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第7章 天下分け目の大決戦編

24.創栄大神

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祐藤らは壮鳴の案内によって創天御所の中へと入って行った。
やがて謁見の間に通された祐藤らは、なんとも言えぬ神々しい雰囲気に圧倒された様子であった。

謁見の間には、真っ白な袴姿の人物が座っていた。
その人物は、祐藤らの顔を見るやいなや即座に口を開いた。

創栄
「朕が大神の創栄である。」

創栄は、祐藤の嫡男である祐宗ほどの歳の言わば青年であった。
しかし全てが白髪という風貌もあってか、実際の年齢よりも随分と老いて見られたという。
各地で戦乱が相次ぐこの時代、大神としての気苦労が絶えなかった為であろうか。

祐藤
「拙者、志太家 大名 志太祐藤にございます。」

祐藤は畏まった様子でそう言った。
それに続いて貞勝と祐宗も創栄に対して畏まりながら名を名乗った。

その後、一息ついて創栄が言った。

創栄
「して、志太殿よ。こたびの用件は何であるか。」

祐藤
「ははっ、将軍家である三浦家についてでございますが…」

祐藤は、非常に気まずそうに言葉を詰まらせながら創栄に言っていた。

創栄
「ふむ、三浦殿か…良かろう、申してみよ。」

祐藤は、昨今の戦乱の情勢において三浦将軍家の存在意義に疑問を感じているなどと言った内容を創栄に伝えていた。
さらに、強引な外交手段で各国の大名家に対して露骨な圧力をかけ始めた事で犠牲となった大名たちが多く存在するという事も説明。

こうした無理矢理とも言える政を決行する幕府を黙って見過ごす事は、創天国としても良いものでは無いであろう。
それ故に、最終的には将軍家を任命している大神が三浦家への対応をお願いしたい、と述べた。

すると、創栄からは思いも寄らない回答が返ってきた。

創栄
「うむ、実は朕もそなたと同じ考えじゃ。しかし、三浦家は我が先祖である創武大神の頃より仕えし家柄。それ故、朕がかような判断を下しても良きものか悩んでおる…」

創栄は、自身の先祖の代から繋がりがあった三浦家に対して処断を下す事が憚られている様子であった。

その様子を見た祐藤がすかさず口を開いた。

祐藤
「三浦家は、縁戚関係にあられた大月家をつい先日、滅亡へと追いやるなどといった暴挙に出られました。将軍家ともあろう御家が身内の者を蔑むなど、あってはならぬことに存じます。」

そして貞勝も間髪入れずに創栄に対して言った。

貞勝
「将軍家によるかような愚かな行為など断じて許すことはできませぬ。こたびの一連の将軍家の動きは、大神様の御顔に泥を塗るような不敬行為であると我らは考えております。」

祐藤は、先日に将軍家が下した大月家への処断を引き合いに出していた。
将軍家という武家の頂点に立つべき存在の者が平気で身内の家を滅ぼすなどあってはならぬ事だ。
ましてや大神様より任命を受けた将軍家がこのような暴挙に出るなど言語道断である、と。

すると創栄は深くうなずいた後に言った。

創栄
「確かに、今の将軍家である三浦殿は目に余る。古くより、盛者必衰という言葉がある。どうやら三浦殿も衰え滅びる運命やも知れぬな…」

創栄は、三浦将軍家が滅びる事も致し方ない事なのであろうかと考え始めていた。
その様子を見た祐宗がすかさず口を開いた。

祐宗
「大神様、拙者のような若造が申すのは真に失礼ではありますが、三浦家はこの乱世であろうとも将軍家であることにただ胡座をかき続けておられた故、当然の結果ではございませぬか。」

祐宗は将軍家に対しての批判をここぞとばかりに述べた。
それは、他の大名たちが思っているであろう本音を代弁するかのようであった。

すると創栄は、祐宗をじっと見つめてしばらく間を置いた後に口を開いた。

創栄
「いや、そなたの申す通りじゃ。やはり、将軍家としての務めを全うせんかった三浦殿に非があろう。」

どうやら大神である創栄もまた、思いは同じであった。
すると、思い立った表情をした創栄が祐藤たちに対して言った。

創栄
「良かろう、三浦幕府の倒幕を許そうではないか。その後には志太殿、そなたの家が将軍を務めるが良い。朕は志太殿を期待しておるぞ。」

祐藤
「ははっ、大神様よりかようなお言葉をいただけるなど真に有り難き幸せにございます。」

祐藤は頭を深々と下げ、感謝の言葉を述べていた。
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