193 / 198
最終章・転生勇者編
第177話 騒動の後始末
しおりを挟む
騒動が起きてから1週間。
ユウシは、タマコを殺害した際に破壊してしまった建物の修繕費の全額を負担することとなった。
ユウシの素性を知る人はあの場にはおらず、名乗り出なければ彼が勇者と知れることも無かったのだが、ユウシは自ら名乗り出て、素性を明かしたうえでタイタンの住人らに謝罪をした。
これは、自分の罪を忘れぬようにするためらしい。
もちろん批判の声は多く、石を投げられたり罵倒されたりもしている。
死人が出ていないだけで破壊したことに変わりは無いのだから仕方ない。
けれどユウシはその全てを受け止めて、罪を償うために生きていくと言っていた。
そして、現在ユウシは冒険者となっていた。
街の修繕費を稼ぐためにもお金がいるということで、依頼をこなすのに明け暮れているそうだ。
ちなみにランクはDからのスタート。
ドラムスら上層部は一発でSランクに昇格させてもいいと考えていたらしいが、ユウシ本人が新人からやっていくと言ったそうだ。
だが、ユウシの実力であればすぐにSランクまで到達するだろうと、ドラムス含め他のSランク冒険者も評している。
で、余談なのだが……。
実は、ユウシとは別にSランクに昇格した人間がいた。
***
―― タロー自宅 ――
「『冒険者タロー。
貴殿の実力、功績はAランクでは不釣り合いと判断。
よって、貴殿をSランク冒険者に認定する。
ギルドマスター・ドラムスより』――だって」
読み上げたタマコは手紙をタローへと渡す。
よっしゃー! とでも言うかと思いきや、タローの反応は薄い。
「へぇ~……」
いたってどうでもよさそうである。
だがこれにはタマコも同じテンションであった。
タローの実力はSランク冒険者以上の力があるし、むしろ遅すぎるくらいだと思っている。
まぁ、何はともあれSランクに昇格した以上は国の危機などに駆り出されることもあるが、給料もよくなるため結果オーライではないだろうか。
と、そんな会話をしていると、プーがもう一通の手紙を持ってリビングへとやってくる。
「(^・ω・^)」
(訳:タロー様、お手紙ですよ)
「んー、誰から?」
「(^・ω・^)」
(訳:これは……ユウシさんからですね)
「アイツから?」
ソファーで寝そべるタローは体を起こすと、プーから手紙を受け取る。
封を開けると、そこに書いてあったのは――。
「……結婚、報告?」
大きくそう書かれた手紙。
で、その内容はこうだ。
―― タロー、そしてマリアさん。こんにちは。
この度、おれは仲間のマホ・マーティ・セイバー・キララと結婚することになったので報告します。
P.S.めっちゃ幸せです。
ユウシより――
「プー、燃やしとけ」
「Σ(^・ω・^;)」
(訳:燃やしとけ!?)
燃やせ発言に驚くプー。
タマコは燃やされる前にひょいと手紙を取り上げると、その内容に目を引くつかせた。
「あー……まぁ気持ちがわからんでもないが……」
「……そういや、ムサシも言ってたな――」
何となくムカついたタローは、そこでムサシとの会話を思い出した。
そう、あれは確か一緒に釣りに行った帰り――
『勇者は――何故かハーレムを作ってモテまくる運命なんだ。ホントに腹立たしいよ』
――勇者の周りには女性が集う。
仲間に女性しか連れていない強そうな奴は転生者という、Sランク冒険者や魔王には常識の見分け方であった。
「ま、アイツも前に進んだってこと……なのかな?」
ユウシの罪は重い。
けれど、きっと仲間の女性たちが支えてくれることだろう。
こうして、勇者騒動と呼ばれた事件は幕を閉じるのだった。
ユウシは、タマコを殺害した際に破壊してしまった建物の修繕費の全額を負担することとなった。
ユウシの素性を知る人はあの場にはおらず、名乗り出なければ彼が勇者と知れることも無かったのだが、ユウシは自ら名乗り出て、素性を明かしたうえでタイタンの住人らに謝罪をした。
これは、自分の罪を忘れぬようにするためらしい。
もちろん批判の声は多く、石を投げられたり罵倒されたりもしている。
死人が出ていないだけで破壊したことに変わりは無いのだから仕方ない。
けれどユウシはその全てを受け止めて、罪を償うために生きていくと言っていた。
そして、現在ユウシは冒険者となっていた。
街の修繕費を稼ぐためにもお金がいるということで、依頼をこなすのに明け暮れているそうだ。
ちなみにランクはDからのスタート。
ドラムスら上層部は一発でSランクに昇格させてもいいと考えていたらしいが、ユウシ本人が新人からやっていくと言ったそうだ。
だが、ユウシの実力であればすぐにSランクまで到達するだろうと、ドラムス含め他のSランク冒険者も評している。
で、余談なのだが……。
実は、ユウシとは別にSランクに昇格した人間がいた。
***
―― タロー自宅 ――
「『冒険者タロー。
貴殿の実力、功績はAランクでは不釣り合いと判断。
よって、貴殿をSランク冒険者に認定する。
ギルドマスター・ドラムスより』――だって」
読み上げたタマコは手紙をタローへと渡す。
よっしゃー! とでも言うかと思いきや、タローの反応は薄い。
「へぇ~……」
いたってどうでもよさそうである。
だがこれにはタマコも同じテンションであった。
タローの実力はSランク冒険者以上の力があるし、むしろ遅すぎるくらいだと思っている。
まぁ、何はともあれSランクに昇格した以上は国の危機などに駆り出されることもあるが、給料もよくなるため結果オーライではないだろうか。
と、そんな会話をしていると、プーがもう一通の手紙を持ってリビングへとやってくる。
「(^・ω・^)」
(訳:タロー様、お手紙ですよ)
「んー、誰から?」
「(^・ω・^)」
(訳:これは……ユウシさんからですね)
「アイツから?」
ソファーで寝そべるタローは体を起こすと、プーから手紙を受け取る。
封を開けると、そこに書いてあったのは――。
「……結婚、報告?」
大きくそう書かれた手紙。
で、その内容はこうだ。
―― タロー、そしてマリアさん。こんにちは。
この度、おれは仲間のマホ・マーティ・セイバー・キララと結婚することになったので報告します。
P.S.めっちゃ幸せです。
ユウシより――
「プー、燃やしとけ」
「Σ(^・ω・^;)」
(訳:燃やしとけ!?)
燃やせ発言に驚くプー。
タマコは燃やされる前にひょいと手紙を取り上げると、その内容に目を引くつかせた。
「あー……まぁ気持ちがわからんでもないが……」
「……そういや、ムサシも言ってたな――」
何となくムカついたタローは、そこでムサシとの会話を思い出した。
そう、あれは確か一緒に釣りに行った帰り――
『勇者は――何故かハーレムを作ってモテまくる運命なんだ。ホントに腹立たしいよ』
――勇者の周りには女性が集う。
仲間に女性しか連れていない強そうな奴は転生者という、Sランク冒険者や魔王には常識の見分け方であった。
「ま、アイツも前に進んだってこと……なのかな?」
ユウシの罪は重い。
けれど、きっと仲間の女性たちが支えてくれることだろう。
こうして、勇者騒動と呼ばれた事件は幕を閉じるのだった。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
竜焔の騎士
時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証……
これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語―――
田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。
会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ?
マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。
「フールに、選ばれたのでしょう?」
突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!?
この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー!
天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる