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第8章 将軍への道程編
88.第二次墨山の戦い(28)
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墨山城の地下蔵付近においては頼隆と政長らが奮闘中である。
そんな中、頼隆が意を決して立ち上がる。
どうやら地下蔵から一気に墨山城の城門へと移動し、外にいる味方の軍勢を引き入れるというものだ。
兵数では不利に見えていたが、頼隆は自身に満ちた表情をしていた。
墨山城、ここは自身の城である。
それ故に、たとえ敵兵がいようとも城門まで移動して味方の軍勢を呼び寄せる事などは容易である。
非常に短絡的な考え方ではあったが、自身が動く事で戦況を何としてでも変えなければならない、といった責任を感じている様子であった。
そうして地下蔵を離れて進み始めた頼隆とその兵たちは、ほどなくして城内の外河軍の兵たちに見つかってしまう。
兵
「はっ、あれは!よ、頼隆様じゃ…頼隆様じゃ!」
頼隆の姿を見つけた兵たちは皆、困惑した表情を見せ始める。
外河家の先代である頼隆が敵軍として彼らの前に現れたのであるから無理は無いであろう。
頼隆
「くっ、もう見つかってしまったか…これは少しばかりか骨を折ることになりそうじゃな…」
頼隆は、深刻な表情を見せていた。
そして次の瞬間、頼隆は手にした刀を大きくかざした後に兵たちに刃先を向けて声を上げる。
頼隆
「えぇい!元墨山国大名 外河頼隆のお通りじゃ!死にたくない者は下がっておれ!」
兵
「う、うぅぅぅ…拙者たちはどうすれば、どうすれば良いのじゃ…」
気迫ある頼隆の叫び声に外河軍の兵たちは、ますます戸惑いの色を見せていた。
すると、天守の方角から非常に通った声が聞こえ始める。
その声は、外河軍総大将 外河頼信のものであった。
頼信
「最早是非もなし!構わぬ!我が父、外河頼隆を今その場で討ち取ってしまうのじゃ!」
何と頼信は、自身の父である頼隆を討てと言っていた。
二人は「親子」という深い絆で結ばれた関係であるにも関わらずだ。
こうした不本意な決断を下さざるを得なかったとは言え、頼信の覚悟は相当なものであろう。
すると国輝が身を乗り出して頼信に対して言う。
国輝
「元主君であったとしても遠慮は無用というわけにございますな。では、我らもそのようにさせていただきますぞ!」
先刻前までは、志太・十部軍との戦いに対して頼信は二の足を踏んでいた。
そんな中、ようやく自身の肉親である頼隆を討ち取るべし、という決断を下したのである。
これで堂々と頼隆を亡き者にする事ができる。
そう考えた国輝は、にやりと不気味な笑みを浮かべていた。
そしてこの様子に国時は、困惑した表情を見せて口を開く。
国時
「それにしても、真に厄介なことになったのう…早いところ頼隆を討ってしまわねばな…」
一方、頼隆らは外河軍の兵たちとの戦いを繰り広げている。
目の前に立ち尽くす兵たちを次々となぎ倒した後に、頼隆が大声を上げる。
頼隆
「こうなった以上、頼信を我らが討たねばならぬ!じゃが、今はこの墨山城に味方の軍勢を引き入れることを考えよ!良いな?」
頼隆のその声は、天守にいる頼信の元にも届いていた。
頼信
「父上…頼信は、頼信は…真に残念にございますぞ…何故に、父上と戦わねばならぬのじゃ…」
頼隆による容赦のない言葉を聞いた事により、頼信は動揺し始めていた。
先程までは
「実の父であろうとも討ち取るべし」
などと威勢よく声を上げていた頼信ではあったが、今のこの瞬間にはまるで別人のように戦々恐々としている。
その様子を見た国輝が小さな声で一人呟く。
国輝
「ちっ、馬鹿息子めが怖気づきおって。かような奴を儂らが主君に仕立て上げたのがそもそもの間違いであったようじゃな…」
国輝は、面倒げな表情を見せていた。
そんな中、頼隆が意を決して立ち上がる。
どうやら地下蔵から一気に墨山城の城門へと移動し、外にいる味方の軍勢を引き入れるというものだ。
兵数では不利に見えていたが、頼隆は自身に満ちた表情をしていた。
墨山城、ここは自身の城である。
それ故に、たとえ敵兵がいようとも城門まで移動して味方の軍勢を呼び寄せる事などは容易である。
非常に短絡的な考え方ではあったが、自身が動く事で戦況を何としてでも変えなければならない、といった責任を感じている様子であった。
そうして地下蔵を離れて進み始めた頼隆とその兵たちは、ほどなくして城内の外河軍の兵たちに見つかってしまう。
兵
「はっ、あれは!よ、頼隆様じゃ…頼隆様じゃ!」
頼隆の姿を見つけた兵たちは皆、困惑した表情を見せ始める。
外河家の先代である頼隆が敵軍として彼らの前に現れたのであるから無理は無いであろう。
頼隆
「くっ、もう見つかってしまったか…これは少しばかりか骨を折ることになりそうじゃな…」
頼隆は、深刻な表情を見せていた。
そして次の瞬間、頼隆は手にした刀を大きくかざした後に兵たちに刃先を向けて声を上げる。
頼隆
「えぇい!元墨山国大名 外河頼隆のお通りじゃ!死にたくない者は下がっておれ!」
兵
「う、うぅぅぅ…拙者たちはどうすれば、どうすれば良いのじゃ…」
気迫ある頼隆の叫び声に外河軍の兵たちは、ますます戸惑いの色を見せていた。
すると、天守の方角から非常に通った声が聞こえ始める。
その声は、外河軍総大将 外河頼信のものであった。
頼信
「最早是非もなし!構わぬ!我が父、外河頼隆を今その場で討ち取ってしまうのじゃ!」
何と頼信は、自身の父である頼隆を討てと言っていた。
二人は「親子」という深い絆で結ばれた関係であるにも関わらずだ。
こうした不本意な決断を下さざるを得なかったとは言え、頼信の覚悟は相当なものであろう。
すると国輝が身を乗り出して頼信に対して言う。
国輝
「元主君であったとしても遠慮は無用というわけにございますな。では、我らもそのようにさせていただきますぞ!」
先刻前までは、志太・十部軍との戦いに対して頼信は二の足を踏んでいた。
そんな中、ようやく自身の肉親である頼隆を討ち取るべし、という決断を下したのである。
これで堂々と頼隆を亡き者にする事ができる。
そう考えた国輝は、にやりと不気味な笑みを浮かべていた。
そしてこの様子に国時は、困惑した表情を見せて口を開く。
国時
「それにしても、真に厄介なことになったのう…早いところ頼隆を討ってしまわねばな…」
一方、頼隆らは外河軍の兵たちとの戦いを繰り広げている。
目の前に立ち尽くす兵たちを次々となぎ倒した後に、頼隆が大声を上げる。
頼隆
「こうなった以上、頼信を我らが討たねばならぬ!じゃが、今はこの墨山城に味方の軍勢を引き入れることを考えよ!良いな?」
頼隆のその声は、天守にいる頼信の元にも届いていた。
頼信
「父上…頼信は、頼信は…真に残念にございますぞ…何故に、父上と戦わねばならぬのじゃ…」
頼隆による容赦のない言葉を聞いた事により、頼信は動揺し始めていた。
先程までは
「実の父であろうとも討ち取るべし」
などと威勢よく声を上げていた頼信ではあったが、今のこの瞬間にはまるで別人のように戦々恐々としている。
その様子を見た国輝が小さな声で一人呟く。
国輝
「ちっ、馬鹿息子めが怖気づきおって。かような奴を儂らが主君に仕立て上げたのがそもそもの間違いであったようじゃな…」
国輝は、面倒げな表情を見せていた。
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