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金色の蛇は魔女がお好き?
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「ユリウスぅーっ」
メリーエルはアロウンの腕の中で、ぐすんと鼻を鳴らした。
ユリウスはメリーエルと、彼女を腕に抱いている金髪に赤い瞳をした青年を見て、そっと息をつく。
おそらくこの金髪の青年が蛇の一族のものだろうと推測されるが――、想像していたよりも、だいぶ事態が違うらしい。
蛇退治に行ったメリーエルは、あっさり捕まって餌にされると思って急いだのに、洞窟入り口についてみれば、中からは嫁だのなんだのと言う話声。いったいどうなっていると思った矢先に、メリーエルを抱えて男が出てくれば、なんとなく事情も読めるというものだ。
「ユリウス助けてぇ!」
ユリウスに手を伸ばしてぴーぴー泣いているメリーエルに、ユリウスは頭が痛くなってくる。
(まったく、妙なものに気に入られやがって)
ユリウスも蛇の一族とはやり合いたくはない。話し合いの末に洞窟から退散してもらおうと計画していたのに、ナナリーとメリーエルの悪だくみのせいでややこしくなった。
「そなた、龍族か?」
ユリウスを見つめて、アロウンが眉を寄せる。
ユリウスは頷いて、メリーエルを指さした。
「そしてそれの保護者だ。悪いが、嫁なら他を当たってくれ」
「それはできん相談だな。私はこの娘が気に入った」
「……悪いことは言わない。それを嫁にすると苦労するぞ」
「多少手を焼くくらいの方が、楽しくていいだろう」
どうやら譲る気のないらしいアロウンに、ユリウスはこめかみをおさえた。
メリーエルは、早く助けろと言わんばかりに手を伸ばして手足をバタバタしている。もちろん、そんなことではアロウンは少しも揺らがない。
「……その女を嫁になんてしてみろ、毎日魔法薬の実験台に使われるぞ」
生え際に脱毛薬を塗られた過去を持つユリウスにしてみれば、これは脅しのつもりだったが、アロウンに通じるはずもない。
しかり、アロウンの腕の中で、メリーエルはぴたりと動きを止めると、何を思ったのか、服のポケットをごそごそしはじめた。
アロウンは腕の中でメリーエルがどんな行動にをとろうと気にならないらしく、ユリウスに向かってあきれたような視線を向ける。
「魔法薬の実験? 可愛らしいものじゃないか」
「……可愛くないから、言っているんだが」
「悪いが、何を言われようと、この娘は私の花嫁だ。そこをどけ」
「こちらも悪いが、メリーエルはやれない」
ユリウスが嘆息して、これは実力行使に出るしかないかとあきらめかけたその時だった。
「アロウン」
メリーエルに呼びかけられて、アロウンが「なんだ」と下を向いた、その瞬間。
「ふぐっ」
その口の中に、メリーエルが小瓶を瓶ごと突っ込んだ。
メリーエルはアロウンの腕の中で、ぐすんと鼻を鳴らした。
ユリウスはメリーエルと、彼女を腕に抱いている金髪に赤い瞳をした青年を見て、そっと息をつく。
おそらくこの金髪の青年が蛇の一族のものだろうと推測されるが――、想像していたよりも、だいぶ事態が違うらしい。
蛇退治に行ったメリーエルは、あっさり捕まって餌にされると思って急いだのに、洞窟入り口についてみれば、中からは嫁だのなんだのと言う話声。いったいどうなっていると思った矢先に、メリーエルを抱えて男が出てくれば、なんとなく事情も読めるというものだ。
「ユリウス助けてぇ!」
ユリウスに手を伸ばしてぴーぴー泣いているメリーエルに、ユリウスは頭が痛くなってくる。
(まったく、妙なものに気に入られやがって)
ユリウスも蛇の一族とはやり合いたくはない。話し合いの末に洞窟から退散してもらおうと計画していたのに、ナナリーとメリーエルの悪だくみのせいでややこしくなった。
「そなた、龍族か?」
ユリウスを見つめて、アロウンが眉を寄せる。
ユリウスは頷いて、メリーエルを指さした。
「そしてそれの保護者だ。悪いが、嫁なら他を当たってくれ」
「それはできん相談だな。私はこの娘が気に入った」
「……悪いことは言わない。それを嫁にすると苦労するぞ」
「多少手を焼くくらいの方が、楽しくていいだろう」
どうやら譲る気のないらしいアロウンに、ユリウスはこめかみをおさえた。
メリーエルは、早く助けろと言わんばかりに手を伸ばして手足をバタバタしている。もちろん、そんなことではアロウンは少しも揺らがない。
「……その女を嫁になんてしてみろ、毎日魔法薬の実験台に使われるぞ」
生え際に脱毛薬を塗られた過去を持つユリウスにしてみれば、これは脅しのつもりだったが、アロウンに通じるはずもない。
しかり、アロウンの腕の中で、メリーエルはぴたりと動きを止めると、何を思ったのか、服のポケットをごそごそしはじめた。
アロウンは腕の中でメリーエルがどんな行動にをとろうと気にならないらしく、ユリウスに向かってあきれたような視線を向ける。
「魔法薬の実験? 可愛らしいものじゃないか」
「……可愛くないから、言っているんだが」
「悪いが、何を言われようと、この娘は私の花嫁だ。そこをどけ」
「こちらも悪いが、メリーエルはやれない」
ユリウスが嘆息して、これは実力行使に出るしかないかとあきらめかけたその時だった。
「アロウン」
メリーエルに呼びかけられて、アロウンが「なんだ」と下を向いた、その瞬間。
「ふぐっ」
その口の中に、メリーエルが小瓶を瓶ごと突っ込んだ。
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