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最終章・転生勇者編

第138.5話 友

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 スタ、スタ、スタ、……

「…………」

 スタ、スタ、スタ、……
 ――ザッ、ザッ、ザッ、……

「…………」
「…………」

 スタ、スタ、スタ、……
 ザッ、ザッ、ザッ、……

「…………」
「ヒッヒッヒ……自慢の拳が情けないじゃないか」
「うるせぇよクロス。大体テメェ、ずっと見てただろうが!」
「ヒッヒッヒ……気付いてたか」
「あたりめぇだ。あんな気持ちわりぃ視線はお前しかいない」
「ヒッヒッヒ……お前の無様に敗北する姿を見てやろうと思っていたのだ」

「嘘つけよ。
 ――オレが死にかけたら、助けようと思ってたんだろ?」

「そんなわけないだろ。馬鹿か貴様は」

「……魔剣、しまい忘れてるぞ?」
「――ムッ!?」
「マヌケだな」
「チッ、痛恨であった」

「ハッハッハ!」
「…………」

「…………」
「…………」

「…………ありがとな」
「…………」
「…………」

「……痛むか?」
「ああ。超痛てぇ」

「強かったか?」
「ああ。強かった」

「そうか」
「ああ」

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」

「……次は勝つのだぞ?」
「……ったりめぇだ」


 渓谷を歩く二つの影が、ゆっくりと遠くなっていった。
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