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第10章 異国の大決戦編

21.ワニアの戦い(13)

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アテヌは空の上から炎を発生させ、連合軍に向けて放とうとしていた。
その光景を見た連合軍の者たちは皆が死を覚悟していた。

だがその瞬間、一発の銃声が鳴り響く。
銃弾はアテヌの背中に背負った装置に命中し、飛行機能を失った事で降下を始める。
やがてアテヌは地面へと落下していた。

鉄砲が砲撃された方角を見ると、何とそこには宗重と崇房の姿があった。

宗重
「アテヌよ!儂ら配下の者たちを殺めた償い、受けてもらおうぞ!」

宗重は鋭い目つきで睨みつけながらアテヌに対してそう声を上げていた。

アテヌ
「全く、しぶとい鼠どもめが…うっ、くっ…」

アテヌは腰を屈めながらそう言っていた。
するとその様子を見たドヴェルクが口を開き始める。

ドヴェルク
「ややっ、長継。あれを見てください…」

長継
「ほほう、どうやらアテヌは酷く傷付いておるな。奴の首を取るならば今が好機ぞ!」

先程の銃撃によってアテヌが背中に背負っていた装置には穴が空いていた。
それによって装置は飛行機能を失い、宙を舞っていたアテヌはみるみるうちに降下を始める。
やがて地上へと墜落した事で彼は負傷する。
余程強く地面へと叩きつけられたのであろうか、彼はよろめきながら苦しげな表情を浮かべていた。

この状況を好機と考えた長継らは、アテヌに対して総攻撃をかけるべきであると考えていた。
するとアテヌは屈めていた腰を一気に伸ばし、連合軍に対して声を上げ始める。

アテヌ
「ふん、空を飛ばなくとも貴様らのような鼠どもに負ける吾輩では無いわ!」

たとえそうした装置が使えなくなったとて今の連合軍との戦いに破れる事などは断じてあり得ぬ。
アテヌは気迫ある表情を見せていた。

それに対して崇房が答え始める。

崇房
「かようなまでには強がってはおってもお主が従えし軍勢の士気は未だ乱れたままぞ。それ故、最早我らの敵ではござらん!」

確かにアテヌ自身は士気を取り戻してはいる。
だが、彼に従う兵たちに関して言えば依然として混乱した状態にあったのだ。

政武
「おいおい、アテヌのおっさんよ。あんた一人で俺たちの相手になるってのかい?」

たかだか一人の将の力だけで我らの軍勢と戦ったところでどうにもならないであろう。
政武は呆れた表情でアテヌに対してそう言っていた。

祐永
「よし、このまま一気に押し込んでアテヌを討つのじゃ!皆の者よ、この機を逃してはならぬぞ!」

そうして一気にかたをつけるべく祐永が全軍に対して声を上げていた。
連合軍がわらわらとヘルト軍の軍勢を包み込み始めようとしている。

アテヌ
「くっ…鼠どもめが調子に乗りおって…」

アテヌは迫りくる連合軍に対して険しい表情で睨みつけていた。
するとカルロスがアテヌに対して声を掛け始める。

カルロス
「アテヌ!ここは一旦、城に戻ろうではないか!城に戻って兵たちの士気を立て直すのだ!」

今の自軍の士気で連合軍と戦えば返り討ちに遭う可能性が十分に高い。
それ故にひとまずは全軍を城に戻し、籠城戦を行うべきであろう。

カルロスのその言葉にアテヌは苦い表情を浮かべていた。

アテヌ
「不本意ですが仕方ありませんね…戻りましょう!」

そう言うとアテヌとカルロスらの軍勢は、城内へと退却し始める。

政武
「おいこら、逃げるのか?待ちやがれ!この外道めが!」

政武はアテヌに対して怒鳴り声を上げていた。
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