160 / 198
最終章・転生勇者編
第147話 カイジ
しおりを挟む
ユウシたちの移動手段は、主にマホの転移魔法である。
一度行ったことのある場所に転移することができ、これまでもSランク冒険者の元へ移動する際は、近くへ転移してから徒歩で向かっていた。
さらに、目的の人物を探し出す際は、マーティの服従魔法で近くにいた動物をテイムすることで、発見に要する時間はかなり縮小されている。
他の仲間も優秀で、キララの回復魔法はヒーラーの中でも5本の指に入るほどであり、セイバーの戦闘力はAランク冒険者を含めても群を抜いて高い。
まさに、勇者の名に恥じぬ、最高のパーティーと言えるだろう。
***
「――……さて、転移完了でございます」
ユウシたちはレストランを出た後、アリスのいる場所の近くまでやってきた。
しかし近いと言っても、それはマホが転移できる距離の話。
アリスのいる場所にピンポイントで転移することは不可能であった。
というわけで、ここからはバトンタッチだ。
「よっしゃ、こっからはあたしの出番だな!」
マーティが一つ気合を気合を入れる。
辺りを見回すと、ちょうどいい所に小鳥が一羽やってきた。
ニヤリと口の端を上げると、マーティは小鳥に対し服従魔法を発動させた。
「小鳥さん! 金髪の少女を探しておくれ!」
一つ命令をすると、小鳥はそれに従いアリスを上空から探し始めた。
その後、数羽テイムを増やしつつ、約10分後にアリスを発見。
小鳥たちによると、どうやらアリスのいる場所は、花が一面に咲き誇る場所らしい。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「あれが、アリス・ワンダーランド……なのか?」
ユウシたち一行が見たのは、それはそれは奇妙な光景だった。
一面に美しく咲く桃色の花たちに囲まれる一人の少女。
蝶や小鳥が多くやって来るところを見ると、おそらく凶暴なモンスターが来ないのだと予想できる。
……というか来るわけがない。
(あんな不気味な子供がいたら、そりゃモンスターも寄り付かないだろうよ……)
ユウシたちの見つめる先では、アリスと思われる少女が、謎に笑っていた。
うふふ。ではない。
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
である。
とくに面白いことが起きているわけではない。
小鳥や蝶と戯れているとかそういうわけでもない(というより小鳥も震えながら見ていた)。
なのに、あれだけ笑っているのだ。
フランス人形のような美貌も相まって、まるで"呪いの人形"のような恐怖を覚える。
「な、なぁマーティ? 本当にアイツがSランク冒険者なのか?」
「あたしも疑問だけどよ。ただ特徴には合致してるし、間違いねーと思うけど……」
セイバーが尋ねたが、マーティは自信なさげのようすだ。
いや、誰だってあんな光景を見たら確信は持てないだろう。
「キララさん。魔眼でステータスを確認してみてくれませんか?」
「そうですね。見てみます」
今度はマホがキララに促し、ステータスの数値を見てみることにした。
キララの瞳が一瞬だけ輝くと、その数値が浮かんでくる。
スキル:食欲旺盛
ステータス:
攻撃力:6666
防御力:66666
速度:6666
魔力:0
知力:666
「あ、悪魔的だ~!」キララが感想を漏らした。
どこのギャンブラーだよ! とツッコミたいのを抑えつつ、ユウシたちは彼女が強者だということを確信した。
(よし、人違いでなければ話は早い)
ユウシは速足でアリスへ近づいていく。
「お、おいユウシ!」
セイバーが気付き呼び止めるも、その歩みは止まらない。
「おい」
少し乱暴に声をかけた。
するとアリスは、一瞬だけ肩をビクッとさせ、勢いよく振り向いた。
なぜか満面の笑みを浮かべているが、ユウシには関係ない。
「おれの名はユウシ!
アリス・ワンダーランド、勝負してもらおう!」
わー、仲間たちもビックリの野蛮な声の掛け方だー。
「だれだよ帰れ、ぶちころすぞ」
アリスは一切の笑顔を消滅させると、さらに危ねぇ言葉で返した。
((((女の子が使う言葉じゃ無くね?))))
後ろの4人は同じことを考えている頃、言われた本人は――
「…………いきなりそんなこと言うなよ」
ちょっと涙目になりながら、苦言を呈していた。
一度行ったことのある場所に転移することができ、これまでもSランク冒険者の元へ移動する際は、近くへ転移してから徒歩で向かっていた。
さらに、目的の人物を探し出す際は、マーティの服従魔法で近くにいた動物をテイムすることで、発見に要する時間はかなり縮小されている。
他の仲間も優秀で、キララの回復魔法はヒーラーの中でも5本の指に入るほどであり、セイバーの戦闘力はAランク冒険者を含めても群を抜いて高い。
まさに、勇者の名に恥じぬ、最高のパーティーと言えるだろう。
***
「――……さて、転移完了でございます」
ユウシたちはレストランを出た後、アリスのいる場所の近くまでやってきた。
しかし近いと言っても、それはマホが転移できる距離の話。
アリスのいる場所にピンポイントで転移することは不可能であった。
というわけで、ここからはバトンタッチだ。
「よっしゃ、こっからはあたしの出番だな!」
マーティが一つ気合を気合を入れる。
辺りを見回すと、ちょうどいい所に小鳥が一羽やってきた。
ニヤリと口の端を上げると、マーティは小鳥に対し服従魔法を発動させた。
「小鳥さん! 金髪の少女を探しておくれ!」
一つ命令をすると、小鳥はそれに従いアリスを上空から探し始めた。
その後、数羽テイムを増やしつつ、約10分後にアリスを発見。
小鳥たちによると、どうやらアリスのいる場所は、花が一面に咲き誇る場所らしい。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
「あれが、アリス・ワンダーランド……なのか?」
ユウシたち一行が見たのは、それはそれは奇妙な光景だった。
一面に美しく咲く桃色の花たちに囲まれる一人の少女。
蝶や小鳥が多くやって来るところを見ると、おそらく凶暴なモンスターが来ないのだと予想できる。
……というか来るわけがない。
(あんな不気味な子供がいたら、そりゃモンスターも寄り付かないだろうよ……)
ユウシたちの見つめる先では、アリスと思われる少女が、謎に笑っていた。
うふふ。ではない。
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
である。
とくに面白いことが起きているわけではない。
小鳥や蝶と戯れているとかそういうわけでもない(というより小鳥も震えながら見ていた)。
なのに、あれだけ笑っているのだ。
フランス人形のような美貌も相まって、まるで"呪いの人形"のような恐怖を覚える。
「な、なぁマーティ? 本当にアイツがSランク冒険者なのか?」
「あたしも疑問だけどよ。ただ特徴には合致してるし、間違いねーと思うけど……」
セイバーが尋ねたが、マーティは自信なさげのようすだ。
いや、誰だってあんな光景を見たら確信は持てないだろう。
「キララさん。魔眼でステータスを確認してみてくれませんか?」
「そうですね。見てみます」
今度はマホがキララに促し、ステータスの数値を見てみることにした。
キララの瞳が一瞬だけ輝くと、その数値が浮かんでくる。
スキル:食欲旺盛
ステータス:
攻撃力:6666
防御力:66666
速度:6666
魔力:0
知力:666
「あ、悪魔的だ~!」キララが感想を漏らした。
どこのギャンブラーだよ! とツッコミたいのを抑えつつ、ユウシたちは彼女が強者だということを確信した。
(よし、人違いでなければ話は早い)
ユウシは速足でアリスへ近づいていく。
「お、おいユウシ!」
セイバーが気付き呼び止めるも、その歩みは止まらない。
「おい」
少し乱暴に声をかけた。
するとアリスは、一瞬だけ肩をビクッとさせ、勢いよく振り向いた。
なぜか満面の笑みを浮かべているが、ユウシには関係ない。
「おれの名はユウシ!
アリス・ワンダーランド、勝負してもらおう!」
わー、仲間たちもビックリの野蛮な声の掛け方だー。
「だれだよ帰れ、ぶちころすぞ」
アリスは一切の笑顔を消滅させると、さらに危ねぇ言葉で返した。
((((女の子が使う言葉じゃ無くね?))))
後ろの4人は同じことを考えている頃、言われた本人は――
「…………いきなりそんなこと言うなよ」
ちょっと涙目になりながら、苦言を呈していた。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~
TOYA
ファンタジー
~完結済み~
「この世界のルールはとても残酷だ。10歳の洗礼の試練は避ける事が出来ないんだ」
この世界で大人になるには、10歳で必ず発生する洗礼の試練で生き残らなければならない。
その試練はこの世界の最下層、魔物の巣窟にたった一人で放り出される残酷な内容だった。
生存率は1%未満。大勢の子供たちは成す術も無く魔物に食い殺されて行く中、
生き延び、帰還する為の魔法を覚えなければならない。
だが……魔法には帰還する為の魔法の更に先が存在した。
それに気がついた主人公、ロフルはその先の魔法を習得すべく
帰還せず魔物の巣窟に残り、奮闘する。
いずれ同じこの地獄へと落ちてくる、妹弟を救うために。
※あらすじは第一章の内容です。
―――
本作品は小説家になろう様 カクヨム様でも連載しております。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる