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16-お子様ランチ
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寝室に引っ込んだ俺だが、このまま寝るわけにはいかない。
明日、セドリックが来るのなら何かもてなしをしたいし子供達が増えたことで今まで作り溜めていた食べ物が足りなくなるかもしれないから、念の為作り置きをしておかなくては。
やっぱり喜んでもらえるものを作りたいな……。
となれば作る物はおのずと決まってくる。
子供に人気のお子様ランチだ。
プレートにオムライス、ハンバーグ、ナポリタン、ミニエビフライも乗せよう。
今日の夕食では気に入ったみたいで美味しそうに食べてたからな。
まずはオムライスから。
ケチャップライスの作り方は簡単だ、オレンジ色に着色した粘土を米粒サイズに千切って長細いご飯の形にするだけ。ただ量を作る必要があるのでちょっと時間はかかる。
そこに緑色の粘土を丸めて作ったグリーンピースを投入し、水で柔らかくした粘土を少量繋ぎに使いながら形を纏める。
更にそれを黄色い粘土を伸ばして歯ブラシをこすり付けて作った卵焼きで包めばオムライスの完成だ。
お次はハンバーグ。
これは俺も食べたいから大人用とお子様ランチ用で作る。
ハンバーグに使うのは茶色の粘土。
子供用は小さめに、大人用は大きめの俵型に形を作りそれぞれ表面をピンセットで荒くつまんで凹凸をつける。
表面がぼこぼこになったら七本針で表面を整え質感を出していく。
七本針と言うのはボールペンくらいの細長い持ち手の先端に、鉄串が熊手みたいについている粘土用の道具だ。
歯ブラシを使う時よりしっかりと質感が付くので重宝している。
ちなみにお値段はネット通販価格で約七百円。
それぞれのハンバーグに質感を付け終えたら適度に乾燥させて焼き目を付ける。
今回焼き色を付けるのに使うのは絵の具だ。
茶色とこげ茶色を混ぜ合わせたものを筆で塗っていくのだが、べた塗りする訳じゃない。
筆で絵の具を取った後、ティッシュで余分な絵の具を落としてから全体的にぽんぽんと塗っていく。子供達と明日来るセドリックの分も合わせて合計五個のハンバーグにそれぞれ色を付けていく。
だがこれで終わりじゃない、まだ焼き色を付けなくてはいけないからな。
今度はこげ茶の割合を増やして、混ぜ合わせた絵の具でまたぽんぽんと焼き色を付けていく。
これでやっとハンバーグも完成だ。
熱中していてすっかり時間が経過してしまい、お子様ランチを作り始めた事を少し後悔し始めている自分が居る。
……でもここで止めるわけには!
きっと子供達も喜んでくれるだろうし!
大変な思いをして逃げてきたあのパンダ獣人の兄弟に、少しでも喜んでもらう為に……俺はここで手を抜くわけにはいかないんだ!
熱中し過ぎて気分がハイになっているが、それを利用して完成させてしまおう。
俺はナポリタンの制作に取り掛かる。
オレンジ色の粘土をひたすら長くころころと伸ばしトマトソース味のパスタを作成、お子様ランチのプレートに乗る大きさに纏める。そしたら緑の粘土をカッターで細長く切って作ったピーマンと、ピンクと茶色で着色した粘土を同じようにカッターで切って作ったソーセージも一緒に乗せる。
具材を乗せたら全体の上に水で薄めた艶の出るカラー材を筆で軽く塗って完成だ。
最後はミニエビフライだが、これは作り置きしていたものの中から小さいものを選んでお子様ランチのプレートに乗せることにしよう。
作業に熱中していたせいか気が付けばスマホの時計が深夜三時を表示していた。
この歳でここまで夜更かしするのは流石にキツイ……。
俺は洗面所で粘土に触れた手を洗い、さっさと布団に潜りこんだ。
明日の朝にはお子様ランチもハンバーグも乾燥して実体化してると良いんだが……。
一応、乾燥しやすい様に暖房をつけて寝た。
翌朝、目が覚めると暖房のお陰か昨晩作ったミニチュアが実体化していた。
実体化したミニチュアをキッチンに運び、お茶を入れる為にお湯を沸かしているとリビングから話声が聞こえてきた。
エリシアと子供達が起きたのだろう。
朝ご飯は作り置きしていたパンでいいか。お子様ランチとハンバーグはデリックさんが来たら皆で食べよう。
トースターでパンを温め、棚から瓶入りのジャムを取り出す。元の世界で買い置きしてたジャムだ。
残り少ないし、使ってしまおう。
リビングのドアをノックするとエリシアが出てくる。
「おはようニロ、子供達も起きてるわ。昨日より顔色がいいみたい」
「それなら良かったです。すぐ朝ご飯にしますね」
「ありがとう。あ、私、着替えたいのだけどどこか部屋を貸してくれない?」
それならと、片付けていた部屋に案内する。
俺の片付けが報われて良かった。
リビングに戻ると子供達が部屋の物をまじまじと眺めていた。
「マルセル、ライネル。おはよう、朝ご飯にしようか」
「朝ご飯……?」
「朝にご飯食べていいの?」
慣れてきたのか普通に話してくれるがその言葉に俺はぴたりと止まる。
この分だと今まで朝に食事をすることが無かったのかもしれない。
「もちろんだ。俺達と一緒に食べよう?今持ってくるから、イスに座ってて」
「分かった!」
「……ん」
弟のライネルの方は素直に椅子に座るが、兄のマルセルは少し考える様な素振りを見せる。
警戒されているのだろうが、こればかりは時間をかけて信頼関係を築いていくしかない。
いつか心を開いてくれると良いなと思いながら俺は朝食の準備を始めた。
明日、セドリックが来るのなら何かもてなしをしたいし子供達が増えたことで今まで作り溜めていた食べ物が足りなくなるかもしれないから、念の為作り置きをしておかなくては。
やっぱり喜んでもらえるものを作りたいな……。
となれば作る物はおのずと決まってくる。
子供に人気のお子様ランチだ。
プレートにオムライス、ハンバーグ、ナポリタン、ミニエビフライも乗せよう。
今日の夕食では気に入ったみたいで美味しそうに食べてたからな。
まずはオムライスから。
ケチャップライスの作り方は簡単だ、オレンジ色に着色した粘土を米粒サイズに千切って長細いご飯の形にするだけ。ただ量を作る必要があるのでちょっと時間はかかる。
そこに緑色の粘土を丸めて作ったグリーンピースを投入し、水で柔らかくした粘土を少量繋ぎに使いながら形を纏める。
更にそれを黄色い粘土を伸ばして歯ブラシをこすり付けて作った卵焼きで包めばオムライスの完成だ。
お次はハンバーグ。
これは俺も食べたいから大人用とお子様ランチ用で作る。
ハンバーグに使うのは茶色の粘土。
子供用は小さめに、大人用は大きめの俵型に形を作りそれぞれ表面をピンセットで荒くつまんで凹凸をつける。
表面がぼこぼこになったら七本針で表面を整え質感を出していく。
七本針と言うのはボールペンくらいの細長い持ち手の先端に、鉄串が熊手みたいについている粘土用の道具だ。
歯ブラシを使う時よりしっかりと質感が付くので重宝している。
ちなみにお値段はネット通販価格で約七百円。
それぞれのハンバーグに質感を付け終えたら適度に乾燥させて焼き目を付ける。
今回焼き色を付けるのに使うのは絵の具だ。
茶色とこげ茶色を混ぜ合わせたものを筆で塗っていくのだが、べた塗りする訳じゃない。
筆で絵の具を取った後、ティッシュで余分な絵の具を落としてから全体的にぽんぽんと塗っていく。子供達と明日来るセドリックの分も合わせて合計五個のハンバーグにそれぞれ色を付けていく。
だがこれで終わりじゃない、まだ焼き色を付けなくてはいけないからな。
今度はこげ茶の割合を増やして、混ぜ合わせた絵の具でまたぽんぽんと焼き色を付けていく。
これでやっとハンバーグも完成だ。
熱中していてすっかり時間が経過してしまい、お子様ランチを作り始めた事を少し後悔し始めている自分が居る。
……でもここで止めるわけには!
きっと子供達も喜んでくれるだろうし!
大変な思いをして逃げてきたあのパンダ獣人の兄弟に、少しでも喜んでもらう為に……俺はここで手を抜くわけにはいかないんだ!
熱中し過ぎて気分がハイになっているが、それを利用して完成させてしまおう。
俺はナポリタンの制作に取り掛かる。
オレンジ色の粘土をひたすら長くころころと伸ばしトマトソース味のパスタを作成、お子様ランチのプレートに乗る大きさに纏める。そしたら緑の粘土をカッターで細長く切って作ったピーマンと、ピンクと茶色で着色した粘土を同じようにカッターで切って作ったソーセージも一緒に乗せる。
具材を乗せたら全体の上に水で薄めた艶の出るカラー材を筆で軽く塗って完成だ。
最後はミニエビフライだが、これは作り置きしていたものの中から小さいものを選んでお子様ランチのプレートに乗せることにしよう。
作業に熱中していたせいか気が付けばスマホの時計が深夜三時を表示していた。
この歳でここまで夜更かしするのは流石にキツイ……。
俺は洗面所で粘土に触れた手を洗い、さっさと布団に潜りこんだ。
明日の朝にはお子様ランチもハンバーグも乾燥して実体化してると良いんだが……。
一応、乾燥しやすい様に暖房をつけて寝た。
翌朝、目が覚めると暖房のお陰か昨晩作ったミニチュアが実体化していた。
実体化したミニチュアをキッチンに運び、お茶を入れる為にお湯を沸かしているとリビングから話声が聞こえてきた。
エリシアと子供達が起きたのだろう。
朝ご飯は作り置きしていたパンでいいか。お子様ランチとハンバーグはデリックさんが来たら皆で食べよう。
トースターでパンを温め、棚から瓶入りのジャムを取り出す。元の世界で買い置きしてたジャムだ。
残り少ないし、使ってしまおう。
リビングのドアをノックするとエリシアが出てくる。
「おはようニロ、子供達も起きてるわ。昨日より顔色がいいみたい」
「それなら良かったです。すぐ朝ご飯にしますね」
「ありがとう。あ、私、着替えたいのだけどどこか部屋を貸してくれない?」
それならと、片付けていた部屋に案内する。
俺の片付けが報われて良かった。
リビングに戻ると子供達が部屋の物をまじまじと眺めていた。
「マルセル、ライネル。おはよう、朝ご飯にしようか」
「朝ご飯……?」
「朝にご飯食べていいの?」
慣れてきたのか普通に話してくれるがその言葉に俺はぴたりと止まる。
この分だと今まで朝に食事をすることが無かったのかもしれない。
「もちろんだ。俺達と一緒に食べよう?今持ってくるから、イスに座ってて」
「分かった!」
「……ん」
弟のライネルの方は素直に椅子に座るが、兄のマルセルは少し考える様な素振りを見せる。
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