上 下
35 / 198
幕間(1)

第33話 魔剣のプーさん

しおりを挟む
「――~~♪」

 鼻歌を歌いながら髪の手入れをするタマコ。
 時刻は午前8時。タマコにしては遅めの起床。
 どうせタローは昼まで起きてこないので、この朝の時間は一人でリラックスできる好きな時間であった。

 トントントン……

 ジュ~~……

 前回サラッと伝えたがタローたちはマイホームを買った。
 タローは家を買うのにこだわりが無かったので、タマコはキッチンが広い家にしてもらった。
 タローと出会う前は滅多に人と会うこともなく、ほぼ300年間暇であった。
 そんなときに始めたのが料理である。
 300年趣味にしているおかげか、その腕前はもはやプロレベル。
 料理を一人分だけ皿に盛りつけ、豆から挽いたコーヒーをカップに注ぐ。
 なんという充実な朝であろう。
 それもこれもタロー貯金のおかげである。
 ドラムスの弱みでも握っていいようにこき使おうと思い調査していたら、まさかタローの大金が入った口座を持っているとはさすがに思っていなかった。
 まぁドラムスの考えにも一理あると言うことで、タマコが預かるということで手を打った。
 タローが働かなるのは仕方ないにせよ、せっかくのお金である。
 3週間くらいなら休んでもいいだろうというのがタマコの考えであった。

「……フゥ~、今日もいい朝じゃ」

 などと一人幸せなため息をついていたときだ。
 突然リビングの扉が勢いよく開け放たれる。
 バタンッ! という大きな音に少し驚くタマコ。
 目を向ければそこには、タローが汗だくで息を切らして立っていた。

「タマコ……大変だ」

「お、おぉ……どうした?」

 こんな朝に起きてくるのも珍しいのに、さらに焦っているタローを見れば、さすがに天下の魔王も息をのんだ。
 一体何があったのか皆目見当もつかない。

「ま、枕が……」

「枕がどうしたんじゃ?」

「突然――爆発したんだ!」

「……ん?」

 見当つくはずがなかった。
 誰が枕が爆発したなどというパワーワードを考え着くのだろうか?
 しかも何一つ具体的な想像が浮かんでこない。

「しかも……」

「しかも?」

「クマになったんだ」

「……さっきから何一つわからんのだが」

 頭に?しか出てこない。

 枕が爆発したらクマになった

 どういう御伽噺なんだろうかとも思えるような荒唐無稽。
 だがちょっと頭のいいチンパンジーと同等の知能を持つタロー。
 これ以上の情報は望めなさそうである。
 となると必然的に――

「よし、見に行こう」

 己の目で確かめるのが一番である。



 ***



「(^・ω・^)」



「……………………」

「な? クマだろ?」

「いやクマっていうか……」

 確かに目の前にはクマがいるのだが、大分想像していたのと違う。
 クマというよりは――

「これ、テディベアじゃね?」

 メチャクチャかわいいクマだった。



 ***



 リビングに戻った二人はテーブルでお茶を飲むことにした。
 タマコの正面にタローが座っている。
 そしてその横に件のクマ(テディベア)が器用に椅子に座っていた。

「…………」

「…………」

「(^・ω・^)」

「…………」

「…………」

「(^・ω・^)」

「…………」

「…………」

「(^・ω・^)」

「ごめん耐えられないわ」

 この何とも言えない空気に耐え兼ねたのはタマコである。
 今まで文字ばかりだったのに、いきなり絵文字をブチ込まれたら耐えられなかったようだ。

「主殿、何があったのかちゃんと説明してくれないか? あれだけでの情報では考えることもできん」

 まずは原因の究明をしなければと考えるタマコ。
 なぜ枕が爆発したのかは、タローの前後の行動を遡れば原因の一端くらいはわかるかもしれない。
 そう思い訊いた質問であった。
 目を瞑り腕を組んで頑張って思い出すタロー。

「う~ん……」
「(^-ω-^)」

 何故か隣のクマまで考えだす。
 え、思考回路共有してる? と疑問に思うが今は無視する。
 そうしているとタローが「あ」と何かを思い出したようだった。

「そーいえば……昨日――」


 ・・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・


 その日の夜はやけに寝苦しかった。
 何度も寝返りを打つが、一向にいいポジションが見つからない。
 何故だ?
 こんなことは無かったのに!
 そう思った俺はある一つの答えにたどり着いた。

(そうだ。枕の高さが合わないんだ!)

 なぜ急に枕が合わなくなったのかはわからない。
 寝すぎて枕の弾力性が弱くなったのだろうか?
 いや、そんなことはどうでもいい。
 このままでは俺の安眠時間が減ってしまう。
 まぁ減ったら減った分だけ長く寝ればいいんだけどね!

 そんな時だった。俺の前にアレが目に入った。
 それは壁に立てかけていた一振りの魔剣である。

『これ枕にしよっと!』

 俺は魔剣を枕に変える。
 思った以上にフカフカで気に入った。
 最初こそ扱いに慣れなかった魔剣。
 今ではちゃんと力をセーブできるようになり頼れる相棒である。
 あー、なんかフツーに眠くなってきた……。
 この枕サイコーZzz……。


 ・・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・



「――みたいなことはあったな」
「(^-ω-^)」

 語るタローと頷くクマ。
 まだわからないことは多いが、とりあえず分かったのは――

「そのクマ……魔剣なのか?」

「そーゆーことになるね」
「(^・ω・^)」

「ホンッッッッッッッッットに、魔剣のクソ無駄遣いじゃな」

 魔王の証である7本の魔剣。
 その内の一振りである怠惰の魔剣ベルフェゴールがよもや枕代わりに使われるとは夢にも思っていなかっただろう。

「つーか何で魔剣がクマになったん?」

「そこだけがよくわからんのぉ」

 原因がわからないタローたちだが、突然魔剣クマ身振り手振りをしだす。

「(^>ω<^;)""」

「なんか言ってんじゃね?」

「表情だけじゃわかりづらいのぉ」

 見た目はテディベアだが何故か表情は変わるようである。
 しかし、それだけではわからないのが現実だ。
 頭を悩ませていると、タローが閃く。

「じゃあこうしよう」

「(^>ω<^;)""」
(訳:ご迷惑おかけしまして申し訳ないです)

「いやどうやったの!?」

 突然セリフの下に翻訳された文章が表示された。
 これはナレーションが夏休みを挟んでレベルアップした成果である。
 細かいことは気にしなくてもいいので、さっさと本題に入ろう。

「で、なんでクマ、というかテディベアになったんじゃ?」タマコが尋ねる。

「(;^-ω-^)」
(訳:それがですね。最近、お食事の量が減っていまして……それで食欲が爆発してしまったのです)

「食事の量って……」

「なまじ主殿が力をコントロールできるようになってせいで満足に食事ができなかったと?」

「(^・ω・^)」
(訳:その通りなのです。今までの魔王もそういうことがあったのですが、戦闘時は嫌でも食べられるので困っていなかったのです)

「あー、そういや最近バイトしてねーな」

「少々堕落しすぎたかのぉ……」

「(´・ω・`)」
(訳:それに加えてタロー様の怠惰は今までで一番美味でございまして……もうこれしか味を受け付けなくなってしまったのです!)

「さすが主殿じゃ。怠惰の中の怠惰。キング・オブ・クズじゃな」

「それ褒めてる?」

「褒めてるぞ」

「(^>ω<^)!」
(タロー様は食べても食べてもどんどん内側から怠惰が沸いてくるので、お食事に困らなくて安心なのです!)

「魔剣が喰いきれない程の怠惰か。大したもんじゃな」

「いや~それほどでも」

「褒めてねぇよ」

 どうやら魔剣はタローが魔剣の制御をできるようになったことで満足に食事をとれなかったようで。
 どうしてもタローの感情を食べたいという思いが魔剣をクマの姿へと具現化させたようだった。
 魔剣はその場でタローに土下座をした。

「m(^_ _^;)m」
(訳:どうか定期的にお食事をいただけないでしょうか?)

 感情を食べさせるのは命がけではあるが、魔剣の話によればタローは喰らいつくせぬほどの怠惰であふれているらしい。
 自身の武器でもある魔剣の頼みである。それほどリスクが無いのであれば断る理由もなかった。

「別に好きなだけ喰いなよ。その代わりバイトの時はよろしくな」

「(^>ω<^)!」
(訳:ありがとうございます!)

 言葉を発しない分表情が豊かなので、喜んでいるのが伝わる。
 見た目は可愛いクマなので、タローも何だか愛着がわいてきた。

「よし、じゃあお前の呼び名でも考えるか!」

「呼び名?」タマコが訊き返す。

「(^・ω・^)?」
(訳:呼び名ですか?)

「タマコの名前も長いから略したじゃん? こいつも怠惰の魔剣ベルフェゴールじゃ呼びづらいからな」

「どうせ碌な名前じゃないじゃろうて……」

 自身の愛称がタマコになったのを思い出す。
 タローのある意味芸術的なネーミングセンスをタマコは信用してはいなかった。

「大丈夫だよ。実はピンときた名前があるんだ」

「……その名前は?」

「(;`・ω・)」
(訳:ドキドキ……)

 魔剣も緊張しているようである。
 タローはフッと笑った。

「お前の名前は――」

「名前は……」
「(;`・ω・)」
(訳:名前は……)




「『プー』だ!」

無職プーはテメェじゃバカヤロー」

 こうして、タローの家にあらためて加わった魔剣プー
 自分の名前が決まったとき、

「(;◎ω◎)""」
(訳:プー!?)

 と、やっぱり少しガッカリしたらしい。
 だが、1週間経つと自分の呼び名は気に入ってくれたそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

オタク教師だったのが原因で学校を追放されましたが異世界ダンジョンで三十六計を使って成り上がります

兵藤晴佳
ファンタジー
 30代の国語教師・仮屋真琴は中国兵法に詳しいTRPGオタクである。  産休臨時任用で講師を勤める高校の授業で、仮屋はそれを隠すどころか、思いっきり晒していた。  報いはてきめんに表れ、「兵法三十六計」を使った授業を生徒に嫌われた彼は契約更新を断られてしまう。  むくれる彼は田舎へ帰る次の朝、寝ぼけ眼で引っ越し屋を迎えに出た道で、行き交うダンプカーの前に歩み出てしまう。  遠のく意識のなか、仮屋の目の前に現れたのはTRPGのステータスとパラメータだった。    気が付くと、掟破りの四畳半ダンジョンの中、ゴブリンに囚われた姫君が助けを求めてくる。  姫君の名は、リントス王国の王女ディリア。  亡き先王から王位継承者として指名されたが、その条件となる伴侶のあてがないために、宰相リカルドの妨害によって城内での支持者を得られないでいた。  国内を荒らすモンスターの巣食うダンジョンを自ら制圧することで女王の器を証明しようとしていたディリアは、王家に伝わる呪文で仮屋を召喚したのだった。  その健気さに打たれた仮屋は、異世界召喚者カリヤとして、ダンジョン制圧を引き受ける。  仮屋は剣を振るう力のないオタクなりに、深いダンジョンと無数のモンスター、そして王国の内乱へと、ディープな雑学で挑んでゆく。  授業でウケなかった「兵法三十六計」は、ダンジョンのモンスターを倒すときだけでなく、ディリアの政敵への牽制にも効果を発揮するのだった。  やがて、カリヤのもとには2回攻撃の騎士団長、宮廷を追放された魔法使いと僧侶、暗殺者、街の悪党に盗賊、そしてエルフ娘にドワーフ、フェアリーにレプラホーンと、多くの仲間が集う。  いつしかディリアの信頼はカリヤへの恋に変わるが、仮屋誠は自分の齢と職業倫理で自分にブレーキをかける。  だが、その一方でエルフ娘は自分の巨乳を意識しているのかいないのか、何かというとカリヤに迫ってくる。  さらに宰相リカルドに仕える万能の側近カストは忌々しくなるほどの美少年なのに、不思議な色香で夢の中にまで現れるのだった。  剣と魔法の世界に少年の身体で転移した中年教師。  兵法三十六計でダンジョンを制圧し、王国を救えるのだろうか?    王女の恋に巨乳エルフの誘惑、美少年への劣情というハーレム展開に始末がつけられるのだろうか? (『小説家になろう』様、『カクヨム』様との重複掲載です)

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

処理中です...