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第7章 天下分け目の大決戦編

11.国米の戦い(3)

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国米において志太連合軍と堀内軍の合戦が開始。
堀内軍は倍以上もある志太連合軍の軍勢を前に苦戦を強いられていた。

だが開戦から一刻ほどの時が過ぎた頃、三浦宮御所より幕府軍の援軍が到着。
この出来事により、堀内軍の士気は上昇していた。

為永
「あぁ、継晴様!真にかたじけのうございます。」

為永は興奮した様子を抑えつつ恐縮した態度であった。

祐藤
「幕府からの援軍…思うておったより早くに来おったか…」

祐藤は、この厄介な状況に困った様子であった。

崇数の軍勢は三浦宮御所の方面を背に布陣している為、背後を突かれる事になるのである。
流石の名軍師と言えども敵に背後を突かれれば負け戦となる事も充分に有り得る話だ。

しかし、祐藤は思いがけぬ命令を崇数に行うのであった。

祐藤
「えぇい!こうなれば時間との勝負である。崇数よ、このまま一気に為永の本体を押し切ってしまうのじゃ!この戦、為永を討てば勝ちである故、急がれよ!」

何と、背後の幕府軍には目もくれずに堀内軍との戦いを続けろと言うのだ。
先刻までの堀内軍に対して有利な戦況を維持して本陣にまで斬り込みを入れるという強引とも言える作戦である。
幕府軍との戦いに力を注ぐ事で為永を討ち損ねれば、今回の戦を仕掛けた意味が無いと祐藤は考えていたようだ。

崇数
「はっ、承知致しました。為永の本陣に一番槍を入れて見せましょうぞ!」

崇数は勇ましくそして堂々たる態度であった。
その様子を見た継晴が呆れた顔で言う。

継晴
「なんと!余の軍勢を無視いたすとな。我が幕府も甘く見られたものよな。」

相手の背後を突こうともそれに見向きもせず、ただひたすらに堀内軍目掛けて突撃を試みる崇数の軍勢に対して怒りを感じていた。
同時に、無謀とも言える祐藤の作戦を強いられている崇数に憐れみの気持ちも生じていた。

義成
「ふむ、強がっておられるのも今のうちにござる。さぁさぁ我ら幕府軍の作戦開始じゃ、狼煙を上げられよ!」

そう言うと義成の軍勢が狼煙を上げ始めた。
紫色の鮮やかな煙は、瞬く間に天高く伸びていった。
何かの合図であろうか…

すると、祐宗の軍勢の後方に向かって来る軍勢が見え始めた。
凄まじいほどの勢いで祐宗の軍勢との距離を詰めている。

その軍勢は、あっという間に祐宗の軍勢に最接近していた。
そして、総大将と思われる身なりをした若い武将が軍勢の中心に居るのが分かった。
その武将は抜いた刀を大きく掲げ、祐宗の軍勢に向かって大声で口上を述べ始めた。

「我こそは鳥居景経が嫡男 鳥居景綱、幕府の命により、志太軍討伐に馳せ参じた!」

ーー 鳥居景綱(とりい かげつな)
かつて黒子城を支配していた大名家 鳥居景経の嫡男、すなわち鳥居景望の孫である。
第二次黒子の戦いによって大名であった鳥居景望と景経親子は自害したが、自身は幼少の為に恩情により処刑は免れたものの、黒子の地を志太家によって追放された。
そして流れ着いた辺境の地において民として身を落とす事を余儀なくされ、不遇の時代を過ごしたという。

それから十数年の時が経ち、青年となった景綱に転機が訪れる。
将軍家の家臣 黒松義成が鳥居家復興の話を持ちかけて来たのだ。
これは、義成の叔父で先代の黒松家当主であった義政が幕府軍の味方に景綱を取り込むように仕向けるといった内容の策略であった。
自家を滅亡にまで追いやった志太家に対しての復讐心を燃やし続けていた景綱は、この話を二つ返事で引き受けて幕臣として迎え入れられたのである。

★現在の戦況

志太・口羽・大月連合軍(総兵数 12,000人)
志太軍
計 5,000人

口羽軍
計 5,000人

大月軍
計 2,000人

堀内・幕府・鳥居連合軍(総兵数 13,000人)
堀内軍
堀内家総大将「堀内 為永」
計 3,000人

幕府軍
三浦幕府総大将「三浦 継晴」
三浦幕府武将「黒松 義成」
計 5,000人

鳥居軍
鳥居家総大将「鳥居 景綱」
計 5,000人
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