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第7章 天下分け目の大決戦編
13.国米の戦い(5)
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堀内軍は幕府軍と鳥居軍の援軍によって増兵。
堀内連合軍として志太連合軍に襲いかかった。
これにより祐藤は、前線に出ていた崇数と祐宗の軍勢に対して撤退を命じた。
しかし、援軍によって参戦した鳥居景綱率いる軍勢の攻撃を受けた祐宗の軍勢は混乱し始めていた。
祐宗
「くっ、これしきのことで拙者は参らぬ!お前たちよ、景綱の兵どもなど返り討ちにしてやるのじゃ!」
祐宗は勇ましい表情で兵たちに喝を入れていた。
その様子に、兵たちはわずかながらではあったが我に返って落ち着きを取り戻していたようである。
すると、崇数が祐宗の軍勢に向けて言葉をかけた。
崇数
「祐宗様、我らの軍勢もすぐに加勢いたしますぞ!」
崇数は、祐宗の危機を救うべく自身の兵たちを向かわせようとしていた。
すると、祐藤は崇数に対して戒めるように言った。
祐藤
「崇数よ、そなたの気持ちは嬉しいが自身の兵たちを立て直すが先決ぞ。そこで慌てれば祐宗の二の舞を踏むことなる故、慎重に動かれよ。」
戦における緊急事態では、武将の判断一つによって後の戦況に大きく影響するものである。
祐藤は、崇数が取ろうとしたとっさの判断に対して抜けが無いか注意するように念を押していた。
崇数
「ははっ、しかと心得ました。祐宗様、それでは今しばらくご辛抱くださいませ!」
崇数は再び祐宗に向かってそう叫んだ。
祐宗
「崇数殿、かたじけない。恩に着ますぞ。」
祐宗は崇数に対して感謝の言葉を述べていた。
このやりとりを見ていた景綱は、呟くように口を開いた。
景綱
「口羽崇数殿、元白河家の軍師か…嫌なことを思い出させてくれおるな…」
崇数の軍勢が合流する事に対し、景綱は動揺した様子であった。
かつて黒子の戦いにおいて崇数の凄まじいまでの戦いぶりに、幼少であった景綱は恐怖を覚えていたからである。
景綱
「じゃが、祖父上と父上の弔い合戦の為にも崇数殿とは一戦を交えるべきにござるな。」
そう言うと景綱は再び凛々しい表情へと切り替わった。
祐宗と景綱の軍勢が戦闘状態となり、しばらくの時が過ぎた。
戦況は先に攻撃を仕掛けた景綱の軍勢が依然として有利であり、祐宗の軍勢は苦戦を強いられていた。
そして崇数の軍勢の立て直しにも手間取っており、軍勢の合流はもう少しかかりそうである。
その様子を見た継晴が、義成に対して言う。
継晴
「どうやら志太軍が慌てふためいておるようじゃな。これで我らの勝利は目前ぞ。」
継晴は勝利を確信したかのような表情であった。
しかし、義成が遮るように口を開いた。
義成
「いえ、祐藤は侮れぬ男である故にもう一つの作戦を遂行いたしてからが真の勝利かと思われます。」
祐藤は、これまで幾多の危機に晒されようとも必ず乗り越えてきた。
その祐藤の底知れぬ実力に義成は警戒していた。
そしてその事は、黒松家先代当主であった義政も充分に周知していたようであり、もう一つの策略によって志太家を完璧に追い込む為の計画を立てていたようである。
継晴
「おぉ、そうであったな。もう一つの作戦か…祐藤は、志太家はこれでもう終わりであるな。義成よ、やるが良い。」
思い出したように継晴はそう言い放ち、義成に命令を下した。
義成
「ははっ、では作戦を開始いたします。皆の者よ、もう一つの狼煙を上げられよ!」
そう言うと義成の軍勢が再び狼煙を上げ始めた。
今度は鮮やかな黄色の煙が立ち昇り、瞬く間に天へと伸びていった。
この黄色い狼煙は、光の加減によっては黄金色にも見えていた。
それはまるで、三浦将軍家の繁栄を映さんばかりのきらびやかさを表現しているようでもあった。
継晴
「さて、これで祐藤がどう動くか見物であるな。」
義成
「全くにございます。我が将軍家に仇なす者どもに間もなく天誅が下りましょうぞ。」
継晴と義成は不敵な笑みを浮かべていた。
堀内連合軍として志太連合軍に襲いかかった。
これにより祐藤は、前線に出ていた崇数と祐宗の軍勢に対して撤退を命じた。
しかし、援軍によって参戦した鳥居景綱率いる軍勢の攻撃を受けた祐宗の軍勢は混乱し始めていた。
祐宗
「くっ、これしきのことで拙者は参らぬ!お前たちよ、景綱の兵どもなど返り討ちにしてやるのじゃ!」
祐宗は勇ましい表情で兵たちに喝を入れていた。
その様子に、兵たちはわずかながらではあったが我に返って落ち着きを取り戻していたようである。
すると、崇数が祐宗の軍勢に向けて言葉をかけた。
崇数
「祐宗様、我らの軍勢もすぐに加勢いたしますぞ!」
崇数は、祐宗の危機を救うべく自身の兵たちを向かわせようとしていた。
すると、祐藤は崇数に対して戒めるように言った。
祐藤
「崇数よ、そなたの気持ちは嬉しいが自身の兵たちを立て直すが先決ぞ。そこで慌てれば祐宗の二の舞を踏むことなる故、慎重に動かれよ。」
戦における緊急事態では、武将の判断一つによって後の戦況に大きく影響するものである。
祐藤は、崇数が取ろうとしたとっさの判断に対して抜けが無いか注意するように念を押していた。
崇数
「ははっ、しかと心得ました。祐宗様、それでは今しばらくご辛抱くださいませ!」
崇数は再び祐宗に向かってそう叫んだ。
祐宗
「崇数殿、かたじけない。恩に着ますぞ。」
祐宗は崇数に対して感謝の言葉を述べていた。
このやりとりを見ていた景綱は、呟くように口を開いた。
景綱
「口羽崇数殿、元白河家の軍師か…嫌なことを思い出させてくれおるな…」
崇数の軍勢が合流する事に対し、景綱は動揺した様子であった。
かつて黒子の戦いにおいて崇数の凄まじいまでの戦いぶりに、幼少であった景綱は恐怖を覚えていたからである。
景綱
「じゃが、祖父上と父上の弔い合戦の為にも崇数殿とは一戦を交えるべきにござるな。」
そう言うと景綱は再び凛々しい表情へと切り替わった。
祐宗と景綱の軍勢が戦闘状態となり、しばらくの時が過ぎた。
戦況は先に攻撃を仕掛けた景綱の軍勢が依然として有利であり、祐宗の軍勢は苦戦を強いられていた。
そして崇数の軍勢の立て直しにも手間取っており、軍勢の合流はもう少しかかりそうである。
その様子を見た継晴が、義成に対して言う。
継晴
「どうやら志太軍が慌てふためいておるようじゃな。これで我らの勝利は目前ぞ。」
継晴は勝利を確信したかのような表情であった。
しかし、義成が遮るように口を開いた。
義成
「いえ、祐藤は侮れぬ男である故にもう一つの作戦を遂行いたしてからが真の勝利かと思われます。」
祐藤は、これまで幾多の危機に晒されようとも必ず乗り越えてきた。
その祐藤の底知れぬ実力に義成は警戒していた。
そしてその事は、黒松家先代当主であった義政も充分に周知していたようであり、もう一つの策略によって志太家を完璧に追い込む為の計画を立てていたようである。
継晴
「おぉ、そうであったな。もう一つの作戦か…祐藤は、志太家はこれでもう終わりであるな。義成よ、やるが良い。」
思い出したように継晴はそう言い放ち、義成に命令を下した。
義成
「ははっ、では作戦を開始いたします。皆の者よ、もう一つの狼煙を上げられよ!」
そう言うと義成の軍勢が再び狼煙を上げ始めた。
今度は鮮やかな黄色の煙が立ち昇り、瞬く間に天へと伸びていった。
この黄色い狼煙は、光の加減によっては黄金色にも見えていた。
それはまるで、三浦将軍家の繁栄を映さんばかりのきらびやかさを表現しているようでもあった。
継晴
「さて、これで祐藤がどう動くか見物であるな。」
義成
「全くにございます。我が将軍家に仇なす者どもに間もなく天誅が下りましょうぞ。」
継晴と義成は不敵な笑みを浮かべていた。
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