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第10章 異国の大決戦編
14.ワニアの戦い(6)
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宗重と政武らはアテヌの軍勢となおも激しい戦いが繰り広げられている。
戦況としては宗重と政武らの軍勢は劣勢に追い込まれている。
これに対して残る連合軍は、援軍を送り込むかのように思われていた。
しかし、祐永はこの場に留まるように命令を下す。
間もなくするとヘルト城の西側には総大将であるカルロス・ヘルトが率いる軍勢が姿を現していた。
カルロス
「我らは正義の為に戦うのである。来るが良い。」
カルロスは、自身たちが持つ正義を貫き通す為には戦いをも辞さないと言っていた。
それに対して長継が声を上げる。
長継
「祐永殿が申されるように、最早ヘルト軍には武をもって敵を討ち滅ぼすしかありませぬ。カルロス殿、ご覚悟願おう!」
こうして長継、ドヴェルク、祐宗、崇房ら連合軍とカルロス率いるセビカ軍との戦いが始まるのであった。
まず始めに長継の軍勢が動き出し、カルロスの軍勢との接近戦となった。
両軍の剣がぶつかり合う音が辺りに響き渡っていた。
長継
「我らセビカ軍の攻撃、耐えられるものなら耐えてみよ!」
後方では、崇房と祐永らの軍勢は弓を引いて応戦しようとしていた。
崇房
「我らはここで長継殿を支援するのじゃ。全軍、射て!」
崇房がそう声を上げた瞬間、兵たちが一斉に矢を放つ。
放たれた矢は凄まじい勢いでたちまちカルロスの軍勢に降り注ぎ始める。
ドヴェルク
「我らも長継と共にカルロスの軍勢と戦うぞ!」
そして長継に続く形でドヴェルクもカルロスの軍勢に攻撃を仕掛ける。
長継とドヴェルク二つの軍勢が合わさった事で更に勢いは増していった。
それから少しの刻が過ぎていた。
戦況は連合軍が優勢となっており、カルロスの軍勢は徐々に追い込まれている状態であった。
カルロス
「くっ、つ、強い。やはりこの私では力不足だというのか…」
連合軍による攻撃を受けたカルロスは、思わず声を漏らしていた。
この様子に祐永らが口を開き始める。
祐永
「これがあのヘルト軍を束ねし総大将じゃというのか…」
崇房
「カルロス・ヘルトと申す男、どうやら見掛け倒しのようにござるな。」
開戦前の威勢こそは良かったものの、いざ戦闘状態となった途端にこの有様である。
祐永らは、カルロス率いる軍勢のその弱さに対して半ば肩透かしを食ったような表情であった。
すると長継が軽く頷きながら言う。
長継
「カルロス殿は武には秀でておらぬ将にござる故に、余りにも無謀じゃと思っておったが…やはりな。」
ヘルト一族は、代々がセビカ国王の側近として仕えていた。
その中で主に国内の政務及び軍事を任されており、国家の中枢を担う存在であった。
しかし、軍事においては代々のヘルト当主と比べてカルロスはその才能には乏しかった。
その代わりに、政務に関しては右に出る者が居なかったと言われる程の才能の持ち主であったという。
ドヴェルク
「カルロスよ、もう諦めて我らに投降なされてはいかがですか?」
もうこれ以上戦いを続けたとて戦局が変わる事は無いであろう。
それ故に、無駄な犠牲を出さぬ為にも降伏すべきだ。
ドヴェルクは、カルロスに対してそう訴えかけていた。
だがカルロスはドヴェルクのその声には耳を傾ける事はせず、険しい表情をして声を上げ始める。
カルロス
「かくなるうえは…えぇい!アテヌ、アテヌよ!例の作戦を今すぐに実行せよ!」
カルロスの声は、ヘルト城の南側に居るアテヌの所にまで届いていた。
アテヌ
「承知いたしました、カルロス様。私の出番ですね。ふふふふふ…」
アテヌはまたしても不気味な笑みを浮かべていた。
戦況としては宗重と政武らの軍勢は劣勢に追い込まれている。
これに対して残る連合軍は、援軍を送り込むかのように思われていた。
しかし、祐永はこの場に留まるように命令を下す。
間もなくするとヘルト城の西側には総大将であるカルロス・ヘルトが率いる軍勢が姿を現していた。
カルロス
「我らは正義の為に戦うのである。来るが良い。」
カルロスは、自身たちが持つ正義を貫き通す為には戦いをも辞さないと言っていた。
それに対して長継が声を上げる。
長継
「祐永殿が申されるように、最早ヘルト軍には武をもって敵を討ち滅ぼすしかありませぬ。カルロス殿、ご覚悟願おう!」
こうして長継、ドヴェルク、祐宗、崇房ら連合軍とカルロス率いるセビカ軍との戦いが始まるのであった。
まず始めに長継の軍勢が動き出し、カルロスの軍勢との接近戦となった。
両軍の剣がぶつかり合う音が辺りに響き渡っていた。
長継
「我らセビカ軍の攻撃、耐えられるものなら耐えてみよ!」
後方では、崇房と祐永らの軍勢は弓を引いて応戦しようとしていた。
崇房
「我らはここで長継殿を支援するのじゃ。全軍、射て!」
崇房がそう声を上げた瞬間、兵たちが一斉に矢を放つ。
放たれた矢は凄まじい勢いでたちまちカルロスの軍勢に降り注ぎ始める。
ドヴェルク
「我らも長継と共にカルロスの軍勢と戦うぞ!」
そして長継に続く形でドヴェルクもカルロスの軍勢に攻撃を仕掛ける。
長継とドヴェルク二つの軍勢が合わさった事で更に勢いは増していった。
それから少しの刻が過ぎていた。
戦況は連合軍が優勢となっており、カルロスの軍勢は徐々に追い込まれている状態であった。
カルロス
「くっ、つ、強い。やはりこの私では力不足だというのか…」
連合軍による攻撃を受けたカルロスは、思わず声を漏らしていた。
この様子に祐永らが口を開き始める。
祐永
「これがあのヘルト軍を束ねし総大将じゃというのか…」
崇房
「カルロス・ヘルトと申す男、どうやら見掛け倒しのようにござるな。」
開戦前の威勢こそは良かったものの、いざ戦闘状態となった途端にこの有様である。
祐永らは、カルロス率いる軍勢のその弱さに対して半ば肩透かしを食ったような表情であった。
すると長継が軽く頷きながら言う。
長継
「カルロス殿は武には秀でておらぬ将にござる故に、余りにも無謀じゃと思っておったが…やはりな。」
ヘルト一族は、代々がセビカ国王の側近として仕えていた。
その中で主に国内の政務及び軍事を任されており、国家の中枢を担う存在であった。
しかし、軍事においては代々のヘルト当主と比べてカルロスはその才能には乏しかった。
その代わりに、政務に関しては右に出る者が居なかったと言われる程の才能の持ち主であったという。
ドヴェルク
「カルロスよ、もう諦めて我らに投降なされてはいかがですか?」
もうこれ以上戦いを続けたとて戦局が変わる事は無いであろう。
それ故に、無駄な犠牲を出さぬ為にも降伏すべきだ。
ドヴェルクは、カルロスに対してそう訴えかけていた。
だがカルロスはドヴェルクのその声には耳を傾ける事はせず、険しい表情をして声を上げ始める。
カルロス
「かくなるうえは…えぇい!アテヌ、アテヌよ!例の作戦を今すぐに実行せよ!」
カルロスの声は、ヘルト城の南側に居るアテヌの所にまで届いていた。
アテヌ
「承知いたしました、カルロス様。私の出番ですね。ふふふふふ…」
アテヌはまたしても不気味な笑みを浮かべていた。
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