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第10章 異国の大決戦編
26.ワニアの戦い(18)
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連合軍とヘルト軍による長引く籠城戦を打破すべく志太幕府軍総指揮である祐永が動き始めた。
彼はまず、前線部隊に対して一時後退を命じた。
指示を受けた軍勢は、一斉にその場から引き下がって行った。
その様子を見た祐永が意を決した表情で周囲の兵たちに対して声を上げる。
どうやら準備が整ったようである。
祐永
「よし、ここで雷神を使うのじゃ!」
・雷神(らいじん)
九条信常によって発明された人工的に雨雲を発生させる道具。
墨山国の外河家との戦いに向けて開発されて使用されたという。
発生した雨雲はやがて大規模な積乱雲へと急速に発達し、現地において雷を乱発。
外河軍に大打撃を与え、戦況を優勢に導いた。
祐永のその声によって雷神は稼働を開始。
すると雷神からは一斉に白い靄が吹き出し始める。
祐永
「我の思う通りに事が運んでくれることを祈るばかりじゃ…」
祐永はワニアの空を眺めながらそう呟いていた。
吹き出した白い靄は瞬く間に天へと真っ直ぐに伸びて行った。
そうして上空では無数の雨雲を形勢。
さらにその雨雲同士によって次々と結合を始め、大規模な積乱雲へと発達しようとしている。
長継
「な、何じゃあれは…祐永殿は一体、何をなされようと…」
長継が戸惑いの表情を見せながらそう言っていた。
ドヴェルクは祐永が布陣している方角を見ながら喋り始める。
ドヴェルク
「なにやら祐永様の方から雲のようなものが発生していますね…」
祐永の軍勢が何らかの策を実行し始めたのは確かな事ではある。
だが、彼らはそれが一体どのような策なのであるかは理解が出来ていない様子であった。
そして宗重ら率いる連合軍側でもその光景を見た政武が思わず驚きの声を漏らし始める。
政武
「お、おい!本陣で一体、何をやっておるというのじゃ?」
祐永の軍勢からは一斉に白い靄が吹き出し、それが凄まじい勢いで上空へと舞い上がって行ったのである。
このような異様な光景は見たことが無い。
一体、本陣では何が行われているというのだ。
政武は目を見開きながらそう言っていた。
すると宗重が冷静な表情で政武に対して答え始める。
宗重
「あれはな、信常殿が発明された雷神と申す道具じゃ。」
雷神。
その道具の名前を耳にした崇房は、はっとした表情を見せて口を開き始める。
崇房
「雷神…かつて敵であった外河家を攻略する際に使われたというあの道具にございますか?」
崇房のその言葉に宗重は軽く頷いて答え始める。
宗重
「あぁ、その雷神じゃ。お主の御父上からも話はよく聞いてはおろう。」
崇房
「確か、凄まじいまでの雷によって外河軍は総崩れとなり、形勢が逆転したという話は聞いておりまする。」
二度目の墨山での戦いにおいて志太軍はこの雷神を使用した。
雷神からは先程の崇房が目にしたような白い靄が発生し、それはたちまち上空へと舞い上がる事で雨雲となった。
雨雲は大規模な積乱雲へと発達し、激しい雷雨となって辺りへ一気に降り注ぎ始める。
やがて雷は鉄によって造られた墨山城へと何度も何度も容赦無く襲いかかり、外河軍の戦意を大幅に低下させた。
崇房は、自身の父である崇冬からそうした話を耳にしたという事を思い出していたようであった。
宗重
「それにしても祐永様は何故に今ここで雷神をお使いになられたのでござろうか…」
宗重は首を傾げながらそう呟いていた。
彼はまず、前線部隊に対して一時後退を命じた。
指示を受けた軍勢は、一斉にその場から引き下がって行った。
その様子を見た祐永が意を決した表情で周囲の兵たちに対して声を上げる。
どうやら準備が整ったようである。
祐永
「よし、ここで雷神を使うのじゃ!」
・雷神(らいじん)
九条信常によって発明された人工的に雨雲を発生させる道具。
墨山国の外河家との戦いに向けて開発されて使用されたという。
発生した雨雲はやがて大規模な積乱雲へと急速に発達し、現地において雷を乱発。
外河軍に大打撃を与え、戦況を優勢に導いた。
祐永のその声によって雷神は稼働を開始。
すると雷神からは一斉に白い靄が吹き出し始める。
祐永
「我の思う通りに事が運んでくれることを祈るばかりじゃ…」
祐永はワニアの空を眺めながらそう呟いていた。
吹き出した白い靄は瞬く間に天へと真っ直ぐに伸びて行った。
そうして上空では無数の雨雲を形勢。
さらにその雨雲同士によって次々と結合を始め、大規模な積乱雲へと発達しようとしている。
長継
「な、何じゃあれは…祐永殿は一体、何をなされようと…」
長継が戸惑いの表情を見せながらそう言っていた。
ドヴェルクは祐永が布陣している方角を見ながら喋り始める。
ドヴェルク
「なにやら祐永様の方から雲のようなものが発生していますね…」
祐永の軍勢が何らかの策を実行し始めたのは確かな事ではある。
だが、彼らはそれが一体どのような策なのであるかは理解が出来ていない様子であった。
そして宗重ら率いる連合軍側でもその光景を見た政武が思わず驚きの声を漏らし始める。
政武
「お、おい!本陣で一体、何をやっておるというのじゃ?」
祐永の軍勢からは一斉に白い靄が吹き出し、それが凄まじい勢いで上空へと舞い上がって行ったのである。
このような異様な光景は見たことが無い。
一体、本陣では何が行われているというのだ。
政武は目を見開きながらそう言っていた。
すると宗重が冷静な表情で政武に対して答え始める。
宗重
「あれはな、信常殿が発明された雷神と申す道具じゃ。」
雷神。
その道具の名前を耳にした崇房は、はっとした表情を見せて口を開き始める。
崇房
「雷神…かつて敵であった外河家を攻略する際に使われたというあの道具にございますか?」
崇房のその言葉に宗重は軽く頷いて答え始める。
宗重
「あぁ、その雷神じゃ。お主の御父上からも話はよく聞いてはおろう。」
崇房
「確か、凄まじいまでの雷によって外河軍は総崩れとなり、形勢が逆転したという話は聞いておりまする。」
二度目の墨山での戦いにおいて志太軍はこの雷神を使用した。
雷神からは先程の崇房が目にしたような白い靄が発生し、それはたちまち上空へと舞い上がる事で雨雲となった。
雨雲は大規模な積乱雲へと発達し、激しい雷雨となって辺りへ一気に降り注ぎ始める。
やがて雷は鉄によって造られた墨山城へと何度も何度も容赦無く襲いかかり、外河軍の戦意を大幅に低下させた。
崇房は、自身の父である崇冬からそうした話を耳にしたという事を思い出していたようであった。
宗重
「それにしても祐永様は何故に今ここで雷神をお使いになられたのでござろうか…」
宗重は首を傾げながらそう呟いていた。
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