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第7章 天下分け目の大決戦編
46.教晴の決意
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教晴の屋敷において義久と密談が行われていた。
その中で教晴は今後の幕府について否定的な姿勢を見せる。
そしてやがて義久は教晴から将軍継晴を討つ、という耳を疑うような発言を聞いた。
義久
「教晴様、今何とおっしゃいましたか?」
驚いた様子で義久がそう言った。
教晴
「よく聞こえなかったか。父上の継晴をこの手で討つと申したのじゃ。」
何と、教晴の父で将軍でもある継晴を討つというのだ。
子が親を殺すなどこの戦国の世においては珍しい事では無かったが、それが将軍家で繰り広げられる事は未だかつて無かった。
もし、教晴が謀叛を起こして継晴が討たれる事となれば幕府が開かれて以来の異例の事態とも言えよう。
義久
「教晴様、悪い御冗談はお止めくだされ!」
義久は教晴を制止するように声をあげた。
しかし、その言葉に対して全く気にかける様子も無く教晴が言う。
教晴
「余は冗談など申さぬ。義久よ、お前はこのまま父上による幕府が続くことを本当に望んでおるのか? 」
教晴は真剣な表情で義久をじっと見つめてそう言った。
義久
「そ、それは…」
義久は困惑した様子で口を詰まらせていた。
教晴
「とにかくこれ以上、家臣や領民たちが苦しむ姿は見とうない。父上の暴走は誰かが止めねならぬ故、余がその役目を果たそうぞ。」
将軍継晴による幕府が存在している限り、家臣や領民たちは苦しめ続けられるであろう。
この悪状況を打破する為には、誰かが行動を起こさなければならない。
その役目を、教晴自身が買って出ようと言うのだ。
義久
「では、我らはどうすればよろしいのでございましょうか…」
教晴に対して食い入るように義久がそう言った。
教晴
「それじゃが、人質となっておるお前たちの家族の為にも次の志太家との戦いは変わらず参戦いたせ。良いか。」
人質の身の安全を考えれば、下手に継晴に背く事はすべきでは無いと教晴は考えていた。
それ故に、志太家との戦いはとりあえず継晴の命令通りに動く事をすすめた。
義久
「やはり、我らは継晴様の命令通り志太家と一戦を交えなければならぬのですか…」
教晴のその言葉を聞いた義久は、がっかりとした様子であった。
結局は継晴からは逃れる事が出来ないのか、と半ば諦めかけていた。
すると教晴は、義久の肩を軽く叩いて言った。
教晴
「まぁ待て。これには続きがある、よく聞け。余は、志太家との混戦にもつれ込んだ際のどさくさに紛れて人質を救出いたす。それが無事に遂行した後、お前たちは志太家に寝返るのじゃ。」
どうやら教晴の狙いは、志太軍との戦いで幕府軍が混乱状態に陥った隙を狙って人質たちを救出する事にあるようだ。
継晴は、家臣たちの寝返りを防ぐ為に彼らの家族を人質として取っている。
幕府軍が劣勢に傾いた場合は、人質を盾にして最後まで戦う事を継晴は強要するであろう。
かつて柳幸盛が人質を使って秋庭家を脅したように…。
しかし、人質をあらかじめ救出して解放する事が出来れば状況は変わって来る。
この事からも今回の戦いの鍵は、人質にあると言っても良いであろう。
教晴はそこに着目して作戦を練っていたようである。
義久
「教晴様、我ら家族の安全を考えられておったのですね…」
義久は教晴の言葉に心を動かされる思いであった。
教晴
「当たり前じゃ。家臣の為に尽くすのが本来の主君の務め。かようなことを行えぬ者など主君にあらず。それ故に余は父上を成敗いたすのじゃ。」
家臣の事を考えない主君は最早必要無い。
今の継晴による世相をすっぱりと斬り捨てるように教晴はそう言い放った。
そして教晴は呟くように続けて口を開く。
教晴
「余はもう、とうに覚悟を決めておる。いずれにせよこの今の幕府を終わらせねば良き世は訪れぬ故、失敗は許されぬ…」
教晴は覚悟を決めた様子であった。
その中で教晴は今後の幕府について否定的な姿勢を見せる。
そしてやがて義久は教晴から将軍継晴を討つ、という耳を疑うような発言を聞いた。
義久
「教晴様、今何とおっしゃいましたか?」
驚いた様子で義久がそう言った。
教晴
「よく聞こえなかったか。父上の継晴をこの手で討つと申したのじゃ。」
何と、教晴の父で将軍でもある継晴を討つというのだ。
子が親を殺すなどこの戦国の世においては珍しい事では無かったが、それが将軍家で繰り広げられる事は未だかつて無かった。
もし、教晴が謀叛を起こして継晴が討たれる事となれば幕府が開かれて以来の異例の事態とも言えよう。
義久
「教晴様、悪い御冗談はお止めくだされ!」
義久は教晴を制止するように声をあげた。
しかし、その言葉に対して全く気にかける様子も無く教晴が言う。
教晴
「余は冗談など申さぬ。義久よ、お前はこのまま父上による幕府が続くことを本当に望んでおるのか? 」
教晴は真剣な表情で義久をじっと見つめてそう言った。
義久
「そ、それは…」
義久は困惑した様子で口を詰まらせていた。
教晴
「とにかくこれ以上、家臣や領民たちが苦しむ姿は見とうない。父上の暴走は誰かが止めねならぬ故、余がその役目を果たそうぞ。」
将軍継晴による幕府が存在している限り、家臣や領民たちは苦しめ続けられるであろう。
この悪状況を打破する為には、誰かが行動を起こさなければならない。
その役目を、教晴自身が買って出ようと言うのだ。
義久
「では、我らはどうすればよろしいのでございましょうか…」
教晴に対して食い入るように義久がそう言った。
教晴
「それじゃが、人質となっておるお前たちの家族の為にも次の志太家との戦いは変わらず参戦いたせ。良いか。」
人質の身の安全を考えれば、下手に継晴に背く事はすべきでは無いと教晴は考えていた。
それ故に、志太家との戦いはとりあえず継晴の命令通りに動く事をすすめた。
義久
「やはり、我らは継晴様の命令通り志太家と一戦を交えなければならぬのですか…」
教晴のその言葉を聞いた義久は、がっかりとした様子であった。
結局は継晴からは逃れる事が出来ないのか、と半ば諦めかけていた。
すると教晴は、義久の肩を軽く叩いて言った。
教晴
「まぁ待て。これには続きがある、よく聞け。余は、志太家との混戦にもつれ込んだ際のどさくさに紛れて人質を救出いたす。それが無事に遂行した後、お前たちは志太家に寝返るのじゃ。」
どうやら教晴の狙いは、志太軍との戦いで幕府軍が混乱状態に陥った隙を狙って人質たちを救出する事にあるようだ。
継晴は、家臣たちの寝返りを防ぐ為に彼らの家族を人質として取っている。
幕府軍が劣勢に傾いた場合は、人質を盾にして最後まで戦う事を継晴は強要するであろう。
かつて柳幸盛が人質を使って秋庭家を脅したように…。
しかし、人質をあらかじめ救出して解放する事が出来れば状況は変わって来る。
この事からも今回の戦いの鍵は、人質にあると言っても良いであろう。
教晴はそこに着目して作戦を練っていたようである。
義久
「教晴様、我ら家族の安全を考えられておったのですね…」
義久は教晴の言葉に心を動かされる思いであった。
教晴
「当たり前じゃ。家臣の為に尽くすのが本来の主君の務め。かようなことを行えぬ者など主君にあらず。それ故に余は父上を成敗いたすのじゃ。」
家臣の事を考えない主君は最早必要無い。
今の継晴による世相をすっぱりと斬り捨てるように教晴はそう言い放った。
そして教晴は呟くように続けて口を開く。
教晴
「余はもう、とうに覚悟を決めておる。いずれにせよこの今の幕府を終わらせねば良き世は訪れぬ故、失敗は許されぬ…」
教晴は覚悟を決めた様子であった。
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