかのテロ行為だと思われた事件であったが、3日後の正午に犯人は自ら声明を発表した。
《私は"Dr."。しがない科学者だ》
突然の電波ジャックにより渋谷の巨大ディスプレイに映し出されたその映像。
シルエットだけの人物が一人座っているだけ。ただ声は変えていないようで、その人物が男であることだけがわかった。
道行く者がその映像を見つめる中で"Dr."と名乗る人物は告げる。
《自爆したのは私が創った"改造人間"だ》
それは突拍子もない馬鹿馬鹿しいものであった。
しかし、その言葉を嘘と受け取る人間は不思議と誰もいない。
その言葉が嘘ではないと言えるに何かを、その場の全員が感じたのである。
《すでに1000を超える改造人間が各地に潜んでいる。
彼らに殺されぬよう、精々気を付けることだね》
それを最後に、映像は終わった。
そして"Dr."の言った通り、その後も改造人間による事件が多発。
自爆から始まった事件は、次に殺人事件。その次は建物の破壊と、様々なものだった。
すぐに政府は警察や自衛隊を派遣。
改造人間事件はこれで解決へと向かうと思われた。
しかし、改造人間は人々の想像を遥かに超越していた。
腕や足に仕込まれた兵器の数々と、銃弾を通さない頑丈な皮膚。
現代の兵器では太刀打ちできないほどに、彼らは強かった。
さらに厄介だったのは、その完璧な擬態能力だ。
金属探知機やX線、警察犬をもってしても改造人間を判別することが不可能だったのだ。
あくまで普段はただの人間。
事件を起こさぬ限り、改造人間はその正体を知られることはない。
これに対し日本はこれ以上の犯行を防ぐために、自衛隊や警察、各国から選りすぐりの人材を集め、対改造人間用特殊部隊――改造人間殲滅部隊(Cyborg-Eradication-Unit)、通称C-E-Uを発足。
さらに、とある天才科学者に協力を仰ぎ、対改造人間用の武器を開発。
当初こそ数多くの犠牲を出したものの、1年後には改造人間に対抗できるようになっていった。
けれど対抗できるようになっただけで安心はできない。
15年たった今でも、改造人間は現れており、解決の糸口は未だ見つかっていない。
対抗できるとはいえ判別ができない以上は後手に回るしかなく、少しでも迅速に被害を食い止められるよう、街には常にC-E-Uの隊員が巡回しているのだ。
世の中は依然として、危険に溢れている。
いつものように多くの人が行き交うその中で、突然一人の人間が自爆した。
のちに"改人事件"と呼ばれるようになるこの事件は、死者1024名。負傷者413人という被害を出した。
最初はどこからかのテロ行為だと思われた事件であったが、3日後の正午に犯人は自ら声明を発表した。
《私は"Dr."。しがない科学者だ》
突然の電波ジャックにより渋谷の巨大ディスプレイに映し出されたその映像。
シルエットだけの人物が一人座っているだけ。ただ声は変えていないようで、その人物が男であることだけがわかった。
道行く者がその映像を見つめる中で"Dr."と名乗る人物は告げる。
《自爆したのは私が創った"改造人間"だ》
それは突拍子もない馬鹿馬鹿しいものであった。
しかし、その言葉を嘘と受け取る人間は不思議と誰もいない。
その言葉が嘘ではないと言えるに何かを、その場の全員が感じたのである。
《すでに1000を超える改造人間が各地に潜んでいる。
彼らに殺されぬよう、精々気を付けることだね》
それを最後に、映像は終わった。
そして"Dr."の言った通り、その後も改造人間による事件が多発。
自爆から始まった事件は、次に殺人事件。その次は建物の破壊と、様々なものだった。
すぐに政府は警察や自衛隊を派遣。
改造人間事件はこれで解決へと向かうと思われた。
しかし、改造人間は人々の想像を遥かに超越していた。
腕や足に仕込まれた兵器の数々と、銃弾を通さない頑丈な皮膚。
現代の兵器では太刀打ちできないほどに、彼らは強かった。
さらに厄介だったのは、その完璧な擬態能力だ。
金属探知機やX線、警察犬をもってしても改造人間を判別することが不可能だったのだ。
あくまで普段はただの人間。
事件を起こさぬ限り、改造人間はその正体を知られることはない。
これに対し日本はこれ以上の犯行を防ぐために、自衛隊や警察、各国から選りすぐりの人材を集め、対改造人間用特殊部隊――改造人間殲滅部隊(Cyborg-Eradication-Unit)、通称C-E-Uを発足。
さらに、とある天才科学者に協力を仰ぎ、対改造人間用の武器を開発。
当初こそ数多くの犠牲を出したものの、1年後には改造人間に対抗できるようになっていった。
けれど対抗できるようになっただけで安心はできない。
15年たった今でも、改造人間は現れており、解決の糸口は未だ見つかっていない。
対抗できるとはいえ判別ができない以上は後手に回るしかなく、少しでも迅速に被害を食い止められるよう、街には常にC-E-Uの隊員が巡回しているのだ。
世の中は依然として、危険に溢れている。
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