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猫王妃と離婚危機
突撃してきた妹 2
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三日後――
城のサロンには、ちょっと微妙な空気が流れていた。
「遠路はるばるようこそ。義兄上、義姉上、イザリア」
フィリエルの兄ステファヌとその妻ルシール、妹イザリアが到着したので、歓迎のためにリオンがサロンで応対しているのだが、三人の視線はじっとリオンが抱っこしている猫――フィリエルに注がれている。
何故猫が……と言いたそうな視線に、フィリエルはだらだらと内心で冷や汗をかいた。
先月誕生日を迎えて二十三歳となったフィリエルより五つ年上の兄ステファヌは、肩にかかるくらいの銀色の髪に青い瞳をしている。普段は冷静沈着な兄だが、猫を抱いて現れたリオンには戸惑いを隠せない様子だった。
ルシールは兄より二つ年下で、リオンと同じ年のおっとりした女性だ。ストロベリーブロンドに大きな茶色い瞳の可愛らしい顔立ちの義姉だが、こちらも目をぱちくりとさせていた。
兄夫妻が突っ込むべきか突っ込まざるべきか悩んでいる横で、フィリエルより三つ年下の妹イザリアが、フィリエルとよく似た紫色の瞳を丸く見開いて、微妙な空気をぶった切った。
「リオン陛下、その猫は何ですの?」
見て見ぬふりをしようとしてたのに空気読めーっ、とステファヌとルシールが揃ってイザリアを見る。
が、空気が読めない妹は、生来の天真爛漫――言い換えれば天然我儘な性格を発揮して、なおも突っ込んできた。
「可愛らしいとは思いますけど、邪魔なので出て行って――むぐっ」
ステファヌが慌ててイザリアの口を手のひらで塞いだ。
「むぐぐぅ」
イザリアがくぐもった声で文句を言っているが、ステファヌは無視である。
「妹が失礼をしました。とても可愛らしい猫ですね、リオン陛下」
「ええ、とても美人な猫ちゃんですわね。お名前は?」
ルシールもこくこくと頷いて、必死になって取り繕いはじめる。
なんだかいたたまれなくなってきて、フィリエルは「なー」と小さく鳴いて、前足でぽんっとリオンの腕を叩いた。
(なんか、うちの家族がすみません……)
その猫があなたたちの妹ですよ、とは口が裂けても言えないが、知ったらひっくり返るだろうなとフィリエルは嘆息する。
リオンはあえて空気を読まないことにしたようだ。
口端に笑みを貼り付けて「リリと言います」と答える。
少しずつ臣下とか使用人相手でも心を開こうと努力をしているリオンだが、滅多に会わないフィリエルの家族に対しては無理のようだ。
一生懸命表情を取り繕おうとしているのがわかって、心に負担がかかっているのだろうなと心配になってくる。
「リリちゃんですか。可愛らしいお名前ですね。こんにちは、リリちゃん」
「にゃあー」
とりあえずは従順な猫を演じておくかと、フィリエルは素直に返事をして見せた。
すると、動物好きのルシールが目を輝かせる。
「まあ、なんて可愛らしい」
(いやいやそんな)
「こっちにいらっしゃい」
(どうしようかなー)
ちら、とリオンを見上げると、苦笑して頷いてくれた。
リオンの膝から降りてルシールの足元に向かうと、ひょいッと抱き上げられる。
ステファヌが隣からフィリエルの顔を覗き込んだ。
「なんかフィリエルみたいな猫だな。目が紫だ」
「にゃ⁉」
鋭い。
ぎくり、と肩を強張らせると、またしても空気読めない女子代表のイザリアが口を開いた。
「わたくしだって、瞳は紫よ!」
「そうだがお前は金髪だろう。この猫は白……銀? ともかく、なんか似ている。ほら、見てみろ」
この兄、ちょっと怖い。普通猫を見て妹を連想しないだろう。鋭すぎてゾッとする。
「別に猫の顔なんてどうだっていいわよ。それより、リオン陛下、お姉様はどちらでしょうか? わたくし、お姉様が病に臥せっていると聞いて心配で……、妃の務めが果たせていないのではとお母様も言っておりましたし……」
(うっさいわ!)
ムカッとして、フィリエルはイザリアに猫パンチをお見舞いした。相手が妹なので、爪を立てるのは勘弁してやる。
「い、いたっ! 何なのこの猫‼」
「こ、こらイザリア! ルシール、陛下に猫ちゃんをお返ししなさい」
「え、ええ」
きっ、とイザリアがフィリエルを睨んで、ステファヌは危機感を覚えたらしい。
ルシールに床に下ろしてもらったフィリエルは、てってってっとリオンの膝の上に戻る。
(まったくもう、イザリアってばもう二十歳なんだから、少しは発言に気をつけなさいよね! そんなんだからまとまりかけてた縁談もだめになるんじゃないの!)
イザリアは少し前にロマリエ国内の侯爵家に嫁ぐ予定があったのだが、いろいろあって破談になったと父の手紙に書いてあった。
そういえば、父がイザリアをリオンの側妃にと言い出しはじめたのは、縁談が破談になったあとからだ。
(きっと、国内でいい縁談がなかったんでしょうね)
国外に出すにも正妃は無理だろうが側妃ならなんとかなると踏んだのかもしれない。ついでに、イザリアの性格上正妃とうまくやって行けるかわからないが、姉なら大丈夫だろうと、体よくフィリエルをお目付け役にしようとした可能性がある。
(お父様め!)
イザリアを側妃にしてフィリエルに一時帰国を促したのも、イザリアの性格上、自分を一番に扱ってもらわないと機嫌を損ねる可能性があるため、しばらくリオンと二人きりにしておいた方がいいと判断したのだろう。
父の思惑がわかってくると腹が立って来た。
むすっと目を閉じると、リオンが優しく背中を撫でてくれる。
こほん、とステファヌが咳ばらいをした。
「そ、それでリオン陛下。妹はまだ……」
「ええ。一度は回復したのですが、また体調が悪くなったため臥せっています」
ということにしようと相談して決めておいたので、現在、王妃の部屋にはフィリエル人形が寝ている。
本人はここでぴんぴんしているが、言えるはずがないので以下略。
「妹の顔を見ることはできますか?」
一応、兄はフィリエルを心配しているらしい。
(いや、体調の具合を確認して、お父様の命令通りわたしを回収してイザリアを側妃として勧めるつもりね。そんな気がするわ)
兄との兄妹仲は悪くはなかったが、世継ぎとして育てられた兄は、国の都合を第一優先にする男だ。この兄はリオンの娘を自分の息子の嫁に狙っているので、フィリエルでもイザリアでもどっちでもいいからさっさと子を生めと思っているに違いない。
(お兄様にも後で猫パンチをお見舞いしよ)
リオンはわざとらしく考えるそぶりをした。
そして、こちらも打ち合わせしていた通りに答える。
「侍医の許可が出た日にはなりますが、よろしいですか?」
ステファヌが頷いたので、フィリエルの話はいったん打ち切って、明日の歓迎パーティーの話に移った。
聞いたところで猫のフィリエルが参加するわけではないので寝たふりでもしておこうと思っていると、ステファヌが爆弾発言を落として飛び起きる。
「フィリエルが臥せっているのであれば、どうでしょう。リオン陛下、パートナーとまではいきませんが、イザリアと一曲……できれば数曲、踊っていただけないでしょうか?」
「にゃ――ッ」
(絶対だめ――ッ)
たまらず、フィリエルは絶叫した。
城のサロンには、ちょっと微妙な空気が流れていた。
「遠路はるばるようこそ。義兄上、義姉上、イザリア」
フィリエルの兄ステファヌとその妻ルシール、妹イザリアが到着したので、歓迎のためにリオンがサロンで応対しているのだが、三人の視線はじっとリオンが抱っこしている猫――フィリエルに注がれている。
何故猫が……と言いたそうな視線に、フィリエルはだらだらと内心で冷や汗をかいた。
先月誕生日を迎えて二十三歳となったフィリエルより五つ年上の兄ステファヌは、肩にかかるくらいの銀色の髪に青い瞳をしている。普段は冷静沈着な兄だが、猫を抱いて現れたリオンには戸惑いを隠せない様子だった。
ルシールは兄より二つ年下で、リオンと同じ年のおっとりした女性だ。ストロベリーブロンドに大きな茶色い瞳の可愛らしい顔立ちの義姉だが、こちらも目をぱちくりとさせていた。
兄夫妻が突っ込むべきか突っ込まざるべきか悩んでいる横で、フィリエルより三つ年下の妹イザリアが、フィリエルとよく似た紫色の瞳を丸く見開いて、微妙な空気をぶった切った。
「リオン陛下、その猫は何ですの?」
見て見ぬふりをしようとしてたのに空気読めーっ、とステファヌとルシールが揃ってイザリアを見る。
が、空気が読めない妹は、生来の天真爛漫――言い換えれば天然我儘な性格を発揮して、なおも突っ込んできた。
「可愛らしいとは思いますけど、邪魔なので出て行って――むぐっ」
ステファヌが慌ててイザリアの口を手のひらで塞いだ。
「むぐぐぅ」
イザリアがくぐもった声で文句を言っているが、ステファヌは無視である。
「妹が失礼をしました。とても可愛らしい猫ですね、リオン陛下」
「ええ、とても美人な猫ちゃんですわね。お名前は?」
ルシールもこくこくと頷いて、必死になって取り繕いはじめる。
なんだかいたたまれなくなってきて、フィリエルは「なー」と小さく鳴いて、前足でぽんっとリオンの腕を叩いた。
(なんか、うちの家族がすみません……)
その猫があなたたちの妹ですよ、とは口が裂けても言えないが、知ったらひっくり返るだろうなとフィリエルは嘆息する。
リオンはあえて空気を読まないことにしたようだ。
口端に笑みを貼り付けて「リリと言います」と答える。
少しずつ臣下とか使用人相手でも心を開こうと努力をしているリオンだが、滅多に会わないフィリエルの家族に対しては無理のようだ。
一生懸命表情を取り繕おうとしているのがわかって、心に負担がかかっているのだろうなと心配になってくる。
「リリちゃんですか。可愛らしいお名前ですね。こんにちは、リリちゃん」
「にゃあー」
とりあえずは従順な猫を演じておくかと、フィリエルは素直に返事をして見せた。
すると、動物好きのルシールが目を輝かせる。
「まあ、なんて可愛らしい」
(いやいやそんな)
「こっちにいらっしゃい」
(どうしようかなー)
ちら、とリオンを見上げると、苦笑して頷いてくれた。
リオンの膝から降りてルシールの足元に向かうと、ひょいッと抱き上げられる。
ステファヌが隣からフィリエルの顔を覗き込んだ。
「なんかフィリエルみたいな猫だな。目が紫だ」
「にゃ⁉」
鋭い。
ぎくり、と肩を強張らせると、またしても空気読めない女子代表のイザリアが口を開いた。
「わたくしだって、瞳は紫よ!」
「そうだがお前は金髪だろう。この猫は白……銀? ともかく、なんか似ている。ほら、見てみろ」
この兄、ちょっと怖い。普通猫を見て妹を連想しないだろう。鋭すぎてゾッとする。
「別に猫の顔なんてどうだっていいわよ。それより、リオン陛下、お姉様はどちらでしょうか? わたくし、お姉様が病に臥せっていると聞いて心配で……、妃の務めが果たせていないのではとお母様も言っておりましたし……」
(うっさいわ!)
ムカッとして、フィリエルはイザリアに猫パンチをお見舞いした。相手が妹なので、爪を立てるのは勘弁してやる。
「い、いたっ! 何なのこの猫‼」
「こ、こらイザリア! ルシール、陛下に猫ちゃんをお返ししなさい」
「え、ええ」
きっ、とイザリアがフィリエルを睨んで、ステファヌは危機感を覚えたらしい。
ルシールに床に下ろしてもらったフィリエルは、てってってっとリオンの膝の上に戻る。
(まったくもう、イザリアってばもう二十歳なんだから、少しは発言に気をつけなさいよね! そんなんだからまとまりかけてた縁談もだめになるんじゃないの!)
イザリアは少し前にロマリエ国内の侯爵家に嫁ぐ予定があったのだが、いろいろあって破談になったと父の手紙に書いてあった。
そういえば、父がイザリアをリオンの側妃にと言い出しはじめたのは、縁談が破談になったあとからだ。
(きっと、国内でいい縁談がなかったんでしょうね)
国外に出すにも正妃は無理だろうが側妃ならなんとかなると踏んだのかもしれない。ついでに、イザリアの性格上正妃とうまくやって行けるかわからないが、姉なら大丈夫だろうと、体よくフィリエルをお目付け役にしようとした可能性がある。
(お父様め!)
イザリアを側妃にしてフィリエルに一時帰国を促したのも、イザリアの性格上、自分を一番に扱ってもらわないと機嫌を損ねる可能性があるため、しばらくリオンと二人きりにしておいた方がいいと判断したのだろう。
父の思惑がわかってくると腹が立って来た。
むすっと目を閉じると、リオンが優しく背中を撫でてくれる。
こほん、とステファヌが咳ばらいをした。
「そ、それでリオン陛下。妹はまだ……」
「ええ。一度は回復したのですが、また体調が悪くなったため臥せっています」
ということにしようと相談して決めておいたので、現在、王妃の部屋にはフィリエル人形が寝ている。
本人はここでぴんぴんしているが、言えるはずがないので以下略。
「妹の顔を見ることはできますか?」
一応、兄はフィリエルを心配しているらしい。
(いや、体調の具合を確認して、お父様の命令通りわたしを回収してイザリアを側妃として勧めるつもりね。そんな気がするわ)
兄との兄妹仲は悪くはなかったが、世継ぎとして育てられた兄は、国の都合を第一優先にする男だ。この兄はリオンの娘を自分の息子の嫁に狙っているので、フィリエルでもイザリアでもどっちでもいいからさっさと子を生めと思っているに違いない。
(お兄様にも後で猫パンチをお見舞いしよ)
リオンはわざとらしく考えるそぶりをした。
そして、こちらも打ち合わせしていた通りに答える。
「侍医の許可が出た日にはなりますが、よろしいですか?」
ステファヌが頷いたので、フィリエルの話はいったん打ち切って、明日の歓迎パーティーの話に移った。
聞いたところで猫のフィリエルが参加するわけではないので寝たふりでもしておこうと思っていると、ステファヌが爆弾発言を落として飛び起きる。
「フィリエルが臥せっているのであれば、どうでしょう。リオン陛下、パートナーとまではいきませんが、イザリアと一曲……できれば数曲、踊っていただけないでしょうか?」
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