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第7章 天下分け目の大決戦編
07.巨星墜つ
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さかのぼる事三ヶ月ほど前、三浦宮御所は揺れ動いていた。
家臣である黒松義政が死去したのである。
秀晴、祐晴に続き継晴と代々の将軍に仕えて幕府の権威を守る為に支え続けていた老将がついにこの世を去った。
継晴が将軍に就任した時点でも既に高齢ではあったが、衰えを感じさせぬ気迫で家中や周辺大名家たちを圧倒していたという。
しかし、その義政も寿命には勝てなかったようである。
継晴
「義政よ、我が三浦家の為にここまでよくぞ尽くしてくれたな。礼を申す。」
継晴は三代に渡って幕府に忠誠を尽くした亡き義政に対して労いの言葉を発していた。
そして続けて新たな当主となった義成に対して声をかけた。
継晴
「義成よ、今後はお前が黒松家の当主として幕府を支えてくれることを期待しておるぞよ。」
義成
「ははっ。拙者、黒松義成 叔父上の名に恥じぬ働きをお見せいたしましょうぞ!」
義成は威勢の良い声をあげていた。
継晴はそんな義成を頼もしく思い、嬉しげな表情をしていた。
話題は切り替わり、今後の幕府としての動きについて継晴からの発表が始まった。
継晴
「まず、幕府としては義政の遺言に従うことを最優先と致す。よいな。」
義政の遺した遺言とは、次のような内容であった。
①自身の死を三ヶ月は隠す事
義政の死を周辺各国に知られる事で幕府として不利益を被る可能性がある為、その事実を三ヶ月は隠すこと。
またその間は御所での警備を厳重にし、一切の情報を漏らさないように徹底させる。
この事からも義政は、自身を影響力のある人物であるという事を自負していたように思える。
②三ヶ月の期間に各国への策略を行う
義政は亡くなる数日前に幾つかの国へ向けての策略を練っていた。
しかし自身の命が長くない事を悟った為、残された者たちに向けて義政が行う予定であった策略を託そうとしていた。
この策略は、三ヶ月の時間稼ぎをしている間に成功させるようにとの事である。
③三ヶ月後に自身が亡くなった事を周辺各国に知られるように仕向ける
余りに長い期間をかけて義政の死を隠してそれが発覚した場合、幕府は義政が居ないと何も出来ないのでは無いか、などといった意見が現れ始めて幕府を軽視する者が出てくる恐れがある。
そういった弊害を最小限に抑えられる最適な期間を三ヶ月と義政は結論付けていたようである。
ただし義政の死を大々的に公表はせず、噂などを通じて各国の耳に次第に入るようにするとの事。
継晴
「それと、義政が考えた志太家に対する策の件じゃが…」
継晴は少し悩んでいる様子でそう言った。
②でもあった各国への策略の事である。
この策略は、義政の力があってこそ成し遂げられるのでは、と思われる内容であった。
義政の亡き今、この任務を問題無く遂行する事が出来る人材が果たしているのであろうか、という不安を継晴は感じていた。
すると、そんな継晴に向かって義成が言った。
義成
「ははっ、その件は拙者にお任せ下され。来る日も来る日も叔父上より策略を学び続けた拙者の成果を今こそお見せいたしましょうぞ!」
義成は自信有りげな表情であった。
継晴
「うむ、そうであるか。では、よろしく頼んだぞよ。お前の働き次第で今後の幕府の動きが決まる故に、しっかりと励まれよ。」
継晴は義成の強い意気込みに希望を託していた。
家臣である黒松義政が死去したのである。
秀晴、祐晴に続き継晴と代々の将軍に仕えて幕府の権威を守る為に支え続けていた老将がついにこの世を去った。
継晴が将軍に就任した時点でも既に高齢ではあったが、衰えを感じさせぬ気迫で家中や周辺大名家たちを圧倒していたという。
しかし、その義政も寿命には勝てなかったようである。
継晴
「義政よ、我が三浦家の為にここまでよくぞ尽くしてくれたな。礼を申す。」
継晴は三代に渡って幕府に忠誠を尽くした亡き義政に対して労いの言葉を発していた。
そして続けて新たな当主となった義成に対して声をかけた。
継晴
「義成よ、今後はお前が黒松家の当主として幕府を支えてくれることを期待しておるぞよ。」
義成
「ははっ。拙者、黒松義成 叔父上の名に恥じぬ働きをお見せいたしましょうぞ!」
義成は威勢の良い声をあげていた。
継晴はそんな義成を頼もしく思い、嬉しげな表情をしていた。
話題は切り替わり、今後の幕府としての動きについて継晴からの発表が始まった。
継晴
「まず、幕府としては義政の遺言に従うことを最優先と致す。よいな。」
義政の遺した遺言とは、次のような内容であった。
①自身の死を三ヶ月は隠す事
義政の死を周辺各国に知られる事で幕府として不利益を被る可能性がある為、その事実を三ヶ月は隠すこと。
またその間は御所での警備を厳重にし、一切の情報を漏らさないように徹底させる。
この事からも義政は、自身を影響力のある人物であるという事を自負していたように思える。
②三ヶ月の期間に各国への策略を行う
義政は亡くなる数日前に幾つかの国へ向けての策略を練っていた。
しかし自身の命が長くない事を悟った為、残された者たちに向けて義政が行う予定であった策略を託そうとしていた。
この策略は、三ヶ月の時間稼ぎをしている間に成功させるようにとの事である。
③三ヶ月後に自身が亡くなった事を周辺各国に知られるように仕向ける
余りに長い期間をかけて義政の死を隠してそれが発覚した場合、幕府は義政が居ないと何も出来ないのでは無いか、などといった意見が現れ始めて幕府を軽視する者が出てくる恐れがある。
そういった弊害を最小限に抑えられる最適な期間を三ヶ月と義政は結論付けていたようである。
ただし義政の死を大々的に公表はせず、噂などを通じて各国の耳に次第に入るようにするとの事。
継晴
「それと、義政が考えた志太家に対する策の件じゃが…」
継晴は少し悩んでいる様子でそう言った。
②でもあった各国への策略の事である。
この策略は、義政の力があってこそ成し遂げられるのでは、と思われる内容であった。
義政の亡き今、この任務を問題無く遂行する事が出来る人材が果たしているのであろうか、という不安を継晴は感じていた。
すると、そんな継晴に向かって義成が言った。
義成
「ははっ、その件は拙者にお任せ下され。来る日も来る日も叔父上より策略を学び続けた拙者の成果を今こそお見せいたしましょうぞ!」
義成は自信有りげな表情であった。
継晴
「うむ、そうであるか。では、よろしく頼んだぞよ。お前の働き次第で今後の幕府の動きが決まる故に、しっかりと励まれよ。」
継晴は義成の強い意気込みに希望を託していた。
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