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第8章 将軍への道程編
77.第二次墨山の戦い(17)
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兵の士気を立て直す為に外河軍は全軍が墨山城に一時退却。
ほどなくして志太・十部軍との籠城戦が開始していた。
墨山城を眺めながら祐永が口を開く。
祐永
「それにしても墨山城というものは、真に美しき城にございますな。敵の城でありながらも、つい見とれてしもうた。」
祐宗
「真にのう。我らの城が霞んでしまいそうであるわ。」
祐宗もまた墨山城に圧倒されているような様子であった。
そして続けて祐宗がきりりとした表情をして言う。
祐宗
「じゃが、じきにこの城も我らのものとなろうぞ。」
十部軍が援軍に加わった事で倍以上はある兵力差を前に外河軍は手も足も出ない状況と言っても良い。
そのような状態で籠城を行ったとて落城するのは時間の問題であろう。
確かに墨山城は、祐宗や祐永をも圧倒される程のものではある。
だが、そうであっても自軍によってこの城は間もなく制圧できるであろう、という自信が祐宗にはあったようだ。
そんな中、墨山城内に構える外河軍の国輝が自慢げな表情を浮かべて言う。
国輝
「雷に打たれたとあっても、この墨山城の堅固さは健在にござる。」
確かに国輝の言う通り、墨山城はあれほどの落雷を受けたにも関わらず大きな損壊は見られなかったようである。
すると頼信が胸を張って言い放つ。
頼信
「流石は外河家の始祖より築かれしこの我が城。そう簡単に落ちぬものよ。」
墨山城は、外河家が墨山国を治め初めた頃から落城する事無く現在にまで至っているという。
過去にも幾度かの攻城戦はあったようだが、いずれも外河軍が守り抜き通して相手軍を追い返している。
こうした事もあり、今回の籠城戦においても志太・十部軍を退却に追い込む事が出来るであろうと頼信は考えているようであった。
国輝
「はっ、全くにございます。この城がある限り、我らは負けませぬぞ!」
頼信の勇ましい表情に対して国輝がそう声を上げた。
国時
「者ども!外河軍の底力を今こそ奴らに見せてやるのじゃ!」
そうして頼信らの言葉により、外河軍の士気は大きく向上し始めるのであった。
一方、そんな様子に崇冬が口を開く。
崇冬
「再び籠城戦に持ち込んだか。城から出たり入ったり、真に忙しい者たちにござるな。」
野戦から籠城戦、そして再び野戦となったと思えばまた籠城戦。
この目まぐるしく変わる外河軍の戦い方の方針に対し、崇冬は呆れたような様子であった。
そして康龍は真剣な顔つきをして言う。
康龍
「籠城戦…ここからが真の戦である故に気を抜くでないぞ!」
先刻の志太軍らの猛攻によって外河軍を追い込んだ事によって自軍が優勢な事に変わりは無い。
だが、そうした気の緩みに付け込んで彼らは攻撃を仕掛けるであろう。
康龍は開戦時に、自身の愚かな行動によって一時は軍勢壊滅の危機にまで陥った事もあってか、非常に注意深い様子であった。
崇冬と康龍の軍勢の間に陣を構えていた貞道は、崇冬と康龍らの軍勢と共に籠城戦を開始させようとしていた。
貞道
「さて、では我らも墨山城を攻撃いたすとするかのう。行くぞ!」
その時である…
頼隆が驚いた様子で急に声を上げる。
頼隆
「はっ!あ、あれは…」
頼隆が目をやった方角には、もう一つの軍勢がいた。
軍勢は、墨山城を目指して一直線に向かって来ている。
義継
「ふむ、どうやら頼もしき者が来たようじゃな。」
義継の顔には笑みがこぼれていた。
ほどなくして志太・十部軍との籠城戦が開始していた。
墨山城を眺めながら祐永が口を開く。
祐永
「それにしても墨山城というものは、真に美しき城にございますな。敵の城でありながらも、つい見とれてしもうた。」
祐宗
「真にのう。我らの城が霞んでしまいそうであるわ。」
祐宗もまた墨山城に圧倒されているような様子であった。
そして続けて祐宗がきりりとした表情をして言う。
祐宗
「じゃが、じきにこの城も我らのものとなろうぞ。」
十部軍が援軍に加わった事で倍以上はある兵力差を前に外河軍は手も足も出ない状況と言っても良い。
そのような状態で籠城を行ったとて落城するのは時間の問題であろう。
確かに墨山城は、祐宗や祐永をも圧倒される程のものではある。
だが、そうであっても自軍によってこの城は間もなく制圧できるであろう、という自信が祐宗にはあったようだ。
そんな中、墨山城内に構える外河軍の国輝が自慢げな表情を浮かべて言う。
国輝
「雷に打たれたとあっても、この墨山城の堅固さは健在にござる。」
確かに国輝の言う通り、墨山城はあれほどの落雷を受けたにも関わらず大きな損壊は見られなかったようである。
すると頼信が胸を張って言い放つ。
頼信
「流石は外河家の始祖より築かれしこの我が城。そう簡単に落ちぬものよ。」
墨山城は、外河家が墨山国を治め初めた頃から落城する事無く現在にまで至っているという。
過去にも幾度かの攻城戦はあったようだが、いずれも外河軍が守り抜き通して相手軍を追い返している。
こうした事もあり、今回の籠城戦においても志太・十部軍を退却に追い込む事が出来るであろうと頼信は考えているようであった。
国輝
「はっ、全くにございます。この城がある限り、我らは負けませぬぞ!」
頼信の勇ましい表情に対して国輝がそう声を上げた。
国時
「者ども!外河軍の底力を今こそ奴らに見せてやるのじゃ!」
そうして頼信らの言葉により、外河軍の士気は大きく向上し始めるのであった。
一方、そんな様子に崇冬が口を開く。
崇冬
「再び籠城戦に持ち込んだか。城から出たり入ったり、真に忙しい者たちにござるな。」
野戦から籠城戦、そして再び野戦となったと思えばまた籠城戦。
この目まぐるしく変わる外河軍の戦い方の方針に対し、崇冬は呆れたような様子であった。
そして康龍は真剣な顔つきをして言う。
康龍
「籠城戦…ここからが真の戦である故に気を抜くでないぞ!」
先刻の志太軍らの猛攻によって外河軍を追い込んだ事によって自軍が優勢な事に変わりは無い。
だが、そうした気の緩みに付け込んで彼らは攻撃を仕掛けるであろう。
康龍は開戦時に、自身の愚かな行動によって一時は軍勢壊滅の危機にまで陥った事もあってか、非常に注意深い様子であった。
崇冬と康龍の軍勢の間に陣を構えていた貞道は、崇冬と康龍らの軍勢と共に籠城戦を開始させようとしていた。
貞道
「さて、では我らも墨山城を攻撃いたすとするかのう。行くぞ!」
その時である…
頼隆が驚いた様子で急に声を上げる。
頼隆
「はっ!あ、あれは…」
頼隆が目をやった方角には、もう一つの軍勢がいた。
軍勢は、墨山城を目指して一直線に向かって来ている。
義継
「ふむ、どうやら頼もしき者が来たようじゃな。」
義継の顔には笑みがこぼれていた。
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