宝石の加工屋さん


 ひとりの女が、ひとり娘を亡くして咽ぶ王妃に言った。

『この花を差し上げましょう』

 差し出されたのは、花。
 紅い、何処にでもあるような花だった。
 しかし、何処にもない花だった。

 陽光を浴びて綺羅綺羅と輝く花。
 月明かりを浴びて深深と艶めく花。

 それは、花ではなく宝石だった。
 生花と変わらぬ佇まいで、美しさはより一層。
 王妃は問う。
『この花は、一体どうして…』
 女は微笑んだ。美しく、虚ろに。

『そちらはわたくしが造りました。美しい王女への餞に』

24h.ポイント 0pt
0
小説 192,267 位 / 192,267件 BL 25,347 位 / 25,347件

あなたにおすすめの小説

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

セカンドライフは魔皇の花嫁

仁蕾
BL
星呂康泰、十八歳。 ある日の夕方、家に帰れば知らない男がそこに居た。 黒を纏った男。さらりとした黒髪。血のように赤い双眸。雪のように白い肌。 黒髪をかき分けて存在を主張するのは、後方に捻れて伸びるムフロンのような一対の角。 本来なら白いはずの目玉は黒い。 「お帰りなさいませ、皇妃閣下」 男は美しく微笑んだ。 ---------------------------------------- ▽なろうさんでもこっそり公開中▽ https://ncode.syosetu.com/n3184fb/

助けの来ない状況で少年は壊れるまで嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?

「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。 王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り 更新頻度=適当

部屋は少年を弄ぶ為だけに用意される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...