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双璧
二
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「そんな馬鹿な話はあるか。あいつにはー。お前のー」
思考が上滑りを繰り返し。魏冄が眉宇を上げた。
「何か知っているのか!?」
魏冄は立ち上がり、白起に詰め寄る。
「まさかー。何も聞かされていないのか」
「どういう意味だ?」
魏冄は瞳孔を開いて、白起の肩を強く揺さぶった。
(柚蘭。そういうことか)
別れ際の柚蘭の言葉が脳裏に鮮明に蘇る。
「母とは子の幸せの為ならば、己の全てを捨てる覚悟があるのですよ」
点と点が繋がる。
(お前は本当に、子の幸せの為に全てを捨てたという訳か)
魏冄は宰相として、官の極にある。しかし、敵は星の数ほどいる。魏冄に子はない。つまり、柚蘭の子が男児であれば、子は嗣子となる。魏冄が失脚すれば、妻子は同様に罪を被ることになる。流罪はまだ良い方で、多くの場合が連座制により、処断される。最悪の想定であるが、必ずしも無いとは断言できない。魏冄は暗愚の君のもと、日夜、権謀術数渦巻く宮廷で戦っているのだから。
思考が上滑りを繰り返し。魏冄が眉宇を上げた。
「何か知っているのか!?」
魏冄は立ち上がり、白起に詰め寄る。
「まさかー。何も聞かされていないのか」
「どういう意味だ?」
魏冄は瞳孔を開いて、白起の肩を強く揺さぶった。
(柚蘭。そういうことか)
別れ際の柚蘭の言葉が脳裏に鮮明に蘇る。
「母とは子の幸せの為ならば、己の全てを捨てる覚悟があるのですよ」
点と点が繋がる。
(お前は本当に、子の幸せの為に全てを捨てたという訳か)
魏冄は宰相として、官の極にある。しかし、敵は星の数ほどいる。魏冄に子はない。つまり、柚蘭の子が男児であれば、子は嗣子となる。魏冄が失脚すれば、妻子は同様に罪を被ることになる。流罪はまだ良い方で、多くの場合が連座制により、処断される。最悪の想定であるが、必ずしも無いとは断言できない。魏冄は暗愚の君のもと、日夜、権謀術数渦巻く宮廷で戦っているのだから。
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