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第5章 祐藤の野望編
70.村上城攻め(10)
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志太軍は、長継の待ち構える天守の攻撃を行う前に、康虎の嫡男である幸龍丸を救出するという任務が残っていた。
しかし、志太軍は幸龍丸の捕らえられている地下牢の居場所が掴めておらず、救出活動は難航を極められるかのように思われた。
その時、先程の戦いにおいて志太軍に投降した吾助と名乗る一人の足軽兵が幸龍丸の居場所に関する情報を提供。
吾助の案内によって崇数らは天守近くの井戸に辿り着いた。
吾助
「幸龍丸様はこの井戸を抜けた先の通路に捕らえられております。」
その井戸は、井戸としての機能を全く果たしていないと思われるほど朽ち果てている状態であった。
崇数
「ほう、この井戸の中というのじゃな。よし、では救出を急ごうぞ。」
先陣を切って井戸に入ろうとしていた崇数に向かって吾助はすかさずこう言った。
吾助
「ですが、そこには見張りの代わりとして野犬の群れが放し飼いにされております故、注意が必要ですぞ。」
井戸の中は見張り兵として野犬を放し飼いにしており、さらに腹を空かせた状態で群れているという。
生きるか死ぬかの極限状態にさらされた野生動物は時として人間以上の身体能力を発揮し、非常に厄介な存在である事に間違いは無かった。
志太軍の兵たちも吾助のその言葉を聞き、動揺する者も少なくは無かった。
そうしてしばらく沈黙が続いた中で、崇冬が口を開いた。
崇冬
「父上、ここは拙者にお任せいただけませぬか。必ずや幸龍丸殿を無事に連れて戻ります。」
つい先日に元服を済ませた崇冬は、年齢の近いであろう幸龍丸に自分の姿を重ねていたようである。
また、濡れ衣とは言えど親子共に裏切り者の汚名を着せられた事に対しての同情も感じていた。
自身も、口羽家が白河家から志太家に鞍替えを行った際、志太家において人質生活を余儀なくされた不遇の時代を経験しているが故に、幸龍丸が他人事のように思えなかったのであろう。
崇数
「うむ、分かった。崇冬よ、無事に幸龍丸殿を救出して参れ。死ぬでないぞ。」
崇数は覚悟を決めた表情であった崇冬にそう言った。
しかし、志太軍は幸龍丸の捕らえられている地下牢の居場所が掴めておらず、救出活動は難航を極められるかのように思われた。
その時、先程の戦いにおいて志太軍に投降した吾助と名乗る一人の足軽兵が幸龍丸の居場所に関する情報を提供。
吾助の案内によって崇数らは天守近くの井戸に辿り着いた。
吾助
「幸龍丸様はこの井戸を抜けた先の通路に捕らえられております。」
その井戸は、井戸としての機能を全く果たしていないと思われるほど朽ち果てている状態であった。
崇数
「ほう、この井戸の中というのじゃな。よし、では救出を急ごうぞ。」
先陣を切って井戸に入ろうとしていた崇数に向かって吾助はすかさずこう言った。
吾助
「ですが、そこには見張りの代わりとして野犬の群れが放し飼いにされております故、注意が必要ですぞ。」
井戸の中は見張り兵として野犬を放し飼いにしており、さらに腹を空かせた状態で群れているという。
生きるか死ぬかの極限状態にさらされた野生動物は時として人間以上の身体能力を発揮し、非常に厄介な存在である事に間違いは無かった。
志太軍の兵たちも吾助のその言葉を聞き、動揺する者も少なくは無かった。
そうしてしばらく沈黙が続いた中で、崇冬が口を開いた。
崇冬
「父上、ここは拙者にお任せいただけませぬか。必ずや幸龍丸殿を無事に連れて戻ります。」
つい先日に元服を済ませた崇冬は、年齢の近いであろう幸龍丸に自分の姿を重ねていたようである。
また、濡れ衣とは言えど親子共に裏切り者の汚名を着せられた事に対しての同情も感じていた。
自身も、口羽家が白河家から志太家に鞍替えを行った際、志太家において人質生活を余儀なくされた不遇の時代を経験しているが故に、幸龍丸が他人事のように思えなかったのであろう。
崇数
「うむ、分かった。崇冬よ、無事に幸龍丸殿を救出して参れ。死ぬでないぞ。」
崇数は覚悟を決めた表情であった崇冬にそう言った。
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