237 / 549
第7章 天下分け目の大決戦編
11.国米の戦い(3)
しおりを挟む
国米において志太連合軍と堀内軍の合戦が開始。
堀内軍は倍以上もある志太連合軍の軍勢を前に苦戦を強いられていた。
だが開戦から一刻ほどの時が過ぎた頃、三浦宮御所より幕府軍の援軍が到着。
この出来事により、堀内軍の士気は上昇していた。
為永
「あぁ、継晴様!真にかたじけのうございます。」
為永は興奮した様子を抑えつつ恐縮した態度であった。
祐藤
「幕府からの援軍…思うておったより早くに来おったか…」
祐藤は、この厄介な状況に困った様子であった。
崇数の軍勢は三浦宮御所の方面を背に布陣している為、背後を突かれる事になるのである。
流石の名軍師と言えども敵に背後を突かれれば負け戦となる事も充分に有り得る話だ。
しかし、祐藤は思いがけぬ命令を崇数に行うのであった。
祐藤
「えぇい!こうなれば時間との勝負である。崇数よ、このまま一気に為永の本体を押し切ってしまうのじゃ!この戦、為永を討てば勝ちである故、急がれよ!」
何と、背後の幕府軍には目もくれずに堀内軍との戦いを続けろと言うのだ。
先刻までの堀内軍に対して有利な戦況を維持して本陣にまで斬り込みを入れるという強引とも言える作戦である。
幕府軍との戦いに力を注ぐ事で為永を討ち損ねれば、今回の戦を仕掛けた意味が無いと祐藤は考えていたようだ。
崇数
「はっ、承知致しました。為永の本陣に一番槍を入れて見せましょうぞ!」
崇数は勇ましくそして堂々たる態度であった。
その様子を見た継晴が呆れた顔で言う。
継晴
「なんと!余の軍勢を無視いたすとな。我が幕府も甘く見られたものよな。」
相手の背後を突こうともそれに見向きもせず、ただひたすらに堀内軍目掛けて突撃を試みる崇数の軍勢に対して怒りを感じていた。
同時に、無謀とも言える祐藤の作戦を強いられている崇数に憐れみの気持ちも生じていた。
義成
「ふむ、強がっておられるのも今のうちにござる。さぁさぁ我ら幕府軍の作戦開始じゃ、狼煙を上げられよ!」
そう言うと義成の軍勢が狼煙を上げ始めた。
紫色の鮮やかな煙は、瞬く間に天高く伸びていった。
何かの合図であろうか…
すると、祐宗の軍勢の後方に向かって来る軍勢が見え始めた。
凄まじいほどの勢いで祐宗の軍勢との距離を詰めている。
その軍勢は、あっという間に祐宗の軍勢に最接近していた。
そして、総大将と思われる身なりをした若い武将が軍勢の中心に居るのが分かった。
その武将は抜いた刀を大きく掲げ、祐宗の軍勢に向かって大声で口上を述べ始めた。
「我こそは鳥居景経が嫡男 鳥居景綱、幕府の命により、志太軍討伐に馳せ参じた!」
ーー 鳥居景綱(とりい かげつな)
かつて黒子城を支配していた大名家 鳥居景経の嫡男、すなわち鳥居景望の孫である。
第二次黒子の戦いによって大名であった鳥居景望と景経親子は自害したが、自身は幼少の為に恩情により処刑は免れたものの、黒子の地を志太家によって追放された。
そして流れ着いた辺境の地において民として身を落とす事を余儀なくされ、不遇の時代を過ごしたという。
それから十数年の時が経ち、青年となった景綱に転機が訪れる。
将軍家の家臣 黒松義成が鳥居家復興の話を持ちかけて来たのだ。
これは、義成の叔父で先代の黒松家当主であった義政が幕府軍の味方に景綱を取り込むように仕向けるといった内容の策略であった。
自家を滅亡にまで追いやった志太家に対しての復讐心を燃やし続けていた景綱は、この話を二つ返事で引き受けて幕臣として迎え入れられたのである。
★現在の戦況
志太・口羽・大月連合軍(総兵数 12,000人)
志太軍
計 5,000人
口羽軍
計 5,000人
大月軍
計 2,000人
堀内・幕府・鳥居連合軍(総兵数 13,000人)
堀内軍
堀内家総大将「堀内 為永」
計 3,000人
幕府軍
三浦幕府総大将「三浦 継晴」
三浦幕府武将「黒松 義成」
計 5,000人
鳥居軍
鳥居家総大将「鳥居 景綱」
計 5,000人
堀内軍は倍以上もある志太連合軍の軍勢を前に苦戦を強いられていた。
だが開戦から一刻ほどの時が過ぎた頃、三浦宮御所より幕府軍の援軍が到着。
この出来事により、堀内軍の士気は上昇していた。
為永
「あぁ、継晴様!真にかたじけのうございます。」
為永は興奮した様子を抑えつつ恐縮した態度であった。
祐藤
「幕府からの援軍…思うておったより早くに来おったか…」
祐藤は、この厄介な状況に困った様子であった。
崇数の軍勢は三浦宮御所の方面を背に布陣している為、背後を突かれる事になるのである。
流石の名軍師と言えども敵に背後を突かれれば負け戦となる事も充分に有り得る話だ。
しかし、祐藤は思いがけぬ命令を崇数に行うのであった。
祐藤
「えぇい!こうなれば時間との勝負である。崇数よ、このまま一気に為永の本体を押し切ってしまうのじゃ!この戦、為永を討てば勝ちである故、急がれよ!」
何と、背後の幕府軍には目もくれずに堀内軍との戦いを続けろと言うのだ。
先刻までの堀内軍に対して有利な戦況を維持して本陣にまで斬り込みを入れるという強引とも言える作戦である。
幕府軍との戦いに力を注ぐ事で為永を討ち損ねれば、今回の戦を仕掛けた意味が無いと祐藤は考えていたようだ。
崇数
「はっ、承知致しました。為永の本陣に一番槍を入れて見せましょうぞ!」
崇数は勇ましくそして堂々たる態度であった。
その様子を見た継晴が呆れた顔で言う。
継晴
「なんと!余の軍勢を無視いたすとな。我が幕府も甘く見られたものよな。」
相手の背後を突こうともそれに見向きもせず、ただひたすらに堀内軍目掛けて突撃を試みる崇数の軍勢に対して怒りを感じていた。
同時に、無謀とも言える祐藤の作戦を強いられている崇数に憐れみの気持ちも生じていた。
義成
「ふむ、強がっておられるのも今のうちにござる。さぁさぁ我ら幕府軍の作戦開始じゃ、狼煙を上げられよ!」
そう言うと義成の軍勢が狼煙を上げ始めた。
紫色の鮮やかな煙は、瞬く間に天高く伸びていった。
何かの合図であろうか…
すると、祐宗の軍勢の後方に向かって来る軍勢が見え始めた。
凄まじいほどの勢いで祐宗の軍勢との距離を詰めている。
その軍勢は、あっという間に祐宗の軍勢に最接近していた。
そして、総大将と思われる身なりをした若い武将が軍勢の中心に居るのが分かった。
その武将は抜いた刀を大きく掲げ、祐宗の軍勢に向かって大声で口上を述べ始めた。
「我こそは鳥居景経が嫡男 鳥居景綱、幕府の命により、志太軍討伐に馳せ参じた!」
ーー 鳥居景綱(とりい かげつな)
かつて黒子城を支配していた大名家 鳥居景経の嫡男、すなわち鳥居景望の孫である。
第二次黒子の戦いによって大名であった鳥居景望と景経親子は自害したが、自身は幼少の為に恩情により処刑は免れたものの、黒子の地を志太家によって追放された。
そして流れ着いた辺境の地において民として身を落とす事を余儀なくされ、不遇の時代を過ごしたという。
それから十数年の時が経ち、青年となった景綱に転機が訪れる。
将軍家の家臣 黒松義成が鳥居家復興の話を持ちかけて来たのだ。
これは、義成の叔父で先代の黒松家当主であった義政が幕府軍の味方に景綱を取り込むように仕向けるといった内容の策略であった。
自家を滅亡にまで追いやった志太家に対しての復讐心を燃やし続けていた景綱は、この話を二つ返事で引き受けて幕臣として迎え入れられたのである。
★現在の戦況
志太・口羽・大月連合軍(総兵数 12,000人)
志太軍
計 5,000人
口羽軍
計 5,000人
大月軍
計 2,000人
堀内・幕府・鳥居連合軍(総兵数 13,000人)
堀内軍
堀内家総大将「堀内 為永」
計 3,000人
幕府軍
三浦幕府総大将「三浦 継晴」
三浦幕府武将「黒松 義成」
計 5,000人
鳥居軍
鳥居家総大将「鳥居 景綱」
計 5,000人
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
石田三成だけど現代社会ふざけんな
実は犬です。
ファンタジー
関ヶ原の戦いで徳川家康に敗れた石田三成。
京都六条河原にて処刑された次の瞬間、彼は21世紀の日本に住む若い夫婦の子供になっていた。
しかし、三成の第二の人生は波乱の幕開けである。
「是非に及ばず」
転生して現代に生まれ出でた瞬間に、混乱極まって信長公の決め台詞をついつい口走ってしまった三成。
結果、母親や助産師など分娩室にいた全員が悲鳴を上げ、挙句は世間すらも騒がせることとなった。
そして、そんな事件から早5年――
石田三成こと『石家光成』も無事に幼稚園児となっていた。
右を見ても左を見ても、摩訶不思議なからくり道具がひしめく現代。
それらに心ときめかせながら、また、現世における新しい家族や幼稚園で知り合った幼い友人らと親交を深めながら、光成は現代社会を必死に生きる。
しかし、戦国の世とは違う現代の風習や人間関係の軋轢も甘くはない。
現代社会における光成の平和な生活は次第に脅かされ、幼稚園の仲間も苦しい状況へと追い込まれる。
大切な仲間を助けるため、そして大切な仲間との平和な生活を守るため。
光成は戦国の世の忌むべき力と共に、闘うことを決意した。
歴史に詳しくない方も是非!(作者もあまり詳しくありません(笑))
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる